ミッチーは、語る
次の日からは、行きやすい会社から攻めて言った。
大体の会社は、新商品の説明を聞いてくれて、その場で注文もくれた、会社があった。
そして、最後に行きづらい会社を訪問する。やはり、門前払いに近い対応も、あった。
その後で、二人で車に乗り込むと田村が言った。
「やっぱ、ここは相手にしてくれなかったな、ミッチー!」
「ああ・・でも、これで今日は営業部に戻って、一日、終わりだよ。とにかく、今日は終わりだ」
二人で、笑い、明日も頑張ろうと声を掛け合う。
そんなことがあってか、僕は、普段、一人で御得意様を回る時も、行きやすい所から回るように、なった。
そんな、ある日、たまたま田原と、また同行して仕事をすることになった。
ふいに僕は、聞いた。
「ミッチー、子供は、まだ、いないのか?」
田原は、少し間をおいて、まだ、いないと答えた。
しばし、沈黙の後に田原が言った。
「俺の妻は、身体が弱くてな。しかも、結構、高齢なんだ。俺は、やっと今、仕事が落ち着いて、本当に子供が欲しい、今なら育てられると思うんだ。まぁ、ぶちゃっけ今まで、ずっと俺がゴム付けてたんで、できなくて当然なんだが、最近、切実に子供が欲しいよ。したら、妻は、『女の子が欲しい』って言ってな・・」
田原が少し、曇った表情をした。
「女の子、いいじゃないか!いてくれるだけで家庭が明るいぞ!!」
僕が、そう言うと、田原は、
「いや、まぁ、そうなんだが、俺は、男の子が欲しいんだ。将来的に妻を支えるのは、やはり、男の方が頼もしいなと。俺の私論だが。俺には、女の兄弟はいなくて、男である、俺としては、男の子の方が色んな意味で、力になってくれるのでは、ないかと思うんだよ」
「まぁ、ミッチーの気持ちや、言ってることは、分からないこともないが、子供の性別は決められないからなぁ・・」
「確かに一般的には、そう言われているが、男女の生み分け本みたいのがあってさ。俺、妻に内緒で、それを見て、男が生まれやすい子作りを実践してみようかと。まぁ、近々に・・」
「ふーん、そういうことをね。俺は、男でも女でも、どちらでも幸せだと思うけどな」
それを、聞いたミッチーが笑った。どこか、寂しそうだった。




