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ソフィアの生存戦略~気弱な僕だって出来る事~  作者: あきのそら
妖精と踊ろう
3/6

『傲慢の権化』ソフィアの誕生!

浩二との最初の相棒探しから丸1週間…毎日浩二のジムの練習終わりに一緒に悩み続け、何度も色々な物にカメラを向けてみるもやはりこれといった物が思い浮かばず、学校内でも浩二の時に見た女の子のように、他のプレイヤーにカメラを向けて見てもその人しか映らない為、浩二の件も故障か何かだろうと思っていた。


その日の朝、いつも横にいる親友の姿がなく「普段から体調管理だけはしっかりしてるのに、練習疲れで体調崩したのかな?」なんて思いながら迎えたホームルームで、普段明るい笑顔で話す担任が、神妙な顔をしてみんなが「どうしたのー?先生また振られたん?」なんて軽い冗談を飛ばされている中、衝撃的な一言が発せられた。


「うちのクラスの大葉 浩二が失踪した。昨日の放課後にジムへ練習に行った後から行方がわかってない、親御さんも連絡してみてはいるが連絡すらつかないらしい⋯。最近流行りの暴行事件に関与しているかもしれない、という見解もあり、もしたまたまでも見かけたら先生に教えるように、本日はこのまま帰宅していいと校長も許可してくれたので気を付けて帰るように。」


それは親友の失踪、ジムの練習後から帰っていない、しかも流行りの事件に巻き込まれたかもしれないという事が深く頭の中に張り付いた。


一応先生には帰る前にジムの後自分と遊んだ事を伝えると「そうか…教えてくれて助かる、親には俺から言っておくから今日はゆっくり…いや気持ちが落ち着くまで休んでおけ…お前らは仲良かったしショックも大きいだろう。何かあったら携帯にかけてきてくれてもいいから、な? それで落ち着いたらまた登校してこい。」


その日はその後何をしたか覚えてない⋯気が付けば電池が切れたヘッドホンをつけたまま布団の中で縮こまっていて、外は夜になっていた。

部屋の片隅に投げ捨てていたスマホには、母や同級生からの心配しているような連絡、姉に至っては鬼のような着信履歴すらあった、全員からの連絡を読みつつ通知を整理していると『バトロン』からの通知が一つ来ていた。


[バトロンからのお知らせ]

コージ さんからメッセージが届いています。[すまん、そこから、いそいでにげろ]


「コージ…?ってまさか!」慌てて包まっていた布団から這い出て急いで降り『バトロン』を起動するとマーカーが玄関前で点滅している、もしかしてと思いカーテンを開けて窓から身を乗り出して玄関を見るとそこには浩二の姿は無く代わりに、カメラでしか見られなかった赤髪の少女がそこに立っていた。


「あいつは…浩二のそばにいた女の子…?でもカメラ無しで見えて…いや、そんなことよりも!」疑問に思いながらも慌てて玄関の鍵を閉めるために駆け下りる。

しっかりと閉まっている鍵に安心していたのも束の間、バチバチと火花を撒きながら溶けていく自分の家の扉と、その向こうに見える赤髪の少女は()()()()()()()殴り掛かって来た。


「だ、誰だよ!ってか、幽霊じゃないのかよ!!ずっと毎日俺のカメラに現れて⋯睨んでくるし!」


「コージに愛想振りまく奴は誰だろうと許さない!コージは私の恋人なんだからぁ!」


「な、なんなんだぁぁぁあ!」


赤髪の少女の攻撃を床に転がり込むようにして何とか避けると急いでリビングに置いてある消火用のスプレーを持ち、スマホで警察を呼ぼうとすると画面には追加の通知が来ていた。


[バトロンからのお知らせ]

[戦争開始]先攻は コージ さんの ナク からです。


キャラクターがいない為ソウタさんのターンへ変更せず、再度 コージ さんの ナク の行動です。



戦争開始?まさか対人戦が強制的に始まったって事か⁉︎


妖精がいないからターンは相手にしか来ないし防御すら出来ないから直接攻撃を受けるしか出来ないじゃないか。


それに()()()()()()()()()()()()()()


ホログラムのゲームがなぜ現実に服を焦がしている?それ以前に扉が溶けたり、燃え上がる火から熱も感じる

本来ならライフがゼロになったら終わるけどライフがゼロになる前にあの炎に焼かれて死んでしまうんじゃないか!?という恐怖。


「い、嫌だ…まだ死にたくない!死にたくなんか無い!」


そんな恐怖に情けなく震え、這いながらも急いで向かった先はキッチン、小さな頃から嫌な事があるといつも駆け込んでいた。理由は昔、祖父から貰った包丁や初めての小遣いで買ったミキサーとレシピ本など、自分のために揃えた調理器具があって落ち着いたから、それともう一つ「あれがキャラクターだって言うなら戦わなくちゃ⋯大事な家を守らなくちゃ!」


バトロンでは、どういう仕組みかわからないが思いのこもった物を撮影し、キャラクターにする事で能力にボーナスがかかるシステムがある。実際はただのランダムなデータの選出だと思っていたが今は藁にもすがる思いであった。


「頼む!頼む!早く来てくれ!死にたく無い!まだ生きたい!生きていたい!神でも悪魔でも何でもいい!誰か⋯誰か助けてくれよぉぉ‼︎」


もはや悲鳴にも近い叫び声で近くにあった自分のミキサーを撮る、後ろの方からはメラメラと燃え上がる業火の音と一直線に迫る炎が当たる寸前、自分の真下から強烈な風が吹きあがりその火を巻き込んで炎の竜巻になって消えた。


「はーい。ご主人!この私、ソフィアを呼んだかしら?これから先、何が何でも勝利するわよ。」


消えた旋風から茶髪に碧眼の少女がキッチンのカウンターに腰掛けて、自信満々に笑みを浮かべて自らの手でデッキを差し出していた。


[通知] ソウタさんが【[UC]魔法料理人・ソフィア】を召喚いたしました。自動でデッキを生成いたします。


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