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ソフィアの生存戦略~気弱な僕だって出来る事~  作者: あきのそら
妖精と踊ろう
2/6

相棒を見つけよう!

姉から注文されたコーヒーを買い、お釣りを全て端末へ課金とブランクカード(印刷用の白紙のカード)に充て、残った小銭はスポーツドリンクを買って公園のベンチで一休みしつつ、決済が正常に終わったことを確認すると未だにキャラクターのいない端末画面を眺めながら


「早くこの寂しすぎる画面から、ちゃんとキャラのいる画面に変えたいなぁ…でも何撮ったらいいキャラが出るんだろ?…って、わっ!?」


「痛えな!気をつけろ!ってお前…創太じゃん!」


カメラモードを起動したまま辺りをフラフラと彷徨い、片っ端から色々なものを映して歩いていると急に目の前に人影が現れ、躱す間もなくぶつかってしまい、その場に尻もちを着き慌てて謝ろうとするとぶつかってしまった相手から聞き覚えのある声、差し出された手にはバンテージが巻かれており見上げると友人である、浩二だった。


「あれ?浩二何してるの?」


「何してるの?って、尻もちついたままじゃみっともないからとりあえず立てよ。」


「あーごめん⋯助かるわ。ってあれ?」


浩二の手を掴んで立ち上がり端末が無事かを確認する為に画面を確認してみると後ろに赤髪の少女が立っていた。

何か心配そうに浩二の体を見ておりバタバタと動いているが、こんな子近くにいたっけ?と、疑問に思ってカメラをどかしてみると浩二しかいない、どういう事なのかさっぱりわからず首を傾げていたら


「何見てんだ?⋯ってお前、やっと端末買えたのか!前から呪詛のように『欲しい⋯欲しいよぉ⋯』って言ってたもんな!もうキャラクターは捕まえたのか?ってかどうした?何度も画面とこっち確認して⋯この炎天下で頭やられたか?」


不思議そうにしていた自分が気になったのか、すぐに後ろに回って端末を覗き込んでいた。


「いや、何でもないんだけどさ⋯ってか、浩二こそなんでこんな所に?」


「俺?今日はジムで練習だよ、部活の練習だけじゃ何か物足りなくってよぉ。それよりどうだ?キャラクター捕まえてんなら俺と練習バトルとかしないか?」


そんな浩二の誘いに「実は…まだなんだよね⋯」と、まだ悩んでいてキャラクターを捕まえていないことを告げると、「それなら一緒にキャラクター探すか!遠慮すんなよ、初心者の面倒を見てやるのが経験者の勤めだぜ!」と提案があり、二人で街を散策する事となった。


「そういえばこういうキャラがいいとか希望あんのか?」


「いや、特には決めてなくて⋯できればオールラウンダーなキャラがいいなぁ⋯」


「オールラウンダーは思ってるより使いにくいぜ? 何でもできるけど、やりたいときにやりたいことが出来るかって構築に滅茶苦茶悩むからな。⋯俺も最初のキャラがオールラウンダーでスキル欄見てがっかりしたし。」


このゲームはキャラ毎に特徴があり、近接、射撃、魔法のどれかに特化したアタッカー、回復やバフ、デバフを得意とするサポーター、相手の攻撃を惹きつけ高い耐久力が特徴のタンク、そして自分が探している全ての役割を行えるオールラウンダーがいる。


何でもできるといえば聞こえはいいが⋯実際のレビューとかでは「やっぱり何かに特化してる方が事故率低くていいわ」とか「何でもできるけど、タイミングが噛み合わないと置物になりやすいのでキャラが足りない時や何か欠けた役割の代用位にしか使わない。」「純粋に構築難易度が高い、少し不遇なキャラ達、てこ入れしてほしい。」ってコメントのほうが多数派でロマンよりの中、上級者向けって言われてる。


「でもやっぱり何でもできるのを使いこなせたらかっこいいし、やっぱりロマンあったほうが楽しいじゃん。」


「まぁ⋯前から『自分の最初の相棒は絶対、オールラウンダーがいい』って言ってたよな。ならマジ強いオールラウンダーのキャラ見つけような!」


こういうところが浩二の良い所で自分の意見を押し付けずに乗ってくれる、そんな所が後輩から先輩じゃなくて『兄貴』って呼ばれてるんだろうなって思う。


そんな兄貴って言われる浩二が選んだキャラってどんなキャラなのだろう?と散策中、浩二のゲットしているキャラクターが気になり、話を振ってみると「これから戦うかもって相手に手の内見せるのは嫌じゃね? バトルの時に嫌でも見られるんだからそれまで我慢しとけって!」とかわされてしまい見られそうになかった。


その日は結局、何の成果も得られず「バトルはまた今度にしようぜ!それまでにちゃんとキャラクター捕まえて鍛えとけよ!」と浩二に念を押されて解散した。


その後ろ姿に「さっきのはやっぱり幻だったのかな?⋯もう一回だけ⋯」と故障か心霊現象か、と怯える自分を奮い立たせるように呟き、カメラを向けて見ると赤髪の少女がこちらを睨みつけるように見ながら、浩二の後ろを浮かんで追いかけていく姿を見て、故障した⁉という不安と、幽霊を見つけてしまったのではないか⁉という恐怖に苛まれながらも更に謎が深まるだけであった。


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