訓練2
ちょっと短いです
「ーーーー才能っていうのは貰ったら自然と使いこなせるようになるわけじゃないんだよ。勝手に使いこなせるのもある…が基本才能を操れるよう訓練するんだ。」
今俺は才能についての詳細を教えて貰っていた。
かくいうもさっそくギンジが才能を使いこなす訓練の内容を話そうとした時に俺が出鼻をくじいてしまい明らかに知識不足だったからだ。
「よし分かったみたいだな。ならまずお前の才能について教えてくれ。もちろんお前のーー」
「ほい」
「!?…………だーかーらー!さっきも言ったろーが。才能は自身の情報がすべて詰まってるといっていい。第2の自分とも言えるだろう。それを軽々しく見せるな。」
ギンジが見せろって言ったのに………解せぬ
「俺の才能から教えよう」
この際今自分で軽々しく見せるなとか言ってたのに…とかは思わないでおいてあげよう。
そんな俺の心情を察したのかいつも以上に疲労を感じさせる溜息の音が聞こえた。
「まあいいや…才能展開」
そう唱えた瞬間ギンジの手元にカードが現れる。
ギンジに見に来いと言われギンジの手元の中にある才能カードを覗き込むと
【結界】
自信が指定した範囲内を囲み
※範囲内の大きさは自身の力量次第。耐えきれない攻撃を受けると破壊される。
【火魔法】
身体の内にある魔力を使うことで火魔法を発生させる。※火魔法は一定量の魔力を放出できるようになるまで扱えない。
【風魔法】
身体の内にある魔力を使うことで風魔法を発生させる。※風魔法は一定量の魔力を放出できるようになるまで扱えない。
ギンジの才能は確かに強く強力なものが多かった……が、ライトたちSランクを見た俺は何とも反応しづらかった。
「お前の聞いた話によると、神の天啓で一緒にいた子らはSランクでそれを見たお前からしたら反応しづらいかもな」
俺の心を見透かしたかのようにギンジは言う
「でもなジン、一つだけお前に言っておいてやる。ランクで負けてるからって勝負に負けるわけじゃないんだよ」
俺は強くなると決めたあの日からも薄々考えていた。
どれだけ努力しても俺のランクではあいつらには追いつく、ましてや勝つなんて無理無茶無謀なんじゃないか…て。
俺が顔を上げたからかギンジはわざとらしく自信満々に言う。
「例えば、だ。今俺がそいつらと勝負したらどうなると思う?」
「…ギンジが勝つ?」
「その通りだ!今やったら俺は100戦100勝する自信がある。」
「で、でもそんなの当たり前じゃんか…ギンジは何歳か知らないけど大人だし」
「だが俺はAランクだ。ジン、ランクが負けてようがそれ相応の技術がいるが勝負に勝てるんだ。お前はそれを身につけろ」
長年冒険者をやってるギンジに言われ確かにそうかもしれないと思えたようで心がスッキリした気がした
「…じゃ次はお前の番だ。お前の才能を見せてくれ」
ギンジに言われそれに俺は頷いて
「才能展開」と唱えた。
すると俺の手元にカードが現れ、ギンジは覗き込んでくる。
【感覚操作】
身体の中にある感覚全てを操作する。
※これを手にしたものはちゃんと扱えるようになるまで稀に自動で発動する。
扱えるまで感覚操作は最低か最高のどちらかにしかならない。
【雷魔法】
身体の内にある魔力を使うことで雷魔法を発生させる。※雷魔法は一定量の魔力を放出できるようになるまで扱えない。
(派生スキル: ライトニング)
【魔眼】
眼が魔眼に変わる。しかし魔眼は1度使えば自然に扱えるようになるが、開眼させることが困難。さらに、どんな魔眼かは開眼しない限り不明。
三枚の才能カードを見るとギンジは、少し表情を驚愕の色に染めたあと、んーと少し唸りながら何かを考えていた。
しばらく考え込むと考えがまとまったのか俺へと向き口を開く
「まずは……お前の才能の一つ…【感覚操作】からある程度は使えるようになってもらう」
「何で【感覚操作】からにしたんだ?」
俺はギンジへと疑問に思ったことを尋ねてみた。
ギンジも俺がその質問をするのが分かってたのか、うむ…と頷いて平然と答えた
「消去法だ」
