前編
「……空は青いなぁ」
空は青くて雲は白かったり灰色っぽいものがあったり変な形のした雲があった。あっ今飛行機が飛んでった。
俺は今学校の屋上で大の字で寝っ転がっている。しかも授業中にだ。何でいるかって? まぁ、いわゆるサボリってやつかな。誰でもやった事があるだろう? どうでもいいけど。
「はぁ〜ぁ。」
「何ため息ついてんのよ。一馬は、まだ中年オヤジじゃなくてまだ華の十七歳でしょうが。」
「うるせぇよ。朱鳥」
俺に話し掛けてきたのは、友人の高橋朱鳥であった。
朱鳥とは、一年の時に席替えで席が前後になってしばらくしてから
「ねぇ有澤君、“幽霊”っていると思う?」
「……知らねぇよ。」
これが朱鳥とのファーストコンタクトだ。劇的な出会いをしたとか家が隣同士の幼馴染みだとか考えていた奴がいるなら少女マンガとか乙女ゲームの読みすぎやりすぎじゃないのか? 別に読んだりするのを否定するわけじゃない。俺も姉からこういうマンガを勝手に借りたり、金が無くなりそうになった姉が俺にやりあきた恋愛ゲームらを無・理・矢・理売り付けられた。お金を払わされたのだストレス発散のためにやるしかあるまい。俺の姉は横暴だと思わないか。俺も言えたぎりではないけどな...
ファーストコンタクトからしばらくは、お互いに話しかけたりしなかったがどこからか俺がそういうゲームをやっていると聞きつけたコイツは、「ねぇ!隼の攻略ってどうやるの?!」と大声で俺の肩をガクンガクン激しく揺すりながら尋ねてきた。HR後の教室内でだ、周りは何事だとこちらを見てきた。俺は急いで揺すのを止めて鞄を持って朱鳥の腕を掴んで図書室へと向かった。着いてから話を聞いたら、コイツがやっている乙女ゲームのオレ恋の隼ってのが中々攻略できなかったらしい。でっ俺がそういうゲームをやっていると聞いたらしい。確か最近姉から買わされた中にそんなのがあった気がしたなぁと思いゲームの内容を聞くとやはりそうであった。攻略の仕方を話すとありがとうと言い急いで図書室を出ていった。翌日、教室の中に入り机についてすぐにと朱鳥がやってきて昨日の御礼と言い何故かそのゲームキャラの薄い本を渡してきたのだ。俺はおもいっきり頭を叩いてやりゴミ箱に捨ててやった。
「うるさいって何よ!」
「そのまんまの意味」
「そんなの分かって...ハッハッッハックション!! 誰か私の噂でもしてるのかな」
「んなわけないだろう。誰が大きなくしゃみする女の噂なんてするか。」
「余計なお世話よ!」
「立つと見えるぞ」
「...何が?」
「下着が」
「......は?」
「下着だよ。し・た・ぎ。寝っ転がってるから白いのが見えグフッ」
「何見てんのよこの変態!!」
不可抗力だっつうんだよこの暴力女がと言ってやりたいが朱鳥は、俺の右の鳩尾をおもいっきり蹴りやがった。俺だって好きで見たわけではないのに急に立つお前が悪いんだろうが!!
