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第五章

公国…皇国…合衆国…帝国 そして王国。世界における五大国家を巡り、マオウシステムの破棄を取り付ける事に成功した勇者。

人間その物の意識の在り方に疑心を生みながらも、世界は打倒マオウシステムへと進み始めた。


だが………魔王ノーブルとの約束


『三ヶ月以内に勇気の証を見せなければ、人類に対しての大虐殺を行う』


その期日は刻一刻と近付いていた。



●第五章 ―約束の刻来たる―


勇者「成る程…これが現状か」


ナビ「今の所、魔王軍側に動きは無い」

帝王「約束の日まであと一日ある筈じゃぁ無かったのかよ」

カイン「逆を言えば、あと一日しか無い…事を起こすための準備と考えれば、むしろ今までが大人し過ぎたんじゃないかな」


エレル「って言うかお姫様、何で帝国側の席に着いてるんですか」

カイン「お姫様って言うな。まぁ色々あって…ボクは今、一応帝国所属だからね」


エレナ「色々と言えば…帝王さんの剣とか鎧とか雰囲気とか、随分と変わったよね」

帝王「あぁ、これか?俺を召還した竜に説教くらって、その時ついでに色々貰ったんだ。んで、話を戻すんだが。そん時に……その」

カイン「ボク達婚約したんだよ」


一同「…………はっ?」


その場に居た帝王とカイン以外の全員が、一瞬事態を飲み込めず…目を丸くした。

成る程…帝王の妃として帝国に所属しているのか。



ナビ「………ロリコン」


帝王「いやいやいやいや!俺の元居た世界じゃぁ、昔はこのくらいで結婚するのが普通だったぞ!?」

ナビ「…自分の責を逃れるために故郷の世界を貶めるのは良くない」

エレナ「しかも、昔って事は…今はそうじゃないって事なんだよね…」


カイン「って言うかさ…席の話しをするんだったら、皇女の方はどうなのさ」


エレナ「まぁうん、そうだよね」

エレル「何で皇国の皇女様が勇者さまの隣にちゃっかり座っているんでしょうね」

エレナ「そもそも、皇国は貴族も王族も解体しちゃったんじゃなかったのかな?」


皇女「はい。私も今回は、一国の代表では無く勇者様のパーティーメンバーとして参加しておりますので」


勇者「……………」


エレル「また新しいヒロインを拾って来ましたね…」

エレナ「…節操無し」

ナビ「ナビというメインヒロインが居るのだから、それで満足しておくべき」


エレル「いやいやいやいや、それはありませんから」


皇帝「…私達は完全に空気になっているな」

公爵「あえて言わないでくれないか…」

大統領「あれだけ色濃いメンバーの前では仕方ないだろう」


戦士「だよなー…」

僧侶「戦士は特に輪をかけて地味だからね…キャラ作りで、黒の甲冑を着込んで来た方が良かったかも」


国王「儂は…孫さえ幸せで居てくれるのならばそれで良い。あえて歴史の影となり薄れて消えようではないか」

大統領「これから起こりうる事を考えると、縁起でも無いのだが…」

皇帝「まぁ私としても、娘が無事勇者殿と結ばれてくれれば……」


カイン「いや、何の話をしてるのさ」



勇者「………よし脱線しすぎた、話を戻そう。現在の魔王軍の動きだが…」

エレル「あ、魔王様から連絡入りました。映像出しますね」


エレル…何故お前がノーブル様からの連絡を受けている。

そんなツッコミを心の中でしている間に、円卓の中央に魔王…ノーブル様の姿が映し出された


魔王「やぁ、皆集まっているようだね。事の詳細は聞いていると思うけど……ついに明日が約束の日だ」


その言葉に全員が息を呑む


魔王「勇者君の行動、この世界の人々を変える勇気…その証明とも言えるの活躍の数々はエレル君を通して知っている」


だから何でエレルがそんな事をしている?


