3/3
3
もともと白線の後ろにいた俺はそのまま待った。
遠くに急行が見えてきた。
そのとき、後ろから声がした。
「お父さん」
驚き振り返ると、そこにはセーラー服を着た女子高生が立っていた。
そして物凄い目力で俺を凝視している。
――お父さん?
俺は女子高生を見て気付いた。
その顔は俺にとってある意味忘れられない女に似ていると。
高校時代、子供をおろすように言ったら姿を消したあの女に。
そのまま女子高生を見ていると、突然彼女が俺を思いっきり突き飛ばした。
――!
バランスを崩した俺は、あっさりと線路に落ちた。
上半身を起こしたときにはすでに急行が目の前に迫っていた。
不自然なほどにゆっくりと流れる時間の中で、俺は思った。
実の娘に殺されるなんて、これこそまさに自分でまいた種。
終




