第5話 〜言えない〜
「ふー。ギルドに到着〜。来る途中色々あったけど、今の時間は5時55分! 間に合った〜」
ギルドの外ににある時計を見て安心していると、ギルドの中は外からでも分かるほど賑やかだった。俺は、中に入ってみると男冒険者達が馬鹿みたいにお酒を飲んでいた。
「「おおおおお! 主役の登場だぁぁぁ」」
「お前ら息ぴったりすぎな!!」
ツッコミをいれていたら、ギルド職員の人が俺の方に歩いてきた。
「アイチ様こちらへどうぞ」
そう言われ俺は、ギルド職員に付いていき冒険者達が飲んでいるホームの所にある、台座に登った。何か緊張するな。
「これからアイチ様に賞金の贈呈、勲章を与えます。心の準備は大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫です」
「では。やりますね」
そう言うと、ギルド職員は紙を持ち息を大きく吸った。
「ワタナベアイチ様。貴方はこの度の、緊急クエストでおいて、100Lv以上のモンスター、魔王軍幹部《同族食い》を退ける偉業を成し遂げました。
この功績を称えて、賞金1000万キョロスと、勲章ポイント5ポイントを授けます」
「ありがとうございます」
「「パチパチパチ」」
俺は、ただ運だけで倒したのに何か凄いやつみたいになってるな。でも、待てよ? 1000万キュロスは、日本円で1000万だよな? 俺大金持ちじゃん!! ってゆうか勲章ポイントとは?
「あのー、すいません勲章ポイントってなんですか?」
俺は、小声でギルド職員の人に聞いた。
「アイチ様は、本当に無知ですね。勲章ポイントとは、勲章ポイント 1ポイントでスキルを覚えられます。《リトル》の場合スキルは、何でも覚えられます。冒険者カードから、覚えられますよ」
こいつ今俺の事、無知って馬鹿にしたよな?
絶対に、馬鹿にした。でも、これは役に立つな。早速1個スキルを覚えるか。
「えー、続いては今回の主役アイチ様に、
乾杯の一言いただきたいと思います!」
時は満ちた! スキル『説得』発動! この作戦の為に、勲章ポイントを消費したんだ! 何としてでも成功しなければ!
「すいません。女冒険者達の皆様はこちらへ来てください」
「え? 何であたしらが?」
「まぁ、ちょっとしたサプライズですよ」
そう言うと、不思議そうに女冒険者達が登ってきた。1、2、3……。モモさん以外居ないが、モモさんはそのうち来るだろう。
「貴方達に伺います。私は今日この街を救いましたよね?」
「は、はいそうですけど、それがどうしたんですか?」
女冒険者達は、俺の質問の意図がわからないようだ。まぁ現時点では分からないよな。
「ですが、私は今日貴方達に馬鹿にされました。昼には、外れハイ・ヒューマンと言われ、挙句の果てには私に魔法を撃ってくる始末……。どう思いますか、皆さん?」
「何か罰を受けるべきだーー!」
「そうだーそうだー!!」
「ちょ、ちょっと! あんた達も馬鹿にしてたじゃない!」
「そうよそうよ! 私達だけが、笑ってたみたいじゃない!」
ふふふっ。結構追い込まれてるな? ここで、更なる追い込みをかける!
「でも、貴方達は私に申し訳ない気持ちはありますよね?」
「当然よ! 申し訳ない気持ちでいっぱいよ!」
「じゃあ、私は許します。これを着てくれたらね♪ 」
そう俺は、言い男冒険者達の方へ指を向けた。そしたら男冒険者達が一斉に、自分の趣味丸出しの服を出した。
「嘘でしょ? 私達があの服を着るの?」
「そうですよ? 私に、申し訳ない気持ちでいっぱいなんですよね?」
うわ〜。俺を見る目が、ゴミを見る目だよ。
だかな! 俺は根に持つタイプだ!
俺はこいつらを許さない!
「わ、分かったわよ! 何故かあんたの言葉には、説得力しかないわ! 何か言う事を聞きたくなってくるじゃない!」
え? 俺がさっきから、言っていた事ただのゲス発言だよ!? 説得力の欠けらも無よ!? これがスキルの力か……。このスキルの力があれば、俺の復讐劇は、確実に成功する!
「でも、安心してください。それじゃフェアじゃない。男冒険者達にも、罰を与えないとね? おっ! 丁度来ましたね。」
「アイチちゃん来たわよ〜。同類を、皆呼んできたけど本当にここに居る男を自由に使っていいの?」
ふはは! 秘密兵器オ・カ・マ だ!! 俺は、冒険者全員に罰を与えないとこの怒りは、収まらねぇ〜!
「構わないです! 皆自由に使っちゃってください!」
さっきまで馬鹿騒ぎしてた、男達が絶句してる。
「では! 俺の偉業を祝って、カンパーイ!」
そして、賑やかな宴が始まった。
ーー5時間後ーー
「お前ら脱げ脱げ! 裸になれぇぇぇ!」
「うるちゃいわよ! 私は、この格好になってヘッグ!いる自体、嫌なんだからヘッグ!」
「あらやだ。そんなに脱げって言うなら、私らが脱いじゃうわよ〜!」
「「「お前らは脱ぐなーーー!!」」」
「だからお前ら、息合いすぎな!?」
最初はカオスな宴会だったが、時間が経つにつれどんどん賑やかになって今じゃ、馬鹿騒ぎ状態だ。
「ウーン」
俺の太ももの上に居たミケランが、眠そうに俺に頭をこすってきた。
「ミケラン眠いのか……。もう遅いし宿屋に行くか」
宿屋は、ギルド職員の人達が予約してくれたらしい。この街の宿屋の場所なんて知らなかったけから、凄いありがたい。
「では、皆さん俺はもう帰るんでお先に失礼するわ」
「お〜? アイチさんよ〜もう行くのかぁ?
