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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

空ーそらー

闘技場。

十二人の戦士と言う名の奴隷たちの乱戦。

この場を出て行けるのはただ一人。生き残りを賭けて殺し合う。

皆仲間だ。いや、仲間だった。辛いときを共に過ごし、ここまできた仲間だった。

明日は敵になると分かっていても、それでも励まし合いながら過ごした仲間だった。


左に殺気を感じ、咄嗟に剣を構える。刹那、交わる剣と剣。

絡み合う視線は、殺気と恐れと後悔。

その気持ちはお互い様で、受けとめた剣を滑らせ素早く反撃に移る。


「ぐあっ!」


すまない。

倒した相手は、昨夜遅くまで語り合った友だった。

生き残って、いつかここを出よう。

もし片方しか出れなかったら、二人分のやりたかった事をやろう。

そんなことを語り合った友だった。


感傷に浸ってる暇は無い。次の獲物を求め歩を進め剣を振るう。

少しずつ倒れていく戦友(とも)たち。

心の中で詫びつつも剣を振るう。


そして……十二人いた仲間が四人になった。

もうこれ以上やりたくない。そう思うものの許されるはずもなく、

目が合った戦友(とも)と剣を交える。一合、二合、三合。

押されつつも何とか凌ぐ。死にたくない。生きてここを出るんだ。


意識は前にしか行かなかった。

目の前の戦友(とも)の剣を剣で防いだ直後、背中に走る熱。

それからほぼ同時に右わき腹に感じた痛み。

痛みは一瞬の隙を呼び、気が付けば自身の胸に突き刺さる剣。

戦い始めてからそろそろ昼だったのだろう。日の光を受けた剣がやけに眩しかった。


カランと音がして、足の力も抜ける。

オレは……生きたかった。生きてもう一度会いたかった。

光りを受けて輝く剣と同じ輝きのあの髪の、晴れ渡る空のようなあの瞳に。


君は今でもあの場所にいるのだろうか。

緑濃い森の入り口の、少し歩けば海が見えるあの丘の。



気が付けば丘を走っていた。

脚が軽い。あと少し。ここを上り切れば見えるはず。

家の前で佇む君はオレに気が付き駆け寄ってきた。


抱き合う二人。嬉しそうにオレを見つめる瞳。

晴れ渡る青空のような、青くどこまでも青い空。


ただいま。やっと帰ってこれたよ。

思わず空へ向かって右手を伸ばす。

目の前にいるはずなのに君が遠い。

もう離さないからオレを離さないでくれ。

このままずっと。


この……まま……。




◇◇◇ ◇◇◇


生き残った一人には自由を与えよう。

王の言葉のもと殺し合いを始める奴隷たち。

彼らは知らない。例え生き残っても、自由を得た直後に殺されることを。


残った一人が自由と言う名の処刑台へ向かった後、

別の奴隷たちが倒れた彼らを処理場へ引き摺って行く。

不思議なことにどの死体も死に顔は穏やかだったと言う。

投稿しましたが、近々削除する……かも?

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