リメイクで損してませんか?
そろそろ、このノートに新しいページを書き加える時期ですね。電式です。
いや、まぁあれですよ。なかなかいいお題というのは、そう簡単には見つからないものです。
今回は投稿後のお話です。
趣味で小説を書いている人は、過去の自分の小説を修正したいという思いを抱いたことがあるのではないかと思います。
実際に小説の修正を行った経験のある人も多いのではないでしょうか。
私もその一人です。
結論:改稿、リメイクのやり方は十分考えよう!
小説のクオリティを上げるために大きな修正をしたい。
しかし方法を間違ってしまうと、気づかないうちに大切なものを失ってしまってしまうかもしれません。
「さて、一度投稿した小説を、どうやって修正しようか」
修正を決意した人がその方法を考えて実行するとき、その人の考え方がにじみ出てきます。
一部の手直しならば、そのまま各話編集画面から進めれば良いわけですが、大きな手直しとなると、方法が変わってくる方もいるのではないでしょうか。
なろうで時折見かけるのは「以前の小説を一度削除(または非公開に)して、品質を上げたものをもう一度投稿しなおす」というパターン。
私はなろうに居座って執筆をはじめて8年目になりますが、この方法を積極的に採用したことはありません。
その理由を今回はこのノートに記したいと思っています。
総合的な理由として挙げるのは、私のポリシーとして「自分も読者も楽しむ」という点から考えた結果、そのやり方を常用するのは良くないのではと考えている点です。
自分の作品を削除して再投稿する作者のねらいはなんでしょうか。
もしそういう選択をしようと判断する理由を挙げるなら、なろうのシステムでは新作として掲載されますので、そのご祝儀的なアクセスと、あわよくば評価ポイント急上昇によるランキング入りを狙っているのかもしれません。
後退的な理由で言えば、自分の未熟な作品をインターネット上で公開していることに恥ずかしさを覚えて削除をする、とか……
;゜゜)
∩
……うーん、後退的な理由に関しては、それで改稿版を出したとしても、後々恥ずかしくなってまた消して再投稿を繰り返しそうな気がするのは私だけでしょうか。
理由は人によって様々だと思いますし、その理由を網羅するつもりも、偉そうに禁止するつもりもなく。
むしろ本当に必要なら、私もその方法をとるかもしれませんし……
私がこの方法を避けている理由は3つあります。
まず1つめ。
「以前の読者を切り捨ててしまいかねない」
小説を削除して再投稿すると、Nコードが変わります。すると当然小説のURLも変わります。
お気に入り(ブックマーク)登録している読者は再投稿された小説にアクセスできなくなりますし、それはブラウザ等のブックマークや、ショートカットのリンクを設定していた読者にとっても同じことだと想像がつきます。
読者が作者の名前を覚えていれば――いえ、作者名は変更できるので、もっと正確に表現するなら「作者のユーザーIDを覚えていれば」でしょうか。そうであるなら再投稿された小説にたどり着くことができるでしょう。
自分が読者だとして、ブックマークに入れた小説の作者の名前やユーザーIDを全て言える人はどれくらいいるでしょうか。
自分が作者だとして、ブックマークしてくれた読者の100%が、再投稿された小説に移住できる自信はあるでしょうか。
たとえ活動報告で発表したとしても、読者が全員その活動報告を見ているとは限りません。
再投稿すると、どうしても「切り捨てられたファン」の存在を否定できません。
2つめの理由。
「移住できても、移行前の全話が見られるとは限らない」
もしこれが生じれば、読者にとって残念なことです。
そして、これは作者のマーケティング上・あるいは作業の進捗上の理由から起こりやすいのではないかと私は考えています。
マーケティング上の理由はお察しの通りで、作業上の理由は改稿にはそれなりの時間がかかる、というものです。
しかし、物語を読むことを「徒歩の旅」に例えると、読者の醍醐味は物語の中身、つまり「道中の景色や風情・空気感」であって、アップグレードされた文章は、進むにあたって「歩きやすい地面か」ということでしかないのです。
もし、移住した読者が新たに1話から読み進めたとして、知っている物語の途中で最新話になっていたら。
その先の景色を見たい読者にとっての本懐を果たせないことになるのではないでしょうか。
3つめの理由。
「信頼というステータスを捨てることになる」
小説家になろうでは、日々新しい小説が投稿され、日々小説がエタって沈んでいきます。
そんな中で1つの小説の執筆を続けた、それは信頼のステータスではないでしょうか。
小説の目次ページの各話の日付、それが作者の活動の証拠で、匿名なネットでの貴重な実績です。
もしかしたら「ちゃんと続けている小説」を探している読者もいるかもしれません。
削除と再投稿は「この小説はちゃんと続くの?」といった疑問を払拭することが難しくなります。
リメイクするほど愛して手掛けてきた作品への信頼をリセットしてまで、再投稿する。
そこまでする必要があるのか、自分の心の中で天秤をかける必要があると思います。
小説のアクセス、ブックマークや評価ポイントなどといったものがもらえて嬉しいのならば、なぜそれが嬉しいのか、一度考えてみてもいいかもしれません。
私は、その問いに対して「自分の作品が読者から大切に思われているから」と考えます。大切に思われるから、アクセスがあって、評価点があるんだと考えています(数字の揺らぎに踊らされちゃぁいけない!)
