第15話 青春の幕開け
祝!退院!
理由は後書きで。
今はただ申し訳ないです。
ライブの練習な順調に進んでいた。
俺の調子が元に戻ったためだ。
まあ理由は俺の心の問題。
「お前大丈夫なのか?」
俊哉が俺にそう尋ねてきた。
「何が?」
「はなびちゃんのことだよ」
俊哉が小声で訊いてきた。
「ああ。そのことか。大丈夫だよ。すごいやせ我慢してるけど」
「……」
あのはなびの涙を見てから俺は変わった。
いや、変わったように見せただけだが。
実は内心ではまだはなびの顔は見れない。
でも俺はやせ我慢している。
もう涙は見たくないから。
「まあ調子が良くなったらそれはそれでいいさ。ライブは明日だ。頑張るぞ」
「「「オー!!」」」
つうかSteraが完全に仕切ってるし。
やっぱり俺よりもリーダーみたいだ。
「あ、ちょっと俺買いだし行ってくる」
「おう」
俺は買出しのために橘邸から外に出た。
外はもう陽が沈みそうだ。
俺は学校の近くのコンビニに行くことにした。
俺が普通に歩いていると突然スーツを来た男の人に声をかけられた。
「すいません、光芒学園の生徒さんですか?」
「はいそうですが。何か?」
俺は怪訝そうに相手を見る。
何か怪しい勧誘かもしれない。
「文化祭の日にちは明日ですか?」
「はい。明後日と二日やる予定ですが……何か?」
「いえ、確認を取りたかっただけです」
俺は丁寧な言葉遣いの男だな、営業マンなのかな?とか思った。
「ありがとうございます。では失礼」
「あ、はい」
俺は去っていく男の背中を見つめた。
文化祭の日にちを知りたいならウェブで見ればいいのに。
俺は少しだけそう思った。
そして買出しもせずに学校に戻り……
「アンタ何をしに戻ったのよ!!」
ご立腹のはなびに俺は殴られるのであった……
青い空。
白い雲。
俺達に絶好の文化祭日和が訪れた。
「やっとここまで来たんだ。頑張ろう!」
「ああ」
「そうだな」
「うん!」
俺の掛け声に俊哉、Stera、はなびが答える。
みんな気合充分だ。
「みんな」
するとそんな俺達の控え室にさや先輩が入ってきた。
「あと1時間で最初のライブよ。頑張って」
「分かりました」
ライブは一日二回やる。
でも一回がそんなに長くないので大変ではない。
「はなびは両親が見に来てくれるのか?」
「うん一応……」
はなびが俯きながら言う。
恥ずかしいのか?
あ、そういえば……
俺は数日前の出来事を振り返る。
はなびの涙を見た俺はそのまま床に寝転がった。
そして眠りについた。
しかしそうすると朝が大変なことになることに気がつかなかった。
案の定俺は朝起きたときにはなびがベッドで寝ていることに驚いた。
そしてすかさず起こそうとするが、はなびのこと、中々起きない。
そして無理に起こそうとしたそのとき……
ギューーーー
「いだっ!!」
思いっきりはなびに抱きつかれた、いや締められたといった方が正しいかもしれない。
「お前!締めすぎ!」
俺がじたばた暴れても力を全く緩めない。
このままでは夏合宿の再来だ。
携帯で助けも呼べず、俺は自力で何とかするしかなかった。
「ウオォォォォ!!」
俺は思いっきり唸り声を上げて両腕に力を入れる。
少しだけ俺とはなびの間に隙間が空いた。
だがそれだけ。
むしろ俺達はそのまま床へダイブした。
もちろん俺が下。
ドン
「グエッ!」
俺は頭を強打した。
すんごく痛い。
しかし両腕が塞がっているために頭を擦ることもできず。
俺はどうしようもない状態になっていた。
「……これはヤバイ」
俺はますます力が入らなくなって力が抜ける。
しかし別の場所に力が入る。
そう、朝でもあり、はなびがこんなに至近距離にいたので、男の生理現象が始まったのだ。
「……俺も男なんだな〜」
そこにしか力が入らない俺は虚しくなる。
しかしその生理現象が俺を助けた。
なんとその生理現象がはなびの体を無駄に刺激。
はなびにも直に伝わるその感触。
おかげではなびの力が緩まる。
だが……本当にはなびが起きてなくてよかった〜と思ったのも束の間。
「うん……?」
はなび、起床。
俺、顔面蒼白。
「……カイ……?」
はなびが目を擦って俺を見る。
折角両腕が離れたと思ったら次はこれですか……
俺はこれからの自分がどうなるか想像した。
全て無事では済まない想像でしたけどね。
「……あれ?ここって……」
はなびが周りを見渡す。
まだ俺を押し倒している格好だということに気づかない。
夏合宿とは位置が逆だ。
「カイの部屋!?」
そして俺を睨むはなび。
ああまずいですよ。これは。
「アンタ……ん?」
はなびが俺の下半身に注目。
いや、正確に言うと下半身の一部分。
妙に膨らんでるその部分。
「……キャーーー!!!!この変態がーーーーー!!!!」
ドボガギッ!!
