園田くん観察記録
初の作品となっております!
楽しんで読んでいただけたらなとおもいます!!
私は今、とても重要なことをしている。
それは、現役女子高生が次にくる期末考査のための授業を後回しにするほど、重大で重要なことなのだ。
♢♢♢♢♢
私が高校に行く最もな理由・・・・・・それは、私のななめ前に座っている園田純平くんの観察をすることである。むしろ、それ以外で高校に行く理由が思い当たらない。
私が園田純平・・・・・・園田くんになぜ興味を持ったのか・・・・・・
顔→平凡、身長→平均的、性格→普通(?)、クラスでの馴染み度→普通。これと言って突出するものもなく、可もなく不可もなくみたいな普通の塊みたいな人である。
だが、ある事をきっかけにこの印象は、変わることになる。
あれは、いつの頃だったか・・・・・・昼休み、基本何もすることがない私はよく音楽を聴きながらベランダに出て景色を眺めることが多かった。その日も変わらず同じことをしていたら、いつもと変わらない景色の中に一つだけ見慣れないものがあったのだ。それは、誰も手入れをしていない雑草だらけの花壇にしゃがみこんで草むしりをしている人だった。
私は、そいつをただただ眺めていた・・・・・・その時にそいつがいきなり後ろを振り向いてきたのだ!
(その時の私の心臓は未だかつて無いほどうるさかったが・・・・・・)
そして、輝かんばかりの笑顔でこっちを見てきて手を振ってきたのだ!!!!
それからの私は、そいつのことが何故か知りたくて知りたくて
普段使わないコミュ力というものを使ってそいつの正体を突き止めたのだ!
そいつの名前は、園田純平・・・・・・じゅんぺい・・・・・・純くん・・・・・・いや、馴れ馴れしいな・・・・・
と、とにかく!そこから今に至るのだ。
♢♢♢♢♢
今日も今日とて園田くんは、輝かしい笑顔を振りまいて登校してきた、その笑顔で私を朝から殺す気なのだろうか・・・・・・殺傷能力が高いとみた。
昼休み、園田くんはあの頃から変わらず花壇の整備をしている。・・・・・・私も手伝いたいが如何せん、今の私のコミュ力では少し、いやだいぶハードルが高そうだ泣
午後の授業は、体育がある。
そう、私が楽しみにしていた体育だ!!!
今やっている体育では、男子も女子も体育館でバレーをしている。
つまり、園田くんの体操服姿を存分に楽しめるということだ!!
私にとってこれほど心待ちにしていたものは無い。
バレーに集中しつつ園田くんを見続けるのは至難の技だが、私の本気を見せてやろう!!
♢♢♢♢♢
「あれ・・・・・・?保健室?」
私は何故か保健室で寝ていた。どうしてだ・・・・・・?
そういえば、体育の記憶が無い気がする・・・・・・何故だ?
「あ、起きた?」
その声が聞こえた瞬間、私はベッドから滑り落ちた。
「だ、大丈夫!?」
その声の主は、急いで駆け寄って私に向かい手を差し伸べた。
な、何故だ・・・・・・何故、彼が・・・・・・園田くんがここにいる!?
と、とりあえずぉぉおおおお落ち着け、深呼吸だ・・・・・・
私は、そーっとそれはそれはそーっと園田くんの伸ばされた手に自分の手を置いた。
すると、園田くんは私の手を引いて起こしてくれた。
「高梨さん、大丈夫?僕の友達が打ったボールに顔が当たってしまって倒れたんだよ、まだ痛むかな?」
そう言って園田くんは、心配そうな顔で私を見つめてきた。
「大丈夫です・・・・・・ご迷惑をおかけしてすみません。あの、ここまで連れてきてくださったのはどなたですか?」
そう聞いた直後、私は後悔してしまった。いや絶対、園田くんじゃん!!!!もう1回言うけど、この感じからして園田くんじゃん!!!!
そして、そうだったとしたら私は多分死んでしまう・・・・・・
世界で初めての恥ずかしさで死んだ人になってしまう、それだけは避けなければならなかった。
なのに聞いてしまうとは・・・・・・ポテチを買い占めてるおじさんに、好きなお菓子はなんですか?って聞いてるようなもんだし、
公園でサッカーしてる子達に、何してるの?って聞いてるようなもんじゃないか!!いや、見れば分かるやないかい!!ってやつじゃん!!
「あ、連れてきたのは僕だよ。・・・・・・元気そうで良かった・・・・・・」
そう言って微笑んでくれたことで私の今までの残念な気持ちが浄化されていった。
「あのさ・・・・・・」
園田くんは、一旦言葉を切ってから話し始めた。
「僕、高梨さんがいつも昼休み中に花壇を見てるの知ってるんだ。・・・・・・高梨さんって花とか好きなの?・・・・・・いや、深い意味とかは全然無くって、もしよかったら一緒に育ててみないかなって思ってさ。」
それを聞いた私は、今まで生きてきた人生の中で1番神という存在にお礼を言ったと思う。そして、ちょっと照れ気味の園田くんは、すごく殺傷能力があると思ったので笑顔同様、気を付けようと思う。
♢♢♢♢♢
それからの私と園田くんの距離はとてつもなく縮まったと思う。
・・・・・・言い忘れていたが、あの時の返事はもちろん「はい、喜んで!」の一択である。
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今日も今日とて私は変わらず園田くんの観察を続けている。
ただ1つ変わったことは、昼休みにベランダで音楽を聞くことはなくなったということだけである。
・・・・・・もうすぐ昼休みだな、遅れずに行かなければ!
私は、全速力で駆け出していた。
その顔は恋する乙女のような顔だったことを、まだ誰も知らない。