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早起きは人生のトク! ~爺さんを助けたら、資産4兆円の男の養子になって嫁候補まで出来ました~  作者: 猫又ノ猫助


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第46話 部活でのひと時

「最近なんか忙しそうにしてるけど、何やってんだ?」


 会長から裏サイトの調査を依頼されて、数日経ったある日の部活でのこと。


 田原とペアを組んで練習している合間に、自分達の走りをビデオチェックしていると、そんな話を振られた。


「田原には話ししてもいい気はするんだけど……悪い、許可を得ないと説明できない」


 そう言って軽く謝罪すると、田原が笑った。


「いや、別にいいって。ただの興味本位だからさ」


「そっか。まぁ、話せる様だったら今度話するよ」


「あぁ」


 そんな会話をかわしていると、由香里が水とタオルを持って俺達の方へと走ってくるのが見えた。


「ふたりともお疲れ様!」


「サンキュ、由香里」


 笑顔で由香里が水を渡してくれたので、そう返すと……隣の田原がニヤニヤしていた。


「変な顔してどうしたんだよ? 田原」


「いや、相変わらず2人とも仲良いなってな」


 そんな事を田原が言って来たので、俺と由香里が視線をかわしながら肩をすくめあった。


「そりゃ幼馴染だからな」


「そうだよね……って、あっ、先輩達が呼んでるから私はそっち行ってくるね! 2人とも練習頑張って!」


 そう言って由香里が早足で駆けて行く後ろ姿を見ていると、マネージャーの先輩達と合流した由香里が仲良さげに話ししているのが見えた。


「南雲さんは、すっかり部活に溶け込んでるな?」


「ああ、実際俺も由香里も、部活なんてやって来なかったから、馴染めて正直ホッとしているよ」


 陸上部に顔を出し始めてから3週間が経過し、仮ではない入部を終えた俺たちの事を、先輩や同級生達は快く受け入れてくれた。


 ただ、一点だけ懸案事項が有るとすれば……。


「あーあ、中曽根はまたやらかしてんな」


 田原の視線の先――1人の女子マネージャーが、何やら男子部員と言い合いをしている……というか、どちらかと言うと一方的に文句を言っている様子が見て取れた。


 中曽根 愛香――1年D組に所属している、かつて由香里にイチャモンをつけてきた生徒だ。


 同じ部活である関係上、何度か話をした事もあるが……かなり刺々しい話口のため正直、あまり得意ではない。


「っと、そろそろ合同練習の時間みたいだな」


 田原がそう言ったので、グラウンドの中央の方を見てみれば新海先輩が俺たちに向けて手を振っているのが見えた。



「あっ、桜ちゃんからメッセージ届いてるね」


 部活が終わり、汗を流し終わって由香里と合流すると、スマホを確認した由香里がそう言った。


 俺も自分のスマホを確認してみると、「大体の情報集まったから一度集まるっすよー!」というメッセージが届いていた。


「あっ、詩音さんも丁度部活終わったみたいだな」


 桜へなんて返信しようか考えていると、詩音から「部活終わりました!」というメッセージが丁度飛んできた。


「未だ真司達も飯食ってないみたいだし、みんなで食堂に集まるか?」


「うん、それが良さそうだね!」


 由香里がそう言ったので、メッセージを送ると皆から了解の旨が返ってきた。


「ふふ、でもすっかり桜ちゃんも私たちの仲間入りだね」


 寮に向かって歩みを進めていると、どこか楽しそうに由香里がそう言ったので頷き返す。


「そうだなぁ、元々有る程度仲良かった連中は居るみたいだけど……本人曰く俺たちと居る方が気がラクらしいからなぁ」


 教室や食堂などで俺たち以外とも話ししている姿は見かけるが、最近メッキリ俺達と一緒に居る時間が増えていた。


「ねぇ……海人君は今、学校生活を楽しめてる?」


 暗闇の中、街灯に照らされた由香里がどこか不安そうな顔で、そう問いかけてきた。


 だが俺はその不安をかき消すように、迷う事なく頷き返す。


「ああ、今を――高校生活をすごく楽しんでるよ」


 そう言って笑顔で返答すると、由香里に少しだけ笑顔が戻る。


「そっか……うん、それなら海人君が養子になるのを薦めたのも間違いじゃなかったかな?」


 そんな事を言って来たので、思わず俺は由香里の額にデコピンをかました。


「イッター! 何するの? 海人君!」


「由香里がバカな事言うからだろ、別に高校に行くって決めたのは俺の意思なんだから、由香里が気にする事じゃ無いだろ?」


 そう言って笑いかけるが、由香里はなおも「でも……」と言ったので苦笑する。


「本当に大丈夫だから気にするなって。それより、真司と桜がもう待ちきれないって騒いでるぞ」


 先程から「腹へったー」と言うメッセージが、止めどなく送られて来ているスマホの画面を由香里に見せると、顔を綻ばせる。


「あはは、それなら2人を待たせないためにも、早足で寮へ戻ろっか!」


 そんな由香里の提案を受けて、俺達は寮への道を急ぎ目に歩いて行った。

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