2 背中を刺した犯人は…
私はメジロさん好きです 犯人のヒントは女 ラベンダーの香り
「花火を見た時の記憶は何だったんだろう…あんな怖い経験したことないはずだし…」
そう考えていると、また背中に鋭い視線を感じた姫藍は
「まただ!!」
と思い振り向こうとした瞬間、ラベンダーの香りと同時に肩甲骨辺りに2本鋭い何かで刺された。
雷に撃たれたかのような痛みがはしり、姫藍は自転車から地面に崩れ落ちてしまう。
痛みに耐えていると人影が見えた姫藍は
「アイツが刺した…犯人だ」
と声を絞りだして、犯人の足首を掴んだら足首の感触に違和感があった。
「待て…誰だ…?」
と、姫藍が聞くと
「貴方が持ってる絵本大切にしてね、私の大切な人が作った絵本だから。また会おうね」
と言い残して、夜の田んぼに消えて行った。
顔も見えなかったが、声が女性な気がする。
残された姫藍はネガテイブな事が頭をよぎる
(もう、私はダメなんだ…今日はせっかく星も出てないしチョコバナナも美味しかったのに何でいつもこうなるんだろう、本当にいつもこうだよね私って生まれたときから運が悪いんだよ結局さっ)
長々思っでた時徐々に、背中の激痛が消えていった。
姫藍は困惑していると、遠くの田んぼから
野太い叫び声とボチャ!!と田植えしてある田んぼに何かが落ちる音がして、姫藍は怖くなり全速力で家に帰る。
「もう絶対夜道なんて出歩かない、車で夏祭り行けば良かったーー!!」
と叫んだ後、夏祭りに行くと時に気になった藪に目をやると木の陰に背の高い女性がいるような気がした。
姫藍は知らないふりをして、怖くて目に涙をためながら帰った。
9時
家に着くと、髪を乾かしてる空菜が
「遅かったやん、いつも15分なのに1時間も何してたん?」
姫藍は(そんなに時間経ってたんだ…体感30分とかだった)
「もうあたし達は疲れたし寝るから、そこに夜ご飯あるから姫藍も早く寝らんね。おやすみ」
姫藍はさっきの出来事を話せずモヤモヤしながら、ご飯を食べてお風呂に入ることにした。
カラコンを取りお風呂の鏡で背中を見ると、小さくて白い翼が生えている。
姫藍は驚き過ぎて、首がつった。しばらく痛かった。
お風呂を上がり、早く寝ることにした姫藍
自分の部屋に入って長い独り言が始まる。
「えっ?何で背中に翼が生えてるの?やっぱ私って少し変なのかな、目の事だって意味わからんのに翼とかもっと意味わからんやん。翼とか隠せないし、やっぱり取る事になれば切るとかなるのかな痛いの無理なんだけど。そう言えば…絵本と同じじゃん、良いような悪いような不思議な気持ち。絵本……はっ!?刺された時あの女、絵本大切にしてねって言ってた。この絵本のこと知ってるって事!!絶対あの女のせいで翼が生えたし見つけたら何してやろうかな、ん〜そうだ!!寝てる間に顔に落書きしてそのままお出かけして欲しいな。これで良い………こんな事考えても無理だって分かってるけど、こんな事考えないとやっていけないんだよ!また今日の独り言も長くなってしまったなそろそろ辞めて寝よう」
長い独り言が終わり、姫藍は眠った。
が、深夜2時に目が覚めた。何故かと言うと仰向けで寝てたら背中に違和感があったからだ。
ベッドから起き、寝ぼけながら背中を見ると寝ぼけも吹っ飛ぶようなびっくりすることが待っていた。
それは、寝る前より翼が大きくなってさっきは白だったのに紫陽花のような青と紫のグラデーションになっていた。
姫藍は真っ先に目の色と関連があると確信する。
姫藍は背中の翼を意識して動かしてみようとしたが中々難しい。
何回も挑戦して13回目、翼を大きく広げた。
広げた翼は姫藍が見惚れるほど綺麗だ。
フワフワとした羽毛、青と紫のグラデーション、天井につくんじゃないかと思うほどの大きさ迫力満点。
姫藍は人生で味わったことないような、自信に満ち溢れた数分間だった。
目を閉じ深呼吸をして目を開けると、さっきまで自分の部屋だったのが樹木が茂った場所にいた。
「どうゆう事、さっきまで自分の部屋に居たのにここはどこ?」
樹木の隙間をよく見ると見覚えがある田んぼが見えて、姫藍はここが何処か分かった。
「ここは、さっき背の高い女性がいて…管理していないうちの家の土地…瞬間移動なのか?」
なんて思いながら家に帰ろうと1歩歩くと、自分が裸足と気付いた。
2歩目の足を地面につけた時、地面に穴があって底に吸い込まれるように落ちてしまった。
姫藍は叫びながら、気を失い、目を覚ますと、マントを被っている知らない抹茶色の髪した男に抱きかかえられている。
姫藍は状況が把握出来ずその人の顔をジーと見ていると気付かれた。
姫藍の顔を見て
「起きちゃった?まだ追われてるから寝てる方が良かったのに」
と言われ、姫藍を抱きかかえたまま立ち抹茶色の翼を広げて明るい空に飛んで行く。
姫藍は流石に話しかける
「貴方誰なんですか?降ろしてください」
「ごめんね、でも今は大人しくしててほしいな」
後ろから矢が飛んでくる
「何で私達を狙ってるの、貴方悪い人なの?」
「それはあの人たちを巻いてから、ちゃんと話すから」
飛ぶスピードが上がり、追っ手を巻けた。
木の陰に降ろして状況を説明し始める。
「まず僕はヴェール・メジロ、さっき追ってきた人達の同僚でゲートの警備をしてます。クラ……じゃなくて君の名前は?」
「メジロさんか…私の名前は姫藍ですけど、さっき飛んでましたよね。メジロさんは何で飛べるんですか?」
「僕は翼族だから、翼が生えてるだから飛べる君にもあるやつね。で、何故追われていたかは…」
「待ってください、1回整理します。メジロさんは翼族で私も今そうなっている…物凄く嫌なんですけど。後大体分かった気がします、メジロさんは私を助けてくれていた。私が変な穴に落ちてここは、異世界ってことですよね?」
メジロは目を丸くして驚いたが、その後ニコッとして
「姫藍ちゃんは理解早いね、僕から言えることは君は誰かによって連れてこられてすぐには帰れないってこと」
「誰かに…背中に刺してきたあの女か…すぐに帰らなくて良いです。うんざりしてた所でしたので、私は私を連れてきた人を探します。仕事先紹介してください」
「分かったよ、僕丁度良い仕事先を知ってるんだ」
読んでくれてありがとうございます。姫藍は自分に翼を刺した犯人を見つけることができるのでしょうか。
次回姫藍仲間を得る