歌紙の一 (詩の仮置き場より)
好きな言葉があったんだ
ついに口にはしなかったけれど
こころで何度もつぶやいた
ミルクレープのように重ねて
ここに刻まれている
いくつも浮かぶ綺麗な言葉たち
揺蕩う 琥珀の 甘美な 祈り
それよりもっと綺麗な言葉だ
水たまりに咲く小さな王冠
静かに弾ける ソーダの気泡
それよりもっと好きな言葉だ
かすかに香る妖しい響き
とろけるレモンのシャーベット
トラディスカンティア・フルミネンシス
湖に映る 月夜のワルツ
それよりもっと妖艶なのだ
好きな言葉があったんだ
透き通る冬の青空のように
とても美しく 凛として
雪を溶かし新芽を迎える
初春のようにあたたかく
そして 夏の終わりを告げる
秋風のようにすこしさみしい
どこまでも かわいい言葉だ
いくつも浮かぶ素敵な言葉たち
ボンボンショコラの口溶け 夕陽を導く砂時計
それよりもっと素敵な言葉だ
金木犀のサシェ 練乳といちごのパフェ
休日の朝に添う 鶺鴒のさえずり
それよりもっと好きな言葉だ
最強エレガントな言葉もあるね
ロイヤルストレートフラッシュミルクティー
だけどこれでも敵わない言葉だ
好きな言葉があったんだ
その音を思いだせば
愛しさあふれる さみしさ滲む
胸のなかでふくらむ心地
ひざのうえでまるまっている
寝ている猫のため息はな息
その小さな頭を撫でる
そんな柔らかさと似ている
好きな言葉があったんだ
ついに口にはしなかったけれど
こころのなかで何度もつぶやいた
ミルクレープのように焼いて重ねて
息衝くように刻まれている
── あなたの名
Here is your hideaway
No one reach you but not alone
Sometimes it’s good to stop to cry
They will bloom crowns on the puddle
Don’t let the whole world holds no words
I cherish what we shared and hope you do too
I remember you, your voice, your smiles, and your words over and over even if you forget me
You can find who you want to be with
So no need to stop crying now and you’ll see rainbows
I wish I could make the rainbows
── raindrops under an umbrella
甘えさせてよ
そっと胸のなか
抱きしめて
君の目を見て言うことは
なにもできないけど
叶えさせてよ
ずっと夢みてた
初恋を
君の隣にいることなんて
わたしできないけど
ふとした瞬間に
不意打ちの笑顔
だけどわたしにじゃないのね
黒ずむこころに
溢れる感情
それは君にじゃなくてね
もし明日とともに世界が
そっと終わるのなら
なにもかもぜんぶ投げだして
君に会いに行くのに
溺れさせてよ
もっと奥深く
この愛に
── ポップガールズラブソング