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ソフィアの生存戦略~気弱な僕だって出来る事~  作者: あきのそら
妖精と踊ろう
6/6

戦闘終了。


「あんた、死ぬ覚悟は出来た?…あたしはいつも覚悟決めてるよ。」


ソフィアが黒色のフォークを頭上で一回転させるように振るいながら、一歩後ろに下がり相手に向けて構えると、一言ナクに語り掛けたその刹那、ソフィアの目は赤黒い閃光を迸らせながらナクの腹部にフォークを突き立て、その穂先を下に向けると何度も、何度も何度もナクを刺したままのフォークを地面に叩きつけており、それを持つ手は持ち手についた禍々しい装飾で傷付き、その血を吸ってより大きく、鋭くなっていく。

気付けばあの禍々しいフォークは消え、その場で倒れ伏しているナクと跪いて肩で荒い息をし続けるソフィアの姿だけになった。

ソフィアのHPは【5/35】まで減り、 ナクのHPも確認すると【5/45】と先ほど減らしたよりも削っていた。HPの減少に呼応するかのようにナクの傷口からは激しく炎が噴き出し、腕に纏っていた炎も赤色から青く、発せられている熱量も上がり俺もソフィアもだらだらと汗を流していた。


「こんな怖いカードだったのか…これ…」


【亜人のフォーク】[コスト【6、【自傷】n】相手にしはらったHP×2のダメージ。]


顔を伝う汗が目に入らないように袖で必死に拭いながら、先ほどの凄惨な光景を思い出してしまい思わず呟く、効果は確かに怖かったけど演出がこんな…やけに叩きつける回数多かったけど、もしかして払ったHP分振るっていたってことか…?


起き上がったナクはふらふらと立ち上がりながらこちらを睨みつけ傷から噴き出す炎を抑えており、ソフィアも振るい続けてズタボロになった腕を力なく下に垂らしているものの、チラッとこちらを見てまるでちゃんと出来た子供を褒めるような笑顔を向けてくれて、すぐに相手の方へと振り返り。


「あんたもやればできるじゃない。…この調子で倒しきるわよ!そうすれば全部元通りになるんだから!」と褒めてくる満足そうなソフィアと対照的にナクは。


「殺す…殺す殺す殺す殺す殺す!」


と壊れたスピーカーのように同じ言葉の呪詛を吐き出してくるナクに最後のカードを切ってトドメを刺そうとすると屋根を突き抜け空を焼き焦がすような青白い高温の火柱をあげて咆哮をあげ、その咆哮に従うようにその炎が蛇を象ると、俺とソフィアを飲み込むかのように大口を開けて向かってきた。


まだこっちのターンなのになんで!と思っていると相手後ろにカードが現れており、どうやら使ったカードは受けたダメージを相手に与えるカードだったらしく、開いた口には数十本もの炎の牙が生えており、噛まれただけで一瞬でひき肉になるだろうなと思えるほどの凶悪な見た目になっていき、本気でとどめを刺そうとしていたようだ。


「全員焼け死ねぇぇ!!」


と恨みの籠った強烈な絶叫をあげながら蛇を操って襲い掛かってくるナクに怯み、咄嗟にソフィアを庇うように抱きかかえてその場に伏せるように丸くなると、途端に熱が消えてなくなり。

あぁ、焼け死んでもう何も感じなくなったのか…こんなところで俺は死んじゃったのか、悔しいな…なんて感じていると急に背中にドン!とでかい衝撃が走り、抱きかかえていたはずの相棒がおらず、床に転がっていた端末へと思いっきりキスをすることになった。


「ぬあああ!いでぇ…なにすんだよ!」

「さっさと体を起こしなさいよ。馬鹿ご主人、それともそのままあたしの椅子になっていたいの?それならそれでもいいけれど?」


生意気な態度で自分の背中に足を組んで腰掛けながら、そんなことを言うソフィアに何か言い返そうと思って、痛みを堪える為に閉じていた目を開けて顔を端末から離すと、顔の真下に落ちていた端末に通知が来ており。

[通知]コージ さんが降参を選択しました。 あなたの勝利です。


へ?降参…?こんなタイミングでどうして?と考えていると目の前に手を差し出してくる男の姿があり、差し出された腕をつかもうと体を上げようとすると上に座っていたソフィアはその体勢のまま宙を浮いて静かに微笑みながら寛ぎはじめ。


「悪いな…俺の相棒が迷惑かけたわ…ちゃんと立てるか?創太。」

「…浩二…?」


聞き馴染みのある声と、腕に巻かれた少し薄汚れたバンテージ、見上げるといなくなっていたはずの親友の姿がそこにあった。


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