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銀髪のSランク

そこからは慣れてきたと思った日常?からまた忙しく辛くなっていった。

朝はいつもよりまた距離が伸びたランニング、それが終わると休憩無しにどこから抜いてきたのか分からない岩を背中に背負わされその上にギンジが乗った状態で腕立て。何回やってるかなんて数える気力すら湧かない。そして更に腕立てと同じ条件での体幹。

そして午後からは技能(スキル)関係。



技能(スキル)を覚え高めていく上で特にダンジョン探索では重要かつ重宝される《気配察知》と《隠蔽》を覚え高めることに力を入れていた。

次点で《短剣術》、そして新たに覚える予定の《体術》と言った戦闘系の技能(スキル)だ。

《気配察知》は元々ジンの才能(ギフト)、【感覚操作】と相性がよかったためグングンと察知出来る範囲やその質まで高まっていった。ジンが本気を出せばもうギンジの《気配察知》を超えるほどまで。

だが、もう一つの重宝される技能(スキル)、《隠蔽》にはまず覚えることに手間取っていた。

まず気配を消すというのがジンにはよくわからなかったからだ。

今日も《気配察知》の質や範囲をより上げるための訓練で遠くから攻撃を仕掛けてくるギンジを探知することを目的としたものだ。

いつも通り真剣にこなしながら《並列思考》により余裕が出来た脳でジンは考えていた。


(気配を消すっていうのがよく分からないんだよな…。まず気配を消すって何基準なんだ?……!?)


今日はまだ1度も攻撃を仕掛けてこないギンジを探知しながら《隠蔽》の方法について考えていると20m程離れた木の上に《気配察知》が反応しジンは短剣を抜きそこ目掛けてお得意の《投術》で放った。

今日はいつもより気配がダダ漏れだな…

なんて心で呟きつついつものギンジの気配とはまた少し違うな…と疑問に感じながら投げた短剣の方に目を向けると…枝が意外と細かったためか木に繋がっていた枝がジンが放った短剣によりメキメキと音を立てながら落ちてきていた。


「あ……やばい…みすった…………。」


ジンは驚きながら呑気なこと呟きつつ落ちてきた枝の方を見ると


「い、いたたた……。びっびっくりしたなーもう」


枝から降って湧いたのはいつものおっさん面のギンジじゃなく俺と同い年くらいの少年だった。









「ジン!?どうした!」


俺が突然出てきた子供…まあXと名付けよう。

Xに戸惑っている内にギンジが俺の元まで戻ってきた。


「どこ行ってたんだよギンジ」


「あん?そんなんいつもお前が涼しげに避けてくるのが気に食わないからお前の範囲外に移動してたに決まってんだろうが。と……そこにいるのは…」


人里離れてもう半年程…ギンジ以外と話せなかった俺はとうとうコミュ障へとランクダウンしていたのかXと目すら合わせられなかった所にギンジが現れ安堵しつつ軽口を言い合っているとギンジはXに覚えでもあるのかXを見つめ、そして何か納得したような顔をしていた。


「無断で斬られかけたのにボクには謝罪の一つもないのかな?それにそこの子は目も合わせてくれなかったし…ボク容姿は良い方だと思ってたのに自信なくなってきたよ…」


Xを見てみると何だか三角座りでぶつぶつ言いながら何故か落ち込んでいた。

するとギンジは落ち込んでるXにお構い無しに喋りかけた。


「おいそこの銀髪。お前何でこんなとこいやがるんだよ」


「ぎ、銀髪じゃないよ!ボクにはアリスっていう名前があるんだから!」


「そんなこたどうでもいいから何でここにいたのか言えよ」


「…家からここに二人がいるのが見えて何か面白そうな事してたから」


家からここが見えるって事は1度視覚を強化した時に見えたあの貴族っぽい家の人か?


するとギンジは面白いことが思いついたかのような顔をし俺とそこのアリスに言い出した。


「そうだ。お前ら同い年だろ?ならいつかはライバルになるんだ。今どっちが強いか確かめてみねえか?」


「頭湧いたんじゃねえかギンジ。何でこんなどこのどいつかも分からないような奴と戦わなきゃならないんだよ」


「…ボクと戦ったら勝負にならないからいいよ!」


俺がギンジに否定的な意見を出しているとアリスは俺が勝負にもならないなどと言ってきていた。


「よしやっぱりやろう。今すぐやろう。そこの銀髪に吠え面かかせてやる」


「おっけーおっけー。じゃあちょい待ってろ。模擬戦にお前らの武器は致命傷になりかねないからな。……これでいいだろ。ほらよ」


ギンジは戦うことが分かってたのか腰に付けてる魔袋を取り出し中から木製の短剣と細剣を取り出して俺とアリスに放り投げた。


「だからボクとじゃ勝負にならないからやらないって」


「やって見ないと分からないだろうがそんなこと」


「分かるよ。だってボクの才能(ギフト)ランクはSだからね。君じゃ勝てっこないよ」


才能(ギフト)ランクS…目の前の銀髪…アリスはそう言ってのけた。俺が隠しきれない驚きの表情をしていたがギンジは知っていたかのように全く驚きが無くアリスを挑発しだした。


「おいおい、なんだっけ?アリス?だったか。お前そんなに負けるのが怖いのか」


ギンジが言うとアリスはピクっと表情が動く。


「そうかそうか。そんなにジンに負けるのが怖いのか。なら仕方ない。さっさと家に帰ってママのおっぱいでも飲んでな」


おいおい…そんなやっすい挑発のるわけーーーーー


「やるよ!そこのお前!ジン…だったよね?やって後悔しても知らないからね!」


のったーーーーーーーーーーー!?


