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傭兵アカデミー  作者: 一ノ宮ことね
17/30

第17話《追跡者の影》


1.記憶の綻び


午前2時。

セナは寮のベッドの上でうなされていた。


炎。銃声。倒れる兵士。血の色。


──「撃て」


その声に従ったのは、自分ではない“誰か”だった。

だがその銃を握っていたのは、間違いなく自分だった。


(私は、誰……?)


目覚めたセナは、恐怖に震えながらもどこか懐かしさを感じていた。



2.理事長の意図


同時刻、アカデミー地下の理事長室では、神堂蓮司が一本の通信を受けていた。


「観測者側が接触してきた。『器』候補への直接干渉を示唆している」


「──それで?」


「“模擬接触任務”を用意しよう。監視のもと、戦わせる。レンがどこまで応じるか、試す必要がある」


神堂は頷き、通信を切った。


「観測者に耐える器──それが完成すれば、この国の未来は変わる」



3.“接触任務”発令


翌朝、レンは呼び出された訓練指令室で任務通達を受ける。


「市街戦想定区域にて、“不明武装勢力”の排除任務。実弾使用可。詳細不明」


「……試験か?」


「“模擬任務”という形だが、相手は本物だ。手加減の必要はない」


指令官の目には、一切の感情がなかった。

レンは黙って命令書を受け取った。



4.観測者の影


任務当日。

レンは訓練用市街エリアに投入された。

廃ビルと瓦礫の続く区域、その中でただひとり立つ敵──黒い装束、仮面の人物。


「君が、“器”か」


低く、女とも男ともつかぬ声。

その動きは、あまりにも洗練されていた。


銃撃。跳躍。接近戦。

どの応答も一瞬の迷いもなく、レンは数手で追い詰められていく。


(これは……俺の知ってる戦いじゃない)


仮面の敵は、囁くように言った。


「殺しなさい。さもなくば、私が君を壊す」



5.“もう一人”のセナ


同時刻、医務棟ではセナが再び気を失っていた。


だがその瞳を開けたのは、彼女“ではない何か”だった。


「……コード認識。対象存在──確認」


脈拍、呼吸、すべてが異常な静けさを見せる。


セナの意識の奥で、“何者か”が目を覚まそうとしていた。



6.限界突破


市街区。

レンは仮面の観測者と対峙し、追い詰められていた。

だが、ある一撃を受けた瞬間、彼の中で何かが“弾けた”。


(やらなきゃ、殺される──)


次の瞬間、レンの動きが変わる。

研ぎ澄まされた本能が覚醒し、銃の軌道も、足の動きも、呼吸のタイミングすら変化した。


──三秒。


それだけで、仮面の敵の武器を奪い、銃口を向けていた。


「……殺す気になったか」


仮面の人物は、静かに笑ったように見えた。


「これで、“器”として合格だ」



7.接触後


仮面の人物は撤退。

レンは息を切らせながらも、意識を保っていた。


遠く、無線越しに神堂の声が聞こえた。


「次の段階へ進め」


レンは、自分の中に“何か”が芽生えたことを感じていた。

それは、他人を壊すことへの“慣れ”だった。


「──俺は、どこまで壊れるんだ」


問いかけは、誰にも届かなかった。

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