「アギュバ!!」
はなびのパンチが鳩尾に入る。
よく分からない効果音に良く分からない俺の悲鳴が響き渡る。
かなりの痛さでした、はい。
俺はグッタリと倒れた。
「あっ!ゴメン!やりすぎちゃった!」
はなびが涙目で俺を見てくる。
「ナ、ナイスパンチ……」
俺はそう返してあげた。
しかしまあ呼吸が困難だったので囁きぽかった。
「ちょっと!ゴメン!死なないでよ〜〜〜!!!」
いや、死にはしないと思うけどな。
俺ははなびの声を遠く感じ……意識がぷっつり切れたとさ。
チャンチャン。
……結局あの後すぐに俺は起き上がり、昨日、何を話そうとしたのかを訊いてみた。
しかし何でもないといってはなびは俺の家を後にした。
そのときのはなびは笑顔でもうどうでも良さそうだった。
そして俺は少しだけ感づいた。
はなびの話の内容について。
まあ所詮予想なのだが。
俺のよそよそしい態度についてかもしれない。
まあ小さい頃から一緒にいるからな。
とにかくこうして無事に生きれて良かった良かった。
これが一部始終。
「カイ、なに考えてるの?」
「いや、何でもないよ」
俺は首を横に振る。
俊哉とSteraは何のことだか分かっていない様子だ。
「そういえばStera、お前って一人暮らしなんだよな?」
「ああ。それがどうかしたか?」
Steraはエレキの弦の調子を確かめているようだ。
ここで失敗したら不味いことになる。
「お前って親はどうしてるんだ?あ、べつに嫌なら言わなくていいよ!」
俺はこんなことを訊いた俺を呪った。
全く浅はかな質問だ。
「……いるよ。父親は。だがよく知らん」
「えっ……」
「俺は主人格じゃねえからさ。詳しくは知らね」
「そうか……」
ああ俺のバカ野郎。
こんなときに何訊いてんだよ!
俺は心の中でため息を吐いた。
そして時間が着々と過ぎ……
「そろそろスタンバイした方がいいわよ」
「分かった!行こうぜ!」
「「「おう!!!」」」
俺達の青春が幕を開けた。
?SIDE
「Stera……か」
随分とすわり心地のよさそうな椅子に男が座っている。
それだけで彼は相当偉い人だというのが分かる。
つまり、社長である。
男の目の前の机の上には数枚の資料。
その全てが特定の個人の資料であった。
「まさかこんなところで出会えるとはな」
男は笑いたくなる衝動を堪え、口元に笑みを浮かべるだけにとどめた。
「運命……かな?クックックッ……」
男は立ち上がり窓の外を見る。
そこに映されたものは一体何なのであろうか……
実は私、先日から入院していました。
念のため言っておきますが、豚インフルエンザではありません。
医者からはしばらく安静にと言われたので、無理をせずに執筆をしたいと思います。
ただ更新が出来なかったことは真に申し訳ありません。
これから少しずつ活動を再開いたしますので、よろしくお願いいたします。
CFF-沙希より