「後悔なんてしないよ…俺が勝つからな」


「ふーん。そこまで言うってことは君のランクは相当高いんだろうね?」


「いや、俺のランクはCだよ」


俺がそう答えるとアリスは隠そうともせず笑い出す。


「ぷっあはははははは!Cだって?CがSに勝てるわけないよ!」


俺はもう何も返さずに短剣を構える。

その反応が面白くなかったのかアリスは不機嫌そうにしながらも細剣を手に取った。


「…よーし!んじゃ始めるぞー!俺が今からお前らの周りを結界で覆う。色を付けとくから結界を張った瞬間から模擬戦開始だ。」


「分かったな?」と聞いてくるギンジに俺は一つ頷きアリスは「はいはーい」とやる気が無さそうな声を出す。


そして数秒後、3人全員が白で囲まれた。


その瞬間、アリスは地面を蹴り細剣の剣先を俺へと向けて迫ってくる。

そしてアリスは俺へと目掛けておよそ俺と同い年の12歳とは思えないほどの剣速と正確さを武器に突きを連発してくる。

普通ならそこで大抵の人は幾重もの突きを躱しきれずくらうだろう。だが俺は今までまだ本気で無いとはいえギンジの斬撃を躱し、時折くる蹴りなどにも対処してきた。

加えて俺の【感覚操作】で元々の視力も上がっており日常での観察眼も付いてきていた上身体も思考に追いついていた。

それにより幾重も放たれる突きを俺は敢えて紙一重で躱し続けた。お前の剣じゃ俺は捉えられないことを分からせるために。

躱しているとアリスの脚がぴたっと止まった。


「何で躱せるの…?」


アリスの顔は本当に分からないといった顔だった。


「そんなもんそんくらいの剣速は日常的に見てたからに決まってるだろ」


「そ、それだけ?」


「ああ」


「いやいやボクには才能(ギフト)【身体能力強化 大】があるのにおかしいでしょ」


それはいいことを聞いた。


「そんなことを言いつつお前は何で笑ってるんだ?」


そう。アリスの顔が徐々に純粋に口角が上がってきていた。


「なんでだろう、ね!」


アリスは楽しそうに再度俺に向かってさらに剣速を上げて突いてきた。さらに時折フェイクを混ぜてさらに体術も加わっていた。

俺はそれでもしっかりと見極め紙一重で躱しながら反撃(カウンター)をし、ことごとくアリスへと当たりアリスは吹っ飛んでいく。


「うっ…す、凄いなー!君は!こんなに楽しいのなんていつぶりだろ!」


「知るか、よ!」


今度は俺から仕掛けた。全力で地を蹴りアリスへと向かう。その速度は訓練前とは比較にならないくらい速くなっていた。

アリスは初めは躱していたが段々とかすり始め俺から隙を見つけ1度距離を取った。

すると急にアリスの雰囲気が変わり始めた。

アリスの周りからは冷気が発しその周りだけ気温が下がっているように見えた。


「ここからがボクの本領発揮だよ!」


そう言うとアリスは手をまるで銃のように構え「氷の弾丸(アイスショット)」と叫ぶ。

するとアリスの指先から氷の弾丸が飛び出してくる。


「!?うぉっ!…と」


飛び出してきた氷の弾丸(アイスショット)の速度は凄まじく先程まで余裕があったが今回ばかりはまさに間一髪の所で何とか躱す。

アリスは両の手で氷の弾丸(アイスショット)を連射してくる。幾つもの弾丸に俺は直撃は免れるも時間が経つにつれ気づけば身体全身が擦り傷塗れになっていた。


「ほらほらー!どうしたの?これでもう終わり?」


「んなわけないだろ!」


全身擦り傷まみれになりながらもジンはアリスの能力は氷を生み出すものだと予想していた。

ならばとジンは【感覚操作】の視覚、聴覚を強化しつつさらに研ぎ澄ませた。

強化され更に研ぎ澄ませることにより範囲が縮まる代わりにさらに感覚が研ぎ澄まされる。

そしてジンは今出来る最大限感覚を研ぎ澄ませると氷の弾丸を避け始めた。

限界まで研ぎ澄まされた視覚は氷の弾丸をも捉え全てを躱しながらアリスへと最短ルートで迫っていく。


アリスはジンの雰囲気が変わったことに気づき氷の弾丸を増やしていくがジンに全てを躱す、もしくは撃ち落とされ表情には焦りが見え始めた。


そしてアリスを目前に控え、ジンはアリスへと飛びかかった。

するとアリスは笑みを浮かべ飛びかかったジンに向けて手の平を向ける。


氷の礫(ストーンブリザード)


アリスの手のひらから何重もの氷が放たれる。

しかしその軌道には既にジンの姿は無かった。

ジンはアリスが手のひらを向けようとした瞬間にそれを研ぎ澄まされた感覚で予知し既に横にズレアリスの後ろに回っていた。


「っ!?しまっ!」


アリスの目にはジンの姿がなく躱されたことを理解し背後を向こうとした瞬間。


詰みだ(チェックメイト)


アリスの首筋に短剣を構えるジンがいた。


「…………参った」


アリスは己の敗北を悟ったのだった。






戦闘描写は難しいなぁ………

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