「…は?」
「まあ、そう苛立つなよ。消去法つってもこれが1番効率が良く才能を使いこなせるようになると思ったからだ。」
そこまで自信満々に言われては何も才能について知らない俺はギンジを信じ引き下がるほかない。
「その理由は?」
単純に何でその結論へと至ったのか気になり聞いてみる。
「ん?…そう、だな。少し話が長くなるが、それでもいいか?」
ギンジが確認のため聞いてきたため、俺は頷いて答えてみせた。
「まず、だ。お前の才能三つの内の中の【雷魔法】などの魔法系統に含まれる才能はまず己の中の魔力を感じ取る必要がある。
感じ取ってそこからやっと魔法へと進む。それだと単純に時間がかかる上魔法自体も自身へ負荷がかかってしまうため身体がまだ出来上がってないお前に先にそれをやらせると効率が悪いだろ?」
な?と同意を求めてくるギンジに「確かにそうだな」と賛同の声をあげる。
「そしてもう一つの才能…【魔眼】だ。
魔眼はよく本などに乗っている昔話や物語などで語られていたものだ。そのため、そもそも今現在ジン以外に【魔眼】保有者がいるのかも分からない。そんな状態だから当然俺も知らねえ。だから根本的に【魔眼】を扱うこと自体見たことがねえから教えようがねえんだよ。」
「ーーーっ!?」
ギンジの【魔眼】についての話で流石に驚いてしまった。
【魔眼】なんて大層な名前だ。保有者も少ないとは思っていた。だが一人もいないなんて流石に予想外すぎるぞ!?
「ん?ああ安心しろとは言わねえがそこまで落ち込むことじゃねーよ。今現在持ってる人がらいないとは言ったがそれはあくまで才能の内容を報告してる奴の中で、だぞ。
才能は最低一つはその中身を知らせないといけないが、一つ知らせば他は報告する必要はないんだ。だからその中に【魔眼】保有者がいるかもしれないぞ」
俺はその言葉を聞きほっと胸をなでおろした。
それにポジティブに考えてみればまだ誰も知らない能力をあるかもしれない…という可能性に繋がる。
「もし無くても…自分で見つければいい話か」
「その通りだジン。逆にその過程を楽しめ!才能の発動も能力も分からない物なんてそうそうないぞ!」
はーはっはと豪快に笑いながらギンジは豪語する。
「さて…【感覚操作】を始めにした理由は分かったか?」
「ああ」
「じゃあ【感覚操作】を使いこなす訓練を始めるか!」
どう訓練するのかと俺は目を輝かせているとギンジは魔袋から何かの指輪を取り出した。
何だろうか……あの指輪を見ていると嫌な予感がビンビンとしてくるんだが………
そんな俺の第六感が働いた指輪を取り出したギンジはいつも通りのヘラヘラした表情だった。
「ジン。操作系の才能をしっかりと使いこなせるようになる方法は2つある」
座り込んだジンはさっきまでと違い少し真剣な表情で俺にかたりかけてくる。
「一つ目は…発動しろ!という意志を持ち続け発動するのを待つ方法。まあ言わば己との対話だな。
安全だが……ちと時間がかかってしまう」
俺は出来れば安心安全ノーリスクな一つ目がいいんだが……ギンジの目が二つ目を選べと脅しかけてくる。
「二つ目だが…これを使うことによって強制的に発動させ制御できるようになるまで付け続ける方法だ。
この方法なら短時間で終わるが…才能によっては想像以上に辛い。なんせ無理矢理発動させるから初めはその才能の能力がほぼ100%引き出される。」
「一つ目で」
「そうかそうかー。二つ目がいいか。二つ目はあまりの苦しさに選ぶ者が断然少ないが…お前のその勇気をかってやらせてやるよ」
俺の答えはスルーですかい
「特に操作系の才能の100%は意外と強力だからな。何日かかるか分からんがお前の周りを結界で封じ込めておく。なに、安心しろ。その中じゃ空腹は感じにくいようにしといてやるから。
それに操作できるようになるまでランニングは無しだ。」
そうして俺の手の中に指輪を握らせて
俺から離れぶつぶつと何かを呟いた後「結界!」と叫んだ。
すると俺の周りの空間が立方体で覆われた。
え?なにもうやること確定なの?