魔王「しかし…それだけではまだ最後の一押しが足りない。勇者君には明日、決戦の地で最後の勇気を示して貰おうと思う」

勇者「それは……」

魔王「そう…それは、この私…魔王を倒す勇気を示す事だ。当然ながら、勇者君が手を抜かないように魔王軍による襲撃準備も出来ている」


勇者「―――っ」

魔王「では、用件は以上だ。また明日…決戦の地で会おう」


エレル「ある意味…予想通りの展開になって来ましたね」

カイン「まぁ、これだけの軍勢を率いてる以上…いざ証を見せたからと言って、はいそうですかって訳には行かないでしょ」


エレナ「勇者くん………」

ナビ「勇者よ…覚悟は良いだろうか?」

勇者「……大丈夫だ。覚悟ならば決めてある」



―決戦の地―


エレル「それにしても…勇者と魔王の決戦だって言うのに、皆さんあんまり緊張感ありませんね」

帝王「まぁ、実際の魔王を見ちまったからなぁ…この戦いにしたって、どうしても出来レースにしか見えねぇんだよな」

エレル「んー…その気持ちも判らなくは無いんですが………ただ、そこまで楽観視出来る状態でも無いと思うんですよね」


帝王「どーいう事だ?」

エレル「魔王様は魔王様で、この計画に同意はしてくれて居ますが…必ずも協力という形を取るという訳では無いと言う事です」

帝王「……つまり…魔王が独断で何かを企んでて…そのために、本当に大虐殺を行う可能性がある…って言いてーのか?」

エレル「そういう事ですよ」


魔王「そう………私は私で思う所があってね。勇者君次第ではそれを実行する事になる」

勇者「本気で立ち向かわなければいけない…そう言う事ですね」

魔王「判って貰えて嬉しいよ。さぁ、準備は良いかな?」


エレナ「勇者くん、頑張って」

アリーツェ「勇者様、どうかご武運を…」

ナビ「やる気を出すのは良いが、力み過ぎるのも良くは無い。裁量に気を付けるべき」


帝王「よし、一発かまして来い!」

ヤス「勇者様…大丈夫ッスよね?」

カイン「一応パーティーのリーダーなんだから、無様な姿だけは晒さないでよ?」


戦士「前回の俺達は見れなかった戦いだ、期待してるぜ」

僧侶「勇者なら大丈夫。私達は信じてるわ」

エレル「勇者さまも魔王さまも頑張って下さいねー」


いやだから、お前は一体どっちの味方なんだ。


勇者「よし……では始めましょう」



こうして切って落とされた戦いの火蓋。


戦場の中央に、お互いの力で形成される結界……儀礼を兼ねて、周囲への影響を最小限に抑えるための措置

そしてその形成が終え、外の世界との繋がりが断たれた瞬間……


俺と魔王…ノーブル様を中心に、魔力がぶつかり合って発生した竜巻が吹き荒ぶ。


勇者の剣を持った勇者と、魔王の剣を持った魔王。

………その性質上、絶対魔力量の差で魔王が圧倒的有利…の筈だが、俺は前回の力を引き継いでいる。

恐らくだが、力での勝負であればほぼ互角。

となれば、勝敗を決めるのは………いや、これを語るのも最早無粋か。


魔王「勇者の力、見せて貰うよ」


そう言って魔王の剣を振り、風を切るノーブル様…魔王。

更にその返しの刃で何度も空を切れば、それは見る見る内に無数の剣戟へと変わり……


勇者「これが先々代勇者の剣技…」


更にその剣戟が光りを放ちながら周囲を覆い尽くし…光りの壁へと姿を変える。

そしてその光の壁が、俺に向けて一直線に迫り来る……が、それをあえて避けない。


次々に…壁を形成する分と同じだけの剣戟が俺を飲み込む。

決して少なくは無いダメージを受けながらも、それを食らい…次の一撃へと備える。

そう…勝負は恐らく次の一撃。


剣を構え、光りの速さで踏み込む魔王。そう、本来ならば…視認した時点で回避行動を取っては手遅れとなるこの一撃。

これを防ぐためにはどうすれば良いか、答えは一つしか無い


魔王「何…だって?まさかこれを読んで―――」


そう、その攻撃を読んで待ち構えるしか無い。


迫り来る魔王の剣に勇者の剣の切っ先を当て、後はその場に留まるのみ…そうしてカウンターを当てた事により、周囲に衝撃が走る。

衝撃は重圧となって光も音も飲み込み、景色も騒音も歪め…体制を崩した魔王をその中心へと引き寄せる。


衝撃や魔力やらが迸り、捻じ曲がるその中心に更に足を進め……俺は大きく剣を振りかぶる。

ありったけの力を込め………

重圧の中心を切り裂き………………


魔王に向けて………決着の一撃を放つ。



―――宙を舞う魔王の剣


