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小説を書く時のヒント集  作者: 電式|↵
作品の書き方・アドバイス
8/13

読者が夢中になれる書き方をしよう!

どうも。電式です。最終更新から一年が経とうとしている中での投稿になりました。

……忘れてなんかいません!



……えー早速ですが、物語に没入して小説を読んだ経験はありませんか?

まるで自分が主人公になったかのようで、自分の目に見えるものがありありと想像できて、時間なんか忘れてしまう――そんな小説を書けたら素敵だと思いませんか?


というわけで今回は、「読者が没入できる物語」についてのお話です。

読者を世界観に引き込むことができれば、自然と次話へのリンクをクリックしてもらえるようになるかもしれません。


ただし、ここに書いてあることができたからといって、アクセスが増えるかどうかは分かりません。

面白いかどうかは、色々な要素や読者の趣味などによって変わってきます。

これは、あくまでその中の一要素、ということを最初に断っておこうと思います。



ではでは、最初に結論を一つ。


結論:描写をしっかり描いて、没入できる環境を作ろう!




えー、最初に説明するのは、「読者と作者では見る視点がまったく違う」ということです。


まず、読者が小説を読む場合を考えてみます。

読者が小説を読むということは、文章から情報を受け取るということですね。

これを簡単にまとめると、こんな感じになるでしょうか。



文章を読む

 ↓

理解する

 ↓

イメージする



 文章を読んで、理解して、イメージという三段階。とてもシンプルですね!

 私が集中して小説を読む場合はこんな感じですが、もしかしたら違った読み方をなさる方もいるかもしれません。違った読み方をしていたならば「あ、こんな読み方をする人もいるんだ」と頭に入れてもらえればと思います。

(私がマイノリティじゃないことを祈ります)


 これは、小説を読む基本になる読み方だと思います(そうであってほしい……!)

 見た目は簡単なスリーステップですが、作者にとってはこれが難しいのです。


「え、どこが難しいの?」


 作者は小説の中では神様です。

 神様は、読者が普段意識しないところまでしっかり作っておく必要があるからなんですね。


 例えば、10代向けの小説を書いているならば、難読漢字の使用は避けるか、ルビを打つなどの対策が必要になってくるでしょう。

 そうでなければ文章を読むことができません。


 また、分かりにくく難しい表現を使っていると、言葉の意味を理解することに精一杯で、作品が楽しめず苦痛になってしまう可能性もあります。

 読みたい気持ちより苦痛が大きくなれば、そこで読むのをやめてしまうかもしれません。




 さて。上記二つの問題については今度扱う(かもしれない)ものとして、今回の本題は「イメージ」について。




 小説は場面をイメージしながら楽しむことができます。

 その中で、ある小説はしっかりイメージできたのに、別の小説はあまりうまくイメージできなかった、ということはありませんか?

 もしかすると、その原因の一つは作者の描写力にあるのかもしれません。

 そのことについてお話しようと思います。


 ところで、例えば演劇を見に行ったとして、観客の目が行くのはなんでしょうか?

 きっと舞台で役を演じる人たちだと思います。


 しかし、観客はその人達だけをずっと見ているわけではありません。舞台セットや小物などにも目が行くと思います。

 メインは演劇なのですが、その周辺にも目が行くということですね。


 もし、舞台セットがなかったらどうしましょう? 小物がなかったらどうしましょう?

 役者と無機質な壁やカーテンがそこにあるだけの演劇。面白みがありませんよね。



 これと同じことが、小説でも言えるのです。



 むしろ小説にそのまま当てはめることができますね。

 その場合、役者さんとはもちろん登場キャラクターのことを指しますね。


 背景がない、あってもかなりお粗末な背景の演劇――ちょっと考えにくいですが、それと同じ状態になっている小説を書いている人って、結構いるようです。


 実は私もそんな一人でした。

 お話を早く進めたくて、書きたいシーンがあって、キャラのやり取りを考えるのが楽しくて――そういう理由で背景をお粗末にしてしまうことがありました。

 でもよく考えれば、キャラクターと背景って、切っても切り離せない関係なんですよね。


 例えば主人公が教室に入るシーンなら、ドアを描写しないといけないです。そのドアは木製だったり、もしかしたら金属製だったりするかもしれません。

 描写をしようと思えば、こういう細かいところも描写できます。


 他にも、教室なら主要キャラ以外にもモブキャラがたくさんいてもおかしくないですね。モブキャラも、主人公たちと比べれば、背景も同じです。

 アニメで言うなら、動かない生徒や一般人に当たるところですね。

 小説では簡単な描写でモブキャラたちに動きを与えることができるので、ぜひリアリティを追求してほしいと思います。


 では、同じ場面を2つ描いて、違いを具体的に挙げてみますね。



*例1*


 僕は今日も重い身体を引きずって教室の入り口で立ち止まる。昨日のこともあったし、アイツ絶対何か言ってくるに違いない。


「開けたくないなぁ……」


 そう呟きつつ、僕は渋々ドアを開け、教室の中へ。


「あ、お前、昨日はよくもあんなことしてくれやがったな!」


 やっぱり。


「いや、誤解なんだ、ちょっと話を聞いてくれよ」


「まずは先に殴らせろ!」


 彼の振り上げる拳を何とかしないと!


