1 星が嫌いな主人公
田舎の夏休み中のお話です!!
夏祭りって良いですよね、小学生時別の屋台のいちごかき氷を2杯食べて食べ比べした思い出が蘇ってきます。
姫藍は星が嫌い。
星や流れ星を実際に見たり映像で見てしまうと脈が速くなって動けなくなってしまう。
何故こうなったか姫藍には心当たりがなく、小さい頃から謎のまま。
今日はそんな姫藍が花火がメインの夏祭りに家族と行く事になった
『夏祭りに行く直前の家』
昼間太陽がギラギラして気温が40度近い夏
「みてみて、ママに髪やってもらったの。姫藍ちゃんもやって貰ったら良いのに…」
姫藍の姪っ子の玲音小学5年生、花柄の浴衣を着て髪の毛も綺麗にセットしてご機嫌で廊下で1人ファッションショーをしている。
「私は良いよ…自転車で行くつもりだからさ、それより何で仁菜ちゃん返事ないんだろうな…」
姫藍は、櫛でといただけのこけしヘアーと伊達メガネとオーバーサイズのTシャツとひざ丈の短パンとクロックスにリュックで行くらしい。
少しお洒落したいけど…って感じ
「華の17歳なんだから、もっと派手に行けばいいのよ。あたしが高校生の時なんてそれはもうね!!」
玲音のママで姫藍の姉の空菜38歳、2年前に離婚して実家に戻ってきた。
「今も随分派手やけどね…」
姫藍の里親のルーナ66歳、その娘の空菜そのまた娘の玲音3人とも日本人離れした西洋顔。
姫藍は日本人顔で、ちょっと複雑な4人家族なのです。
姫藍は準備が終わっていて、リビングにあるソファーに座りながら小さい頃から大切に持っている絵本を読み始めた。
この絵本は少し珍しくて、ストーリーと言うよりある世界を記録した歴史の本みたいなのだ。
主な登場人物は背中に翼が生えた人や魔女、辛い時姫藍はこの絵本を読んで現実逃避をしてこう思う。
「この絵本みたいな世界があったら良いのに…」
そうしていると、空菜が
「準備終わったから行くよ!!」
そう言われて、姫藍は絵本をリュックに入れ
庭に停めてある自転車に乗り夏祭りが開催される広場に向う。
広場に向かうまでの道は9割田んぼ道。
出発してすぐいつもは気にならない藪が目に入った。
「あの藪、うちの家の土地って言ってたけど何のために残してるんだろう…」
不思議に思いながら、姫藍は暑さに耐えながら広場に着くまでの15分間必死で自転車のペダルを踏む。
この時自転車で行く決断をした自分に後悔している。
『夏祭りの広場』午後5時半
やっとの思いで祭りの会場に着いた。
「暑かったし人多いし来なければ良かったかも…、昔から人が集まる所苦手で避けてきたけど仁菜ちゃんのと約束してるから…カラコンも付けて来たし大丈夫!!」
姫藍の身体にはある秘密がある、その一つが目の色、目の色が紫陽花のような色をしていてラメが入ったように光に当たるとキラキラ光るのだ。
小学生の頃クラスのひょうきんな男の子に指摘されてからはカラコンで隠すようになった。
家族以外の人と会う際はカラコンを付けてさらに伊達メガネで目を隠している。
自転車を駐輪場に停めて、広場に行くと遠くで手を振っていて大声で姫藍を呼んでいた。
「姫藍ちゃーん!!早く早く来て!!」
呼んでいたのは玲音で姫藍は困惑しながら、小走りで玲音の所まで行った。
「何?なんかあったの?」
玲音は慌てながら姫藍の手を引いて、広場の中心の人集りに入った。
姫藍がちょっと強めに言う。
「玲音!!こっちに何があるの?私約束があるんだけど」
玲音が立ち止まり、姫藍の顔を見て
「いつも姫藍ちゃんが読んでる絵本に出てくる人に似てるコスプレしてる女の子が居て、見て欲しいの!!」