弧を描いて空高くへと弾かれ、やがて結界にぶつかって地面へと落ちるそれ。

そして………天を仰ぐように、仰向けに倒れ込む魔王。


魔王の視線は、魔王の剣を失った己の右腕へと向けられ…やがてその瞼を下ろす。


勇者「まだ…続けますか?」

魔王「いや…私の完敗だ。さぁ…最後のけじめだ、勇者君の勇気の証を見せて貰おう」

勇者「はい…貴方に対する俺の勇気の証、今それを見せます」


そう言って、俺は剣を天に掲げ……


魔王「そう…それで良い。これで私により作られたてしまった悪意は、終わり…」

勇者「我は勇者!今ここに魔王との決着を宣言する!!異を唱える者は、前に出よ!!」


と、宣言を行い…掲げた剣を下ろし、鞘へと納める


魔王「………剣を収めるとは、どう言うつもりだい?早く止めを…」

勇者「これが俺の勇気の証です」

魔王「…まさか…」


勇者「そう…貴方を殺さずにこの戦いを終わらせる。その覚悟を決める勇気だ!!」

魔王「そんな詭弁が…」

勇者「通る!いや、押し通す!そしてこの意思もまた勇気だ!!」


魔王「ハハ……ハハハ、成る程……私の負けだよ。その勇気…認めよう」


カライモン「と言いますか…戦士様と僧侶様をお救いし勇者の剣を手に入れた時点で、魔王様は勇気の証明として認めておられたのですけれども…はい」

勇者「えっ」

カライモン「しかし、其処から様々な活躍をなされたために引っ込みが付かなくなり…今回の決戦に到った…と言う訳で御座いますので」


勇者「では……まさか」

魔王「そう…ここに来る前から、既に魔族の彼等の中の悪意は無い。エレル君の協力により取り出された後だよ」


エレルめ…不自然なまでにノーブルさまとのパイプがあったのはそのせいか。

まぁ…俺の頼みを聞いて悪意の抽出をしておいてくれたのは嬉しいんだが……


帝王「結局出来レースかよ!ハラハラさせんじゃ無ぇよ!」

カイン「まったく…とんだ茶番だよ」

エレル「んー…全部が全部茶番って訳じゃ無いんですけどねー」


カイン「って言うと?」

エレル「例え悪意は無くても…悲しみと罪悪感に駆られながらでも、人類を殺戮する事は出来ますからね」


帝王「………」



カライモン「そうそう、因みに…本来ならば決着後に再生させる筈であった魔王様の遺言も此方に御座います」

魔王「えっ」

カライモン「聞いた話によれば、前回ではこれが定番だった様で…後で皆様の前で観賞会を催させて頂きましょうか」

魔王「いや…うん、待ってくれたまえ。流石にそれは…」


帝王「ま、これだけの騒ぎを起こしてくれたんだからそのくれぇは仕方ねぇよなぁ」

エレル「魔王様…一人だけ逃げようなんしませんよねー?」


あ、エレルは前回の事なのに結構根に持ってるみたいだ。


魔王「仕方無い…でも、その前に最後に一つだけやらなければいけない事が出来てしまったみたいだ」

エレル「何をする気ですか?」

魔王「最低限の落とし所…いや、落とし前かな」


そう言って、上空に自らの姿を映し出す魔王。

あの投影魔法は、星天の柱の機能ではなく魔王の魔法だったのか…


魔王「この世界に住まう人間よ…我は魔王なり」

魔王「此度の決戦により、我は勇者に敗北した…その事を宣言する」

魔王「そして、これにより。全ての処罰を我…魔王に対してのみ執行する事を希望する」

魔王「この希望が通るならば、我々魔族は人間に対して今後一切の危害を加えない事を約束……」


と、その言葉を終えるよりも先に…俺は後ろから魔王の兜を外す


魔王「………え?」



―王国 中央通り―


国民A「…………え?あ、あれ…ノーブル様じゃないか?」

国民B「勇者ノーブル様…だよなぁ?」

国民C「でも、角が生えてて……え?本当にノーブル様が魔王?」


―決戦の地―


魔王「何を考えて居るんだい!?何故こんな―――」

勇者「それはこちらのセリフです。言った筈…貴方を殺さずにこの戦いを終わらせると」

魔王「いや…その戦いと言うのは、あくまで……」


勇者「違います…マオウシステムに関わる全て戦いです」



―王国 中央通り―


国民A「マオウシステム?何だ?勇者様達は一体何を言っているんだ?」

国民B「それより、何でノーブル様が…」

国民C「もう訳が判らない……お願いだから誰か説明して!!」



―王国上空―


勇者「と言う訳で………これを見ている皆は何を言っているか判らないと思うので、説明させて貰おう。魔王の仕組み…マオウシステムの事を」


