表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/19

15 考え方を変えることにした

今回の内容により題名が変わっています。

 シロミミとクロミミは卯の双子だ。他の獣たちと違って1つの召喚石から生まれた。本人たち曰く一心同体なので問題無いらしい。主にシロミミは強化担当、クロミミは妨害担当を仕掛けるそうだ。どちらかと言えば魔法に近いものを使う。


「「あ、そうそう。ご主人には言っておくけど」」


 話すことが二人で完全に一致しているので聞き取りはしやすい。どうやってやっているのか分からないだけで。


「うん、何?」


「ぼくシロミミが女で」


「ぼくクロミミが男だから」


「「そこんとこよろしくね!」」


「一応違いはあるんだね」


「「もちろん!」」


 何が楽しいのか分からないけど常にニコニコしている人も過去にはいたので、それに近いのかな。ナークが気を失っている状態だから今の俺は笑えないのだが。


「「ご主人大丈夫だよ。笑えない原因にはお仕置きするから」」


 赤い目が鋭く光った。少し後ずさりしてしまって俺にコソウが小声で話しかけてきた。


「あいつら仲間がいることに幸せを感じるんだよ。身内に甘いっていうか。主の身内に手を出されたから今一番キレてるぞ。笑ってないと今すぐに死なせちまうから笑ってるだけだ」


 え。こわ。


「2人で力使うと強力な幻を相手に見せることが出来るんだが、どんな幻見せるか相談してるからよく聞いてみな」


 言われるまま二人が相談している小声をよく聞いてみると、


「四肢もぐ?」

「いきなりはダメ。まず爪から」

「皮剥ぐ方がいいんじゃない?」

「精神的にも追い詰めないと」

「真っ暗闇の中に落ちるやつ?」

「呼吸できないとか」

「死んだと思ったら生きてるやつ?」

「それは当たり前」


 うっわぁ。俺が冷静に戻されそうだよ。でも1つだけアドバイスしておくか。


「そいつの持ってた毒に麻痺が多かったから自由に動けない状態にするのは因果応報になるかもね」


 振り返ったふたりは驚いた顔をしていたが、にんまりと笑うと鏡合わせのようにサムズアップを向けてくる。


「「ご主人ナイス~」」


 褒められて悪い気はしないので俺も同じように返しておいた。



 処置は任せておいてナークの様子を聞く。


「見た感じは眠らされているだけだな」


「そうみたいだね。後に影響のある薬でもないみたいだ」


 鑑定モードでチェックしたが悪性の無い薬しか持っていなかったし、ナーク自身を見ても眠っているだけで特に悪い症状は見当たらない。少々顔色が悪いが眠らされる直前に怖い目に遭ったとかではないだろうか。


「んで、どうする?」


「もう村の方は大丈夫なのかな」


 コソウはニオイを嗅ぐようなそぶりをするとニカッと笑う。


「そうみたいだな。子のチューフと酉のピヨで周囲の探索をしているし。眷属を増やすことの許可は出したんだろ?」


 コソウの問いに頷く。ネズミも鳥も森の中に多くいる動物だ。それらと契約することで配下に変えることが出来るらしい。周囲の安全確認と警戒網の構築のために動いてくれている。気になる対象がいればメッセージ経由で連絡してくれることになっている。


「とりあえず怪我人の手当ても済んだし戻っても問題はないだろう。そうするか?」


「先にナークだけ帰してもいいかな。それから捕まえた奴らを村に置いておきたくは無いからさっさと森の外へ出したいな」


「じゃあそうしよう。レピもこっちにむかってるから弟さんはそれで任せよう。とりあえずは待機だな。で、あっちはああだ」


 指の先にいるのはさっきの男が膝をつき、顔を上に向けながら泡を噴いている。どんな幻を見せたらそうなるんだ…。


「「え~?ナイショ~」」


 聞かないことにしよう。





「そういえば、なんで村に来たのか聞いてないや」


 俺が希望した通りにしてもらって森の外に山と積んだ男たちを前に思い出す。


「自白剤ならレピが作れるだろうけど作ってないんじゃないか?」


「うむ。巳殿はポーション類のみを作っていたからな」


 動物牧場って名前なのにいきなり自白剤とか作ってたドン引きするから。状況が分かった今なら大丈夫だけど。


「「ぼく達がこいつらに幻見せますか?」」


「それがはやそ~♪」


 ピヨは何でも楽しそうに言うから常に歌っているように聞こえる。シロクロ双子の言う通りなのかな。チューフも無言で頷いてるし。そうするしかないか。鑑定モードで一番話が早そうなやつを探す。