お酒も飲まないし、ノリが悪いな〜!」
この世界だと、お酒は15様からだけど、俺の世界じゃ20歳からだからな〜。
なんか抵抗があってお酒は飲まなかった。
「そうよ〜アイチちゃん! 今夜は、私達と
オ・ト・ナになってみない〜!」
「そうよ、アイチ君が居なくなったらツッコミ役が居なくなるじゃない」
「ツッコミ役も疲れるんだからな!? でも、流石にミケランが限界だから、それじゃあな」
やっぱりミケランが可哀想だから仕方がないな。
「よし! お前らーー! 主役がいなくなってもこれから飲み直すぞーー!!」
「「おぉぉーー!!」」
あいつらまだ、飲むのか。流石に飲みすぎたし、食べ過ぎだろ! あれ? そういえば、俺達が食べたお金ってどうするんだろ?
まぁ普通に考えて、ギルドが払ってくれるんだろう。だが、さっきからギルド職員が俺をチラチラ見てるんだよなぁ〜。嫌な予感しかしないだよ! ほら、言ったそばから俺の方に走ってきやがった!!
「アイチ様〜! お願いがあります……。アイチ様……500万キュロス頂けませか……?」
「嫌だ」
「お願いしますよぉぉ! 私のミスで、後先考えず高いお酒や、料理を出しすぎてしまいしたぁぁ! これじゃ私がクビ……ゴホンゴホン。ギルドが大赤字になっちゃいますよー!!」
「お前、絶対に自分の立場の事しか考えてないよな!? 絶対にお前なんかに挙げないからな!」
「いやだぁぁぁ! クビになるのだけは、いやだぁぁぁ! 」
こいつ駄々こねやがった! 最初に会った時は、出来る男みたいな風貌だったが蓋を開けてみればクズ野郎じゃねぇか!
「もし、お金をくれなかったら、バラしますよ? 貴方の加護を!」
「俺の加護? 別にバラしてもいいぞ。バレたところで俺は加護を、ほとんど使えないからな」
「本当にバラしてもいいんですね……? 本当は、冒険者たちのステイタス以外は絶対に見ちゃいけないんですけど、うっかり見ちゃいましてね。アイチ様……ハゲの加護を宿してますよね?」
「ハゲの加護がどうしたんだ? あんな加護老後にしか使えないぞ?」
「本当に無知ですね。ハゲの加護はですね、この世で1番要らないとされる加護なんです。ハゲの加護があったと知られたら、一生笑いものにされますよ?」
こいつ!! また俺を無知とバカにした挙句、脅してきやがった! だご、これ以上笑いものにされるのも嫌だ! 癪だが、お金を払う以外方法はないか……!
「分かった……。500万キュロスは払ってやるよ!」
「そう言うと思いまして、もう500万キュロスは貰っています。これが残りの500万キュロスです。だからもう帰っていいですよ〜」
こいつぅぅぅ! ウザい、ウザすぎる!
何がウザいってむっちゃ、ニヤニヤしながらお金渡してくるんだもん! 殺してやりてぇ〜!
「クソッ! 今日は大人しく帰ってやる! おやすみなっ!」
俺は、強引にお金が入った袋を取り、宿屋に向かった。
「ふぅーー! 疲れたー」
宿屋に入り、受付の人に部屋まで案内され、部屋に入った途端ベットへ、ダイブした。
凄いベットがふわふわで気持ちがいい。
「はぁ〜、今日は色々あったから疲れたな……。 神にもあったし、お風呂場で死んだし、ゴブリンと戦って死にかけたし、モンスターに追われ死にかけたし、今日ずっと死にかけてたな……」
今日の出来事を、目をつぶって思い出していると、眠気が襲ってきてそのまま寝てしまった。
ーー1時間後ーー
ん? 体が重い……何か柔らかいものが俺の胸に当たっている。目を開けて見るとそこには、裸体の女が居た……。えっ? どういう状況!?
「愛地君……これで君も童貞卒業だね?」
「あの、ごめんなさい。俺人の体見ると、吐き気が……ヴッ……!」
「愛地……そんな体質だったの? 家族なのに知らなかったわ」
ん? 家族? えっ? しかも何故か、周りが明るくなってきてどんどん女の顔が見えてきた。
「あっ……母さんだったのか。良かった〜、家族なら大丈夫だから。でも、母さん俺が
人の体が嫌いって知ってるじゃん。」
「えっ? 驚かないの? 母親が裸体で息子の寝ている体の上に居るのよ?」
「何言ってるんだよ……母さんの裸体なんて見飽きてるし、全然平気だよ」
「えっ? 平気なの?」
「うん、平気だよ」
「あっ……はい」
「ハッ! なんだ夢か……良かった〜母さんじゃなかったら吐いてたなぁ〜」
「結構項垂れてたけど、どんな夢を見てたのかな?」
そんな事を考えてたら俺の体の上から女の声が聞こえてきた。起きたと思ったが、まだ夢を見ているのか。
「今回は、全裸じゃないな! これで吐く心配は無いな!」
いや〜、でも今回の夢は妙にリアルだな〜。
女からの吐息の風を感じるし、感触も本物の人間みたいだ。
「ふふふっ。まだ寝ぼけてるのかな? もうこれは、夢じゃないよ愛地君」
「夢じゃない? さっきと同じシチュエーションで、夢じゃないって……今回は騙さられないぞ! でも、全裸にはならないで下さいお願いします」
「ムッ……それは心外だな〜。愛地君は私を簡単に全裸になる女だとと思ってたのかな? ちょっとショックだよ」
女が喋った途端、月明かりが窓から入ってきて女の顔が見え始めてきた。
ほら! さっきと