「イッテ~~な」
「天罰よ天罰」
何が天罰だ。朱鳥は制服のスカートを手で押さえ顔をタコみたいに赤くしながら数歩下がりながら言い放った。
しばらくは、ジクジクと鳩尾が痛かったが今はそうでもない。
ふと左腕につけている腕時計を見ると12:20をさしていた。もうそろそろしたら授業が終わり昼休みとなりここにも誰かしら来るだろう。ここの学校の屋上には何故か鍵がかかっておらず誰でも出入りが自由なのだ。なので誰か来たら“面倒なこと”になるなと思い。俺は立ち上がり屋上のドアへと足を進めた。
「どこ行くのよ?」
「何でお前に教えなきゃいけないんだよ」
「何でって私もついていくからに決まってるじゃない! ここにいてもつまんないし」
「......寄り道しながら森上神社に行くぞ。」
「なんで神社なんか行くの?」
「......」
「無言で行くな~~~!!」
まず俺達は、靴に履き替えるため下駄箱へと向かった。その際に他生徒や先生との遭遇はなかった。日頃の行いが良かったせいだろう。
学校を後にした俺達は、自転車置き場から俺の自転車で坂を降りた近くにある商店街で菓子や飲み物などを買った。あぁ、俺達の学校のこと教えてなかったな。この学校は私立なんだが他の私立と比べると学費が安い。なぜなら理事長がここの生まれでこの町には少・中の学校はあるが高校だと他の町まで電車で行かないと無いので自分の持ち山を削って創ったそうだ。
「ん?一馬じゃねぇか」
「こんちは~」
走ってたら店前に暖簾を掛けていた親っさんが話しかけてきた。親っさんこと間壁さんは、親子三代に渡ってこの商店街で寿司屋をやっている。寿司屋を継ぐ前は某有名老舗店で修業を積んでいたそうだ。今は、息子の肇さんを一人前にするために色々と仕込んでいるそうだ。
「こんちはじゃねぇよ。何いっちょまえにサボりなんかしてんだ」
「...」
「“二週間前”のことか」
「......直球ですね」
「遠回しに言うのは柄じゃないんでね。」
「だから、奥さんとケンカするんですよ」
「うっせーよ!...あれは、まぁなんだ。あんま気を落とすんじゃぞ。」
「溜めてそれだけですか。」
「うぐっ。普通は心の中だけに留めとかんか?」
「...俺は“普通”じゃ無いんでね」
「??まぁいいや。昼、まだ食ってないんだろ? 食ってくか」
「今日は、時間がないのでいいです」
「そっか。また今度寄ってけよ」
親っさんと別れてから俺達は商店街をぬけて駅へと向かった。俺達が目指している森上神社は学校から駅を挟んだ反対側に三十分程歩いたらある。駐輪所に自転車を置いて二人で朱鳥にあげたゲームのことを喋りながら(朱鳥が一方的に喋ってきているたけだがな。)歩いていると当たり前だが誰かしらとすれ違う。そのたびにこちらをチラチラ見たりヒソヒソしていた。
「ねえねえ。さっきから私達見られてない?」
「そうだな。」
「もしかして恋人同士だと思われてるのかな」
「最悪」
「なんだと!こ~んな美人でかわいい女子高生と隣で歩いておるとゆうのに最悪だと~~!!!」
「自分で言ってて虚しくないか」
「......うん」
でねっと朱鳥はまたさっきのゲームの話の続きを話しはじめた。
ゲームの話の話のネタが尽きたら次はマンガやラノベの話しになった、以外にもマンガの好みも似ていたのだ。この事が分かったのは一年の三学期に期末テストで俺の寮部屋へ来たときに棚に置いてあるマンガを見て自分もこのマンガ持ってるよと二・三種類のマンガ持って言っていた。あん時は一時間ぐらい喋ってその後、半べそかきながら勉強やったなぁ。朱鳥が。
「ふぃ~。森上神社とうちゃーくっ!」
「はぁ。疲れた。」
俺達は鳥居前で息を整えていた。何故かって? 原因は隣の奴だ。神社まで後数百メートルってとこでいきなり競争だとかいい走り出したからだ。
「ねぇ、学校で聞かなかったけど何で森上神社に来たの? ここ出るって噂になってるとこじゃん」
「......」
「無視すんな!!」
別に競争のことで無視している訳じゃない。これから疲れることするからその準備をするため相手をしていられないだけだ。本当にそれだけだからな。
俺は鞄を持って鳥居をくぐって社へ向かった。手水舎で手と口を洗い社前に着いた俺は二礼二拍手一礼をし、裏の林へと向かった。朱鳥は待ってよぉと俺の後へと続いた。俺は時々後ろを振り向き社が見えなくなってきたか確認をした。そして、見えなくなったので足を止めたそこは少し開けた場所であった。
「ねぇ、こんなとこまで入ってきていいの?」
「......」
「ねぇってば!!」
俺は肩に背負っていた鞄を下ろし中から“数珠”と“お経”を出し、朱鳥に向き直った。
「何でそんなの持ってんの?」
「これからお前を」
――――――――除霊する。