5 翼狩り
今日は七夕だ!!
思いっきりコップの中の水がスィロワにかかって
(やってしまった……ヤバい)
姫藍は空のコップを両手で持ったまま青ざめている…
スィロワも水をかけられた直後は眉間にしわを寄せて固まっている。
少しイラッとしたが、次の瞬間スィロワの口角が少し上がった。
理由は、起こすのに苦労するメーティリアが目覚めたからだ!!
メーティリアは寝ぼけながら、怒っている
「スィロワ!!まだ私を乱暴に扱ったでしょ、首痛いんだから〜」
困惑する姫藍、てっきり怒られると思っていた
「あのー怒らないんですか?」
スィロワは1回考えた後に
「まぁ、起きたし…許す」
スィロワは内心ウキウキしていて、何故って今回はスムーズに起こせたからって言うのと早く寮に帰りたいから。
メーティリアが起きて、3人はちょっとした朝ごはんを食べて仕事先に向かうのだった。
朝ごはんは甘くて硬い蒸しパンで
メーティリアと姫藍は微妙な顔をしながら食べている。
「スィロワ…この蒸しパン硬くない?パボーネ家の近くにあるいつものパン屋だよね?」
姫藍もつられて
「確かに少し硬いし甘ったらしいですね…」
スィロワは呆れたような溜息をつきながら
「これだから平民は…」
これを聞いて、メーティリアは静かに鋭い目つきでスィロワを睨む
メーティリアは朝ご飯を食べた後、濃いメイクをしてゴスロリに近いフリフリの服を着た
姫藍はリュックを背負い、スィロワは茶髪の髪の毛を櫛でといて準備完了
姫藍は
「これがリーヴルが言ってた派手な服装か…」
メーティリアは自信満々に
「可愛いでしょ!!寮のクローゼットはお姫様のクローゼットみたいなんだよ。スィロワの服も私が選んでるの」
「だから、スィロワさんもフリフリが付いた肩出し膝丈黒ワンピなんですね」
「服には興味ないが、この美しい爪に良く似合う…」
スィロワは自分の右手の爪を見て微笑んでいる。
3人とも仕事先に向かう準備が出来たので、メーティリアが姫藍に詳しく仕事の説明をする
「向かう準備が出来た所で、私から仕事内容の説明をします。まず職場はパボーネ家って言う貴族の家で、パボーネ家に日々届く依頼やパボーネ家当主の命によりそこに赴く事が主な仕事かな?」
姫藍は声を出して驚く
「さっき言ってたパボーネ家…き…貴族!?もしも、へましたら私の命って…」
スィロワが小さく低い声で
「ラトナさんはそんな事しない…他の貴族と違う」
慌てて、姫藍にラトナの説明するメーティリア
「ラトナ様はパボーネ家の女当主で本当に良い人なんだよ。スィロワはラトナ様を崇拝してるから、ラトナ様関係でくれぐれも口を滑らせないように」
「大体分かりました。一応聞くんですけど、命の危険はありませんよね?」
姫藍が聞いた後しばらく間が空いてからメーティリアが
「………さぁ!!姫藍ちゃん行こうか、飛んでいくから宿の2階へ向かうよ」
(えっ…無視された…?って事は命の危険がある…)
姫藍は不安なまま、メーティリアの大荷物を持っているスィロワに手を引かれ宿の2階へ来たら宿の裏にデカい扉があった。
その扉をメーティリアが開けると、そこは外で宿の裏らしい。
「ここから飛ぶんですか?」
メーティリアが快く教えてくれる
「そうだよ、翼族が飛び立つ用の扉がこの国には何処でもある」
「常識だ、姫藍って何も知らないな」
それを聞いてメーティリアは、ドキッとする。
この国では常識で知らない方がおかしい位。
「そんな事より、私は体痛めてるから途中までスィロワに運んでもらうけど、姫藍ちゃんもスィロワに運んで貰いたいよね。良いでしょスィロワ〜」
メーティリアは話を変えて、スィロワに訪ねた
「姫藍も!?姫藍は飛べないのか?」
姫藍は翼を見せれないから飛べないと嘘を付くことにした。
「えーと、はい飛べないです…」
スィロワは深い溜息をつきながら
「なら仕方ない、乗れ」
スィロワは両足に輪になった鉄を付け、鉄の輪に白く曇った布のような物を結びつけてメーティリアはその布の上に乗り姫藍に手を差し伸べた。
「この布は岩の表面から剥ぎ取った、珍しい布だから耐久性はこの布を扱う職人のお墨付きだよ。」
姫藍はメーティリアの手を取り恐る恐る布の上に乗る。
姫藍が乗った瞬間、スィロワが両手で扉を掴み後ろに勢い良く押した!!
すると、スィロワのアンバー色の翼を広げ力強く羽ばたき、数回羽ばたかせるとさっきまで居た宿が見えなくなっていた。
姫藍は速さと安定さに感動している
「速いのに私が少し動いても、安定してる…何者なんですか?スィロワさん!」
「スィロワは飛行中話さないから私が分かることだけ説明するとね、スィロワはズバ抜けて飛行が得意って事!!!」
姫藍は冷静に
「…………メーティリアさん、それは見れば分かります」
2人は愛想笑いをして…気まずい雰囲気が流れた
姫藍はメーティリアに質問する
「パボーネ家まであと何分で着きますか?」
「あと〜1時間半くらい、暇だし私は寝るとするよ」
スィロワはすごい剣幕で言い放った
「寝るな!!姫藍絶対メーティリアを何してでも寝かすな」
そんなこんなしているとあっという間に1時間経ち、街外れの田舎の上空を飛んでいて姫藍がふと下の町に目をやると道に誰がが倒れて居るのが見えた。
姫藍は指を差しながらメーティリアに
「メーティリアさん!!あそこの道に人が倒れてます」
メーティリアは姫藍が指差した方を見ると
「えっ?本当だ!!スィロワ一回下の町に降りて、誰がが倒れてる」
スィロワは嫌な予感がして顔をしかめながら、倒れている人の元の所に降りる。
急いでメーティリアと姫藍が駆け寄ると、目を開けた。倒れていた人は14歳くらいの少女。
少女は
「お腹すいた」
と言い、メーティリアはスィロワになんか食べ物ない?
「朝ご飯の蒸しパンなら」
メーティリアはスィロワの手から奪い取るように取って少女に渡す
少女は無我夢中で食べて、すぐ食べ終わり元気になっで起き上がり3人にお礼を言う。
「パン美味しかったです。本当助かりました、2日間川の水だけで生活していましたので…」
姫藍が助けになるかもと思い事情を聞いた
「あだ名の名前は?なんで2日間も川の水だけで生活を?」
「モモと申します。2日前里親から家を追い出されまして…皆さんも知ってると思いますが最近多発してる翼狩りに遭遇してしまい、3日前翼を狩られ次の日には追い出されたとゆう事です」
姫藍は聞き慣れない単語を聞いて頭の上にハテナが、
姫藍がスィロワを見るとスィロワは顔を曇らせ一言。「翼狩り……」
と言う。
読んでくれてありがとうございます。
翼狩りとは………スィロワが顔を曇らせた理由とは?