読者から小説や自分を大事にされたくば、作者もまた小説や読者を大切にするのが道理ではないでしょうか。
「~してほしい」と今まで生きていて一度も思わなかった人は、どれくらいいるのでしょう。
しかし雛鳥のように口を開けて餌を待っていても、誰も餌を運んでなんかくれません。
手を差し伸べるのは本当にいい人か、さもなくば「タダより怖いもの」を胸に抱えた人。そんな気がします。
ちょっと話がズレちゃいましたね。
もちろん、読者のワガママに応えろと言いたいわけではありません。
ただ少しだけ、相手のことを思いやってもいいんじゃないかなと思っています。
「じゃあそれで、どうやって改稿するの?」
そんな疑問もあると思います。それぞれ適切だと思う方法を考えてもらえればと思いますが、ここでは、電式流の改稿方法を紹介します。
ちなみに私は物語全体を一気に改稿するような工事を行ったことはありません。
私が行った大工事では、連載中の「マジで俺を巻き込むな!!」の第一章分を、ごっそり新しいものと入れ替える、というものがあります。
このときは、第二章以降との整合性を保ったまま、第一章に全く違うシナリオをはめ込みました。
職人の技が光るアクロバティック・アップデート()です。
別にアクロバティックである必要はない方法ですので、いいなと思った部分だけかすめ取っていただければと思います。
また、前提条件として話数が更新前と同じか、更新後の方が多い状態でないと適用できないので、その点気をつけていただければと思います。
名付けて「歩道工事法」です! ※いま名付けました(;・・、
歩道を工事していると、工事現場の迂回路が用意されて、ちゃんと人が通れるようになっています。状況によっては誘導してくれる人もいますよね。
工事が終われば、工事の終わった歩道を歩けます。これを小説で行うのです。
Step1:まず迂回路として小説を新規作成し、そこに工事予定(変更前)の物語を投稿する。
Step2:本体の小説と、迂回路の小説、それぞれのランキングタグ欄に互いのページへのリンクを貼り付けて、工事中の場所を読者が迂回できるようにし、あとがき等で誘導する。
Step3:工事を始め、古い物語を新しい物語に置き換え、挿入する。
Step4:誘導文や、必要があればリンクを削除したり、迂回先の小説を非公開にしたりする。
実際、複数話にまたがる更新作業は、一気にやっても短時間で終わるものではなく、状況によっては数時間かかることもありえます。
この方法の良いところは、作者が更新中の場所を、読者が迂回して読み進めることができる点にあります。
更新後に話数が少なくなるような工事方法はサポートできませんが、一話ごとの文字数を減らしてなんとかするとか、そういった対応でしのげるならば使えるかなと思います。
ただあまり工事が長引くのも、読者にとって不便ですのでそこは少し考えなくちゃいけないかもしれません。
実際、私は新しい第一章を完成させてから置き換えを行いました。
ちょとオフレコになるんですが、マジで俺を巻き込むな!!の第五章シリーズが110話以上ありまして……
スリム化してクオリティアップさせたいなぁ、なんて思っているんですが、さすがにこのレベルになると文字数減らして凌いだって、どうにもならないレベルであります(;==
これをアップデートすると、さながら水で薄めまくった透明なお茶みたいな感じになりそうで……こいつぁ仕方ないですね!
なんにせよ評価してくれる読者は、機械やコンピュータではなく生身の人間です。
そのことは、どんな手段でリメイクするとしても、頭の片隅に入れておくべきだと思います。
***まとめ***
・小説の改稿、リメイクのやり方によっては、読者や信頼を捨てることになりかねないかも。
・置き換え法で対応するのも一つの方法かもしれません。
・どんな手段で行うのかは、皆さんの判断にお任せします!
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私の小説のアクセスデータを集計したデータがあるんですが、8年近いデータの蓄積をプロットしてみると、ちょっと面白い結果が出てます。
気が向いたら次のネタはこれかなーと思ったり思わなかったり……(*・・、