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早起きは人生のトク! ~爺さんを助けたら、資産4兆円の男の養子になって嫁候補まで出来ました~  作者: 猫又ノ猫助


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第48話 調査の結果

 桜とノートパソコンを中心に据え、皆が扇状に座ると桜からの説明を待った。


「まだ4月から今までに書き込んだ全員分のデータが集まったわけじゃ無いっすけど、9割以上の割り出しが終わったんで、皆に共有しとくっすね」


 そう桜が言うと同時に、ズラリと名前やクラスなどが記載された一覧が表示される。


「……これが、書き込んでた奴の一覧か? 思ったより、少ないな」 


 一覧を上から下まで見終わった真司が、拍子抜けと言わんばかりにそう言った。


 実際、俺自身も思ったよりも数が少なかったこと――全学年合わせて30名程度しかいなかった事に驚いている。


 だが、考えてみれば生徒会長や詩音が存在は知っていても、終ぞサイト自体を見つけることが出来なかった点からしても、アクセスできる人間が絞られているのは当然なのかもしれない。


「ウチも、正直人数が少ないなとは思ったんすが、全員割り出したとしても増えて精々あと数人っすね」


「そうですか。因みにこの情報は、既に渚さんへは送られたんですか?」


 詩音がそう尋ねると、桜が首を横に振った。


「流石に個人情報の塊っすからね、メールなんかで送るのも怖いっすから、今度直接USBを渡すっすよ」


 そう言いながら桜がパソコンに差したUSBメモリをコツコツと叩いた所で、先程から黙っている由香里の方を向いた。


「由香里っち? どうかしたんすか?」


 桜が心配そうに声をかけて……一緒に俺も由香里の方を見てみれば、元々白い顔が今は青白くなっていた。


「えっ? 別に何ともないよ!」


 そう由香里は言ったが、その声が僅かに普段よりも上ずっているのは気のせいでは無いだろう。


 由香里が動揺した原因――それは、恐らく一覧の中に知っている名前があったからだろう。


「そう……っすか? もし具合悪かったら、ちゃんと休むんすよ?」


「もう、桜ちゃんは心配し過ぎだよ」


 あはは、と笑い飛ばす由香里をジッと見ていると……詩音と真司が心配そうに由香里を見た後、俺の方を見て来たので、苦笑しながら首を横に振る。


 この場で幾ら追及しても、由香里は自分が動揺した理由を認めないだろうから――。


 そんな俺の思いが何となく伝わったのか、一転して真司が明るい表情で声を出した。


「いやぁ、見れば見るほどこのデータはシッカリまとまってんな。何時の書き込みが多いとか、どんな発言したのかだけじゃなく、交友関係まで相関図でまとめてんのか!」


 真司がややオーバーリアクション気味に、データを眺めながらそう言うと、乗せられた桜がその場で踏ん反り帰る。


「ふふーん、もっと褒めても良いっすよ。SNSのフレンドリストなんかを参照して図式化する仕組み作るのは、結構苦労したっす。これさえあれば、全員と繋がってた人間が黒幕って事になるって寸法っすね!」


 自信満々にそう言ったので皆で拍手していると、桜が「ただ……」と言葉を続ける。


「現実での友人関係とかは一切考慮してない相関図っすから、そこら辺はリアルで調査しなきゃダメっすけどね」


 ポリポリと頬を掻きながら照れくさそうに言ったので、俺達は思わず笑みを漏らす。


「これまでは桜さんに頼りきりになってしまいましたから、ココからは私たちが頑張って調査しませんか?」


 そう詩音が提案したので、真っ先に真司が「異議なし!」と言い、俺や由香里もそれに次ぐ。


「ちょ、ちょっと、ウチを仲間外れにするのは無しっすよ!? ウチだって、皆と一緒に調査したいっす!」


 どこか焦った様子で桜が叫んだので、再び俺達が笑っていると――背後から声をかけられた。


「おっ、そこに居るのは海人じゃん。こんな所で雁首揃えて何やってんの?」


 そんな風に田原から声をかけられた俺達は、思わず全員ビクン! と体をはねさせた。


「あー……声かけちゃまずかった感じ?」


 俺達の顔色を見た田原がそう聞いて来たので、思わず空笑いが漏れ……その間に、桜は慌てた様子でパソコンの画面を閉じる。


「いやー……別にそう言うわけじゃ無いぞ?」


 微妙に目を反らしながら言うと、田原が肩を竦めた。


「そっか。まぁ、特に用があったわけじゃ無いからいいや。何か面白い事が有ったら、俺も混ぜてくれよなー」


 そう言うと、田原は深く追求する事なく去っていき……その姿を見送ったところで、思わず俺達全員からため息が漏れた。


「……これは、心臓に悪いっすね」


「そうですね。渚さんへ話をしに行く時に、皆で集まれるような場所が無いか相談してみましょう」


 詩音がそう提案したので、俺達は黙ってその意見に頷いた。

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