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第二話 痛い視線と、衝撃の事実にまたもや呆然とする僕

ようやく続きを書けました。

 突然声をかけられて僕は固まった。僕は、今までの数分間、自分がどれほど普段とはかけ離れた行動をしていたのかを思い出してしまった。意図せずに顔が()()るのを感じた。僕は、僕の周囲の奇妙な静寂を感じながらゆっくりと振り返った。笑っているような心配しているような表情のコウジと目が合った。

 数秒の()のあと、彼は同じ表情のままもう一度口を開きかけたが、直後に僕のとった行動のせいで口を閉じることになった。


 僕は弁解する手段を確保するために、勢いよく首を元の方向に戻してさっと手を伸ばしもう一度あいつを捕まえた。あっ、とか言いながら先ほどのようにじたばたと暴れて逃げようとするが、そうはさせない。学習能力の無いやつめ。


 僕は表情に力を込め、コウジたちの前に、僕の日常をぶち壊しやがった存在を突き出し、言った。


 「こいつが先ほどの授業中に突然僕の前に現れてな。少々取り乱してしまったんだ。理解してくれ。……だからもうそんな目で見ないでくれないか」


 いつの間にか手の中のはた迷惑な自称天使はおとなしくなっていた。


 皆の様子がおかしい。とても簡潔に完璧な説明をしたはずなのに、誰一人として納得していないようだ。それどころか、皆一様にかわいそうなものを見る目で僕を見つめてくる。何だというんだ。あまりにも非現実的なものを目の当たりにして、理解が追いつかないのか?


 コウジが皆と同じような表情を浮かべ、恐る恐る口を開いた。


 「……マサキ、ごめん。何のことを言ってんのかさっぱり分かんない。その手は何?」


 またもや僕の全身が固まった。どういうことだ。まさか……。とある可能性が頭をもたげ、僕も恐る恐る問い返す。


「……まさかとは思うが、この……天使もどきが見えない、などと言うのではあるまいな。お前の目の前にいるんだぞ。……頼むから僕だけにしか見えていない、などと恐ろしいことは言うなよ。コウジではなくても良いから誰か否定してくれ!」


 切実な瞳で見回しても、皆あいまいな笑みを浮かべて無言で視線をそらすだけだった。


 絶望感が襲ってきた直後、僕を奈落の底に落としてくださった、天使サマのありがたい一言。


 「言ってなかったっけー? この中でボクの姿を見れて声を聞けるのはマサキくんしかいないよ☆ ふふっ」


 ……初耳だ。どうして、こんな状況になる前に教えてくれなかったんだ!


 自称天使は天使らしくにこりと微笑んで可愛らしく言った。


 「伝えるの忘れてた! てへっ☆」


 脱力感に襲われ、意識がどこか遥か遠い宇宙まで飛んでいきそうになる。なんとか踏ん張り、この状況をなんとかせねばと思いゆらりと椅子から立ち上がった。


 「……どうやら僕は致命的に疲れているようだ。保健室で休むことにする。コウジ、先生に伝えておいてくれないか」


 「あ、ああ……。ゆっくり休め……」


 扉に向かうと、遠巻きに見ていたクラスメイトたちが素早く道を開けてくれた。


 教室を出たとたんに後ろで皆のささやき声が爆発し、頭を抱えたくなった。


 何気なく横を見るとやはり自称天使もついて来ていた。鼻歌でも歌いだしそうな表情だ。少しは反省して欲しい。


 「ねえねえ、『ほけんしつ』って何? そこに行くの? 楽しみだなっ☆ ほらはやく行こうよー!」


 ああ、とため息をつく。僕の平穏な日常はどこへ……。

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