と、聞いて姫藍は人混みの中で背伸びをして周りを見渡したがコスプレの子は居なくなっていた。
姫藍は玲音と一緒に車で来ていたルーナと空菜の姿が見えないと思い、コスプレの女の子を姫藍に見せれなくて落ち込んでいる玲音に聞くことにした。
「コスプレの人の事を教えてくれてありがと。ところでさ、2人の姿が見えないけど?」
玲音は広場の隣にある芝生の丘を指さしながら
「ママと婆ちゃんはあっちに花火の場所取りしてる、玲音は姫藍ちゃんを迎えに来たんだよ」
姫藍は悩んでいる、待つべきか家族のもとへ行くべきか
「ん〜仁菜ちゃんなんで電話もしてくれないんだろう、何かあったのかな……もう良い!!玲音チョコバナナ買いに行こう」
悩みに悩んだ末、家族のもとへ行くことにした姫藍
2人はチョコバナナを4本屋台で買い隣の丘へ向う。
その道中不思議なことが起こった。
「姫藍ちゃん、ゴチになります!!」
「いつの間に私のリュックから勝手に、財布取ったの……あっ!?ほらほら浴衣にチョコ付くよ…も〜」
「ふ〜危ねえ危ねえ」
玲音がリュックの中に財布を入れた時にリュックのチャックを閉じるのを忘れていた事に気づいてテンション低めに姫藍が
「あの…玲音さんリュックを開けたならちゃんと閉じてくれますか?」
「あっすいやせん…」
と言い、リュック閉じようとした途端姫藍は背中に刺すような視線を感じてすぐ振り返ったが人が多く誰が自分を見ていたか分からなかった…
「どうしたの?仁菜ちゃん来た?」
「いや違う今のは………さぁ丘に行こう」
姫藍は周りを見て警戒している。
それを丘の上から見ていた、ルーナは一言
「そろそろかも知れないねぇ〜」
空菜も
「とうとう来たって感じだよね。1回サヨナラだよ姫藍」
と言う。
姫藍と玲音も丘の上に着き、4人で花火を見る。
姫藍は花火も苦手な枠に入るので、タオルを頭にかぶり持ってきていた耳栓をし、伊達メガネをサングラスに変えて花火を楽しんでいた。
すると、忘れていた記憶が頭の中でよぎる。
明る過ぎる空、沢山の人の叫び声と歓声に地響き
辺り一面が一瞬で明るくなって、そこは人が沢山いる場だった…
姫藍は困惑している
(今の記憶は何?怖いけど…)
目には涙と体は冷や汗が出ていた。
けど、星たちと違うのは恐怖を感じるけど少し幸せな気持ちがした。
(私が星や流れ星が嫌いなのはこれが理由なの…?)
と思う。
姫藍がそんな事になってるとも知らずに他の3人は花火に見惚れていて気付いていなかった。
夏祭りのメインイベントも終わり、今年の夏祭りは終わった。
来る時と同じように姫藍以外の3人は車で帰宅する。
「暗いし気を付けて帰って来な、特に田植えと溝には落ちるなよ!!」
少し口が悪い空菜はその言葉を残して車に乗って先に帰った。
姫藍は(珍しくルーナの口数が少ないな)と思っている。
そして、ほぼ街灯がない夜の田んぼ道を1人帰る事になった姫藍なのだが、行くときとは違いそこまで暑くないし今日は嫌いな星が雲で見えなくて短冊の願いが叶ったとウキウキ。
夏祭りの事を思い出していた。
「何で今日仁菜(仁菜)ちゃん来なかったんだろう、約束してたのにな。仁菜ちゃんが夏祭り一緒に行きたいって言うから花火苦手だけど来たのに、電話に出ないしどうなってるの…」
仁菜は姫藍の中学の同級生、高校生になった今学校は別だけど親友だ。
「もうっ、フツフツと怒りが湧いてくる…こんな世界私には合わないんだ!!」
と、叫びながら夜の田んぼ道を自転車で帰る姫藍。この後人生を変える大変なことがあるとも知らずに…
読んでくれてありがとうございます。
次回主人公姫藍の人生を変える衝撃な出来事が!?
を、よろしくお願いします。