SS〜変わらないケルの味〜
少しずつ経済が悪化していた。
王の権力が段々強くなっていき、人々の財産が少しずつ削られていく。
商店街の店が次々と消えて、俺も店じまいすることになった。
残った数少ないお金で屋台を作り、かまどとケル作りの道具だけを持って、親父の頃から続いていた店を後にした。
それから数リム後、王が突然の発作で死んだ。
誰も口には出さないが、心の中で喜んでいた。その時は。
次代の王はさらに酷かった。
王都と下町を分離、下町の治安や衛生環境は悪化し、税金だけを取られるまさに奴隷のような扱いだった。
それでも俺は、下町の美しかった噴水広場でケルを焼き続けた。
原料は王都に運ぶ途中の品物を買い、木は休みの日に森で切った。
買う人はほとんどいない。
けれど、ケルを焼くこと。親父の作ってきたものを少しでも繋ぐことがしたかった。
ある時、反乱を起こそうとした若者たちがいた。
数少ない武器だったが、下町から王都に行き直属兵になったものも多くいた。
彼らもこの現状を見れば、手を貸してくれるだろう。そういう算段だったらしい。
ある日、彼が一人で町の警備に来た時に、彼は革命を起こす計画を話そうとした。
「やめろ!ライサ!」
この町の住人だった男は、若者を問答無用で制圧した。
男は手を捻って押さえつけられて、銃を突きつけられた。
「国家反逆未遂罪だ。……まぁ最低でも終身刑だな」
紐で強引に結ばれる。
「ライサ!分からないのか?この国は腐っている!」
「追加で王への不敬罪も追加か。死刑確定ってところか」
「何を言っている?お前は……」
「本当に誰だお前は?お前のような輩にあったことはないぞ?」
「……お前……ここで生まれただろ?」
「……?」
その兵士は首を傾げた。
「そうなのか?私は王都で生まれたと思っていたが」
「違う!おm……ムグッ」
強引にくつに布を突っ込まれた。
「黙れ。訳がわからない」
男は拷問付きの銃殺刑になった後、遺体は王都で晒されたらしい。
その日から、俺は我慢の限界だった。
「……みなさん……革命を起こす気はありませんか?」
ある夫婦によって始まった革命軍はあっという間に勢力を伸ばし、俺もその一端として、夢を見るようになった。
この腐った世界を壊す日を。
35章、51章などに登場した、ケル売りの物語です。
土曜日更新の52章で全面戦争開始。彼の見た夢は叶うのか。