勇者「マオウシステムとは…その名の通り、魔王を…人類共通の敵を維持するための仕組みの事」

勇者「更に言うならば…魔王のみならず、勇者もその仕組みにより作られた存在だ」


勇者「勇者とは、魔王を倒す事が出来る唯一の存在…当然ながら皆はそう認識しているだろうが、実はそれは間違いだったんだ…」

勇者「魔王という存在を維持するため…予備、あるいは補充要員として魔力を集積するための存在なんだ」


勇者「そして、勇者か魔王…どちらかが死ぬ事で、生き残った方が魔王という存在を維持し、新たな勇者がまたどこかで覚醒する」

勇者「これがマオウシステムの根本だ。では次に…詳細を話して行こうと思う」



―王国 中央通り―


国民A「それで、ノーブル様が魔王に…?」

国民B「ちょっと待ってくれ、何を言ってる?」

国民C「でもそれだと…私達が思い込んでた魔王って…」



―合衆国上空―


勇者「まず始めに、魔王の配下に当たる魔族………彼等は元々は、皆と同じ人間だ」

勇者「それが、マオウシステムの発生と共に今のような姿に変質し…人間を憎むよう、悪意を植えつけられた。モンスターに至っても同様だ」


勇者「そして、勇者に覚醒した人間は魔族やモンスターを倒す事でその魔力を吸収し…力を得て魔王の下へと向かって行く」

勇者「これにより…魔王軍という敵と、勇者という希望を持つ事で、人々は目の前の人間関係から目を逸らして来た」


勇者「さて、ここまで話せばもう察しは付いているかも知れ無いが……各国の代表達もこの事は知っていた」

勇者「しかし…それを国民に知らせる事無く黙認…あるいは維持に加担してきた。それは何故だと思う?」



―合衆国南部―


部族民A「………」

正規国民A「成る程…ね」

正規国民B「マオウシステムを国政に利用して来た……って事だよな」

部族民B「いや…それもあるだろうが…」



―帝国上空―


勇者「このマオウシステム自体が…人類間戦争の産物として、人間の集団無意識の中で生まれた平和維持のためのシステムで…」

勇者「その存在を望んだのが、当時の人類……そして」


勇者「今現在もこれを望み、維持して居るのが………他ならぬ世界中の人間だからだ!!」


勇者「望んで居ないと断言できる者は良い…だが、少しでも疑問を持つ者は考えてくれ」

勇者「果たして自分が各国の代表達を責められるのかどうか」

勇者「そして、本当にマオウシステムが不要だったと…断言出来るのかどうかを」



―帝国 闘技場前―


兵士A「改めて聞かされたら…まぁ、全く必要無いだなんて言いきれ無いよなぁ…」

兵士B「ってか、少なくとも数ヶ月前までは帝王様はこの事知らなかっただろうな」

兵士C「あぁ、もし知ってたら隠し通せる筈無いもんな」



―公国上空―


勇者「俺は…この事を知った後、悩みに悩んだ。そして、とある一つの結論に到った」

勇者「人間は、マオウシステムに依存しなくても生きて行く事が出来る…」

勇者「他人のせいにするのでは無く、自分自身と向き合える強さを持つ事が出来ると!」


勇者「だから俺は、打倒マオウシステムを決心し…その計画を各国の代表達に告げた」

勇者「全ての人々の心から、憎しみや悪意…魔王や勇者に対する依存心を消し去り…」


勇者「その根本にあるマオウシステムその物を、討ち砕くという計画を!」


勇者「ちなみに…その際にはあえて黙っていたが、こうして皆にマオウシステムの事を暴露する事も計画の一つだった」


勇者「代表の皆………すまない」


国王「なに…最初に話しを聞いた時点で察しは付いておった」

公爵「問題無い。それも折り込み住みで経済計画は立ててあるからね」

皇帝「勇者の当然の権利と考えて良いだろう」


帝王「むしろ、隠して居たつもりだった方が驚きなんだが…」

勇者「えっ」


大統領「正直、いつかやると思って居たよ」

勇者「えぇっ…」



―公国 中央市場―


商人A「って言ってるけど……」


商人B「そうなると………武器の売れ行きが悪くなって、工具の需要が跳ね上がるよな」

商人A「だよな!こうしちゃ居られねぇ!鉄の買占めを急げ!それと木材も!」


商人B「武器の時とは比べ物になら程需要が上がるぞ……そうだ!植林用の苗木も確保しとこうぜ」



―皇国上空―


勇者「………コホン。と言う訳で…マオウシステム及びその打倒計画の全容は判って貰えたと思う」