「まてっ、それより先に僕の話を聞いて!」


「うるせっ!」


 振り下ろされる拳――保健室に予約を入れておくべきだった。




 はい、背景をお粗末目に描いた一場面です^^;

(ありきたりそうな設定ということはご勘弁を……)


 これでも一応読めないことはないですが、この場面の背景をもう少し描いて、読者にその場の状況をより詳しくイメージしてもらえるようにしてみます。



*例1改*


 僕は今日も重い身体を引きずって、教室の入り口で立ち止まる。昨日のこともあったし、アイツ絶対何か言ってくるに違いない。

 教室の窓越しに聞こえる喧騒。イエァーッ! なんて雄叫びも聞こえてくる。


「開けたくないなぁ……」


 閉まっている鉄製のドア。今の僕には開ける気力はない。

 ドアの前に立つ僕の背後を、二人組の生徒が駆け抜けた。上履きの金切り音が廊下に響く。朝っぱらからみんな元気だよね。その元気を僕にも分けて欲しいよ。

 僕はドアの取っ手に手を掛ける。力を入れるとドアはゆっくり、重々しい音を立ててスライドする。今日はいつもより重かった。君、ちょっと太ったんじゃないか? ……なんて下らない。


 僕は教室の中へ足を踏み入れた。いっそう大きくなる喧騒に混じって、僕に向けた挨拶が飛んでくる。呼ばなくていいよ。アイツに聞こえるじゃないか!


「あ、お前、昨日はよくもあんなことしてくれやがったな!」


 ほらやっぱり見つかった。

 僕は遅かれ早かれ見つかるものだと、クラスメイトを恨みそうになる自分に言い聞かせる。よし、まずは誤解を解こう。


「いや、昨日の件は誤解なんだ、ちょっと話を聞いてくれよ」


「まずは先に殴らせろ!」


 彼の一言に、数人のクラスメイトが僕達に目を向けた。……目を向けたついでに助けてくれるとありがたいなぁ、なんて。

 ……って、それよりも彼の振り上げる拳を何とかしないと!


「まてっ、それより先に僕の話を聞いて!」


「うるせっ!」


 振り下ろされる拳――保健室に予約を入れておくべきだった。




 どうでしょうか。

 対比を分かりやすくするために描写を多めに入れました。

 背景の描写が増えただけではなく、背景に対する「僕」の気持ちや感想の描写が増えましたね。

 前者と後者、どちらのほうがより具体的にイメージできたでしょうか。



 読者は、小説本文に書かれたことをイメージしようとするでしょう。

 物語に入り込んでもらうためには、キャラクターもそうですが、それ以外の周辺の描写もしっかりできるようになっておくといいと思います。


 ただし、背景描写は多すぎてもクドくなってしまいますし、少なすぎると意味がないです。バランスが大事ですね。

 さっきの例はちょっとクドかったかな……と、書いてて思いました(笑)


 恐らくですが、読者さんもくどいと感じたら少し読み飛ばすでしょう。

 大は小を兼ねると言いますし、描写が少ないと言われるよりは、気持ち多めに背景を描写するのもありかなと個人的に思います。

(個人的に思っているだけですので、裁量はご自由にお任せします^^;)




*ヒント*

 ただ単に描写を増やそう、というだけではやりづらい人もいるかもしれないので、使えるかもしれないし使えないかもしれないヒントを。


・描写したい場所で、一人称ならキャラクター、三人称なら神様の視点から「見えるもの」「聞こえるもの」「匂うもの」を具体的に想像してみます。

(例:高層ビルなら「天に向かって伸びる、ガラス張りの脅迫的な高層ビル」)


・想像したものは書き出して言葉にします。

 言葉にすることで、自分の想像したものがハッキリと認識できるようになるのでオススメです。


・キャラクターの意識の中にあるものならば、それまでの物語の流れや心情から、それについて意見や感想などを書き、その中から必要な物を()ります。


・さっきの例を見比べて、色々違いを考えてみるのもひとつの手です。


*****





 描写が面倒だと思っても、ちょっと我慢して書いてみてください。

 それだけできっと、見違えるようになるはずです。



 ……このように、読者の視点と作者の視点は大きく異なります。

 読者モードのときには気にしなかったような、ほんの些細な一言の記述も、自分でちゃんと意識して書かなければいけないのです。

 その些細な描写は、作者の自分にとっては重要でなくても、読者さんにとっては、物語のイメージに大きく影響を与える重要な描写になることだって考えられます。


 たかが描写、されど描写。

 ここで紹介した方法以外にも、描写方法はあると思います。

 色々と描写を試してみて、より魅力的で引き込まれるような作品作りに挑戦してみてください!




***まとめ***


読者と作者では視点がまったく違う!

作者は、普段読者として読んでいるときには気づかないような細かいところまで意識して配慮しないといけない。

読者の苦痛にならないよう、色々試行錯誤で工夫してみよう。



物語に入り込んでもらうためには、そのイメージの元になる描写が重要。

特に背景描写をしっかりすることで、読者のイメージが"白いキャンバスにキャラクターだけ"になる事態を避けることは重要。

描写をしっかりすると、リアルになる分読者も想像しやすくなる(はず)。


*********


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