表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傭兵アカデミー  作者: 一ノ宮ことね
29/30

第29話《記録者の帰還》

1.侵入者アダム


アカデミー南棟、未修復区域。


静まり返った夜の施設に、黒ずくめの男が立っていた。


「変わらないな……この空気」


──アダム・シュバルツ。

元《観測者本部》の記録者にして、レン=リヒトの“創造主”。


廃棄された旧実験室の扉に手を触れながら、アダムは呟いた。


「帰ってきたよ、リヒト」


2.封印されていた記録


地下保管庫──コードロックを解除して、アダムは一枚の記録カードを取り出す。


《EX-099|試作記録兵器:リヒト》


「抹消したつもりか……だが、“記録者”の手から完全に消すことはできない」


彼は端末にカードを挿入し、過去の戦闘データを再現し始める。


モニターに映る少年兵。


殺意、精度、反応速度──どれも人間の限界を超えていた。


「君は“兵器”だった。それは変わらない」


3.セナの葛藤


一方その頃。

学園の図書室で、セナは自らの記録帳を前に悩んでいた。


「私が……彼の記録を消してしまった。それは……救いだったのか?」


自問に答えられぬまま、彼女は気づく。


“誰かが、封印されたはずの記録にアクセスしている”


「……まさか、観測者の残党が……」


彼女は走り出した。レンに、伝えなければならないことがある。


4.“創造主”との対話


アカデミー中庭。レンが訓練を終えた頃、アダムが姿を現す。


「よく育ったな、リヒト」


レンは銃を構えた。


「その名で呼ぶな」


「だが、それが君の“本当の名前”だ」


「違う。俺は──“レン”だ」


二人の間に沈黙が走る。


「じゃあ見せてくれ、“レン”という人間が、どこまで俺の作った兵器に抗えるか」


アダムは右手を掲げ、異様なコード銃を展開した。


5.コード銃 VS 人間の意志


旧訓練場。

人工知能を搭載したコード銃が、レンに襲いかかる。


思考を読み、癖を記録し、反応速度を逆計算する──“記録者の兵器”。


それに対し、レンはかつてないまでに研ぎ澄まされた感覚で応戦する。


「記録なんかに、俺は縛られない!」


コード銃が弾き飛ばされる。


アダムの目に、一瞬だけ驚愕が走った。


6.記録の意味


「お前は、記録を超えた……か」


「違う。超えたんじゃない。俺が選んだ道が、記録に追いつけなかっただけだ」


レンは銃を下ろす。


「もう、お前に用はない」


アダムは、静かに笑った。


「なるほど。やっぱり……“人間”になったな、君は」


そして、その場から姿を消した。


7.再起動


翌朝。

セナが学園の中庭で待っていた。


「アダムが来ていた……“抹消された記録”が再起動されたの」


レンは頷いた。


「もう、俺たちだけの戦いじゃない。記録に抗う者と、記録を利用する者の戦争だ」


彼はゆっくりと立ち上がった。


「──始めよう。人としての未来のために」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