勇者「こうやって皆に事実を聞いて貰った事で、マオウシステムの秘匿性は無くなり…事実上は瓦解した筈だが」

勇者「それでも全ての人から憎しみや妬み…マオウシステムを望む心が無くなった訳では無い」

勇者「仮初とは言え、平和の正体を暴いた俺を恨む者も中には居るだろう。割り切れない者は、正面から俺にぶつけてくれ」


勇者「ここから先もまだ長い道のりが続いている…だから俺はこれから先も皆に訴えかけて行く。そして皆に願う」

勇者「誰かに責任を求めるのではなく…自分自身と向き合い、認められるだけの心を持って欲しい…」



―皇国―


国民A「まぁ…急にこんな事を言われても…」

国民B「そう、いきなり信じる事は出来ないわよね。もしかしたら、魔族の罠なのかも知れ無い訳だし…」


国民A「お前はどうする?」

国民C「勇者様の言葉だし…ノーブル様の姿も確認したけど…やっぱり」


国民B「自分で納得できるまで、とことん確認する…しか無いわよね」

国民A「だよな」


こうして………魔王…ノーブル様に対する勇気の証明も終わり、魔王システム破壊計画も大きな進展を見せた。


前回よりも明らかに強くなって居る人々の心…

マオウシステムへの依存から解き放たれ、本来進むべき道を見出し始めた人々……

万事が上手く行っている…この先も上手く行く…そう思えるには十分過ぎる程の手応えを感じた



―王国地下 七天の支柱―


ナビ「ここまでの道のり…長かった。そう、とても…とても長かった……」

ナビ「しかしこれならば、今度こそ…マオウシステムを打ち砕く事ができるかも知れない」


エレナ「そうだね…この調子で行けば、ナビちゃんの目的を果たす事もできそうだね」


ナビ「―――!?……エレナ…何故ここに?」

エレナ「エレルに送って貰ったんだよ」

ナビ「質問を変える…どのような意図でここに?」

エレナ「ナビちゃんと話をするため…かな」


ナビ「理解した…他者の介入が好ましく無い内容という事だろうか?」

エレナ「うん、私じゃなくてナビちゃんにとってね。私、ナビちゃんがしたい事が大体判っちゃったんだよ」

ナビ「………照合を希望する」


エレナ「まず最初………勇者くんにセーブとロードを与えた事………これは、ある事に対して勇者くんを馴れさせるための物だよね?」

ナビ「…肯定する」

エレナ「慣れさせなければ…もしやり直しが利かない状況だったら、まず初見でも何とかして…勇者くんは変わらなかっただろうしね」

ナビ「その分析を肯定する」


エレナ「次に…合衆国の件。あれって、さっき言った件も含めて…予定外の力で解決しちゃったけど、本当は起きて欲しかったんだよね?」

ナビ「………肯定する」


エレナ「そして………さっきの決戦の行く末。あれもエレルの介入が無かったら、正直どっちに転んでもナビちゃんの計画通りだったんだよね?」

ナビ「………肯定、そして同時に質問する。それを知った上でエレナは私に何を望む?」


エレナ「ナビちゃんの本心かな…ナビちゃんがどうしてその目的に拘るのか…その理由」

ナビ「私の目的…マオウシステムの消去。それは私の義務であり存在意義」

エレナ「それは嘘だよ。ナビちゃんを見てれば判るから…それが義務感からじゃなくて、自分の感情の結果だって…」


ナビ「………理解した。エレナをこれ以上欺く事は不可能。故に話す…私がマオウシステムの消去を望む理由を―――」



エレナ「―――成る程…そういう事だったんだね。それじゃ最後に一つだけ質問なんだけど………私達って、本当に存在してるんだよね?」


ナビ「勇者にも同様の質問をされた。私の主観で良いのならば…この世界とこの世界の住民は皆存在していると断言する」

エレナ「ナビちゃんの視点でも…やっぱりそこまでしか言えないんだね」

ナビ「例え何者であっても、自分が最上位の存在であり投影された影では無い…という事を断言する事は不可能。故に………」


エレナ「逆にこうやって…自分の存在を疑うおうとも、その疑問を持つ自分の存在を認識する事こそが絶対的証明…って事だよね」

ナビ「その通り…力不足故に満足な回答を行えず、申し訳無い」


エレナ「ううん、ありがとう。真実よりも、ナビちゃんが私達の事を軽んじてる訳じゃない…っていうのが判った事の方が嬉しかったから、結果オーライだよ」


●第六章 ―ナビゲーションシステム― に続く

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