「いた。……けど話できるのかな」


 探していたのは集団のリーダーだ。下っ端は命令されたことをやるだけだから目的なんて知らないだろう。知っている者に聞くのが早いのだが、一番立場が上のはずなのは先程シロクロ双子の幻に泡を噴いていた奴だ。さっきそこまで気を使ってなかったから見逃していた。


「え~と、どうしよう」


「「やりすぎちゃいましたね…」」


「いや、俺も気が付かなかったし。気にしなくていいよ」


「でも理由を聞かないとなぁ」


「無理にでもやっちゃえば~?」


「ピヨの言うとおりに一度やってみたら良いんじゃないか?」


 ピヨの軽い提案にコソウが名案だとばかりに乗ってくる。チューフも同じ意見かずるずると引きずってシロクロ双子の前に放り投げた。まあやらないよりはいいか。


「じゃあお願いできる?」


「「合点承知!」」


 ちょっと涙目になってたシロミミをクロミミが頭を撫でてなぐさめていたのだが元気を取り戻した。ナークを傷つけた奴がどうなろうと構わないから別にいいか。そのまま経過を見守っているとなんとか話すことが出来そうだと言われた。


「主が直接やらなくてもいいんじゃないか?」


「気遣いは良いよ。一応精神年齢は大人なんだし」


「まあそれもそうか」


 コソウと雑談して男の正面に座る。ポチとチューフで男が動けないように拘束してくれている。俺の後ろにはコソウも控えている。仮に意識を取り戻して動こうとしても俺は安全。ピヨが残りの男たちを椅子にして座っている。他にも鳥が数羽留まっているので無駄な過ごし方はしていない。


 村の方に残り半分残ってもらっている。姿を見た村の人たちになんて言おうかは後で考えるつもり。



 よだれを垂らして目もうつろになっているが、色々とあった男は正面に座って耳をすませないと声が聞こえない。多少の緊張はしつつも質問を開始する。


「村を襲った目的は?」


「……ユニークスキルの子ども」


 っ!!!俺か。周囲のみんなの視線が一段鋭くなったが、落ち着くように手で制する。


「誰の指示だ?」


「……指示は無い」


 指示が無いのに村を襲撃するってなんだ?


「『上の気持ちを慮って』ってことだろう」


「あ~。なるほど」


 最初の人生であったな。社長や上司の意向を忖度して泥をかぶるようなこともやったわ。あの時の同期や部下、俺を頼りにしてくれてたお客さんのことを考えて何とか飲み込んだな。あ~客でも無茶苦茶いう奴いたな。今はそんなことは忘れよう。


「じゃあお前たちはどこの所属だ?上司の名前は?」


「……俺たちは伯爵に使える影の部隊。……上司はパルラディ・ロイマン伯爵」


「誰だ?」


 コソウに聞かれても俺も知らない。名前をタブレットの検索にかけてみる。……マジか。頭痛い…。頭を抱えた俺の後ろにいたコソウがタブレットを覗き込む。


「おいおい。ここの領主かよ」


 本当にどうしようかね。う~~~~~~~~ん。そうか~。俺が原因か。スキルを隠すだけだとダメだったのか。これ以上俺がいると…。あ~、イヤだな…。


「主?大丈夫か?」


「大丈夫ではないよね」


「そりゃそうだな…。すまん」


 コソウは自分が失言したと反省したが、一時的に他の皆の視線がコソウに対して鋭くなっている。余計なこと言うな!って感じかな。



 そうか。動物牧場から出てきたんだからこいつらは一緒にいてくれるかな。強いから大丈夫だろうし。


「よし、決めた!平穏に暮らすのはあきらめよう」


 本心はイヤなんだけどさ。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