表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傭兵アカデミー  作者: 一ノ宮ことね
27/30

第27話《名前なき戦争》

1.開戦の合図


午前4時。アカデミー上空に、観測者本部の無人戦闘機群が姿を現した。


「識別信号、なし。これは……宣戦布告だ」


イグチがモニターを見つめながら呟く。神堂理事長は即座に決断を下した。


「迎撃態勢、全面発動。全教官、戦闘配置」


「学生は──?」


「前線に出すな。だが、一部の例外は除く」


その“例外”の一人が、九条レンだった。


2.再び戦場へ


屋上にて、レンはセナと別れの挨拶を交わしていた。


「ここからは、俺一人でいい」


「……嘘。あなた、独りで戦うつもりなの?」


「俺は“名前を持たない”兵士だ。誰かに守られる資格なんて、ない」


セナはレンの手を握った。


「でも、私は“記録官”よ。あなたを見届けるのが、私の戦い」


その一言が、レンの中の何かを揺るがせた。


3.激突


地上では、観測者の機動部隊と、アカデミー教官たちが激突していた。


堂嶋教官のライフルが、空からの侵入者を次々と撃ち落としていく。


「俺の記録は、銃弾とともに在る」


戦場は、地と空とを巻き込んだ総力戦となった。


レンはその最中、敵の主力格である“記録処理官”サレムと遭遇する。


「ようやく見つけた、“記録改ざん者”リヒト」


「……なら、ここで記録ごと吹き飛ばしてやる」


両者の間に、火花が散る。


4.記録の意味


戦いの中で、レンはサレムから真実を聞かされる。


「お前の“本名”は、国家機密だ。抹消された記録が示すのは、君が“記録兵器”であること」


「……俺は、兵器じゃない」


「だが、お前の存在そのものが、世界の整合性を乱す。だから記録官が生まれた」


「記録官は、俺を殺すための役割なのか」


「そうだ。そしてお前は、その“殺されるべき物語”を拒否した」


サレムの目が鋭く光る。


「だから、ここで終わる」


5.記録を超えて


だが、サレムの刃がレンに届く直前──


白い光が割り込んだ。


「……させない」


現れたのは、セナだった。


「記録官エル、貴様──!」


セナは記録端末をかざし、サレムの存在自体を“封印”する。


「私は彼の名前を知ってる。だから、記録なんて超えられる」


封印されたサレムが崩れ落ちる。


「レン……私があなたの記録になる」


レンは、黙って頷いた。


6.終戦の夜明け


戦いは終わった。


アカデミーは半壊したが、生き残った者たちが集い、瓦礫の中で再建を誓っていた。


神堂は遠くを見つめながら呟いた。


「記録に抗う戦争──だが、これが始まりに過ぎん」


レンは夜明けの空を見上げながら、心の中でつぶやく。


「……俺の名前を、もう一度探しに行こう」


──次回、第28話《記録なき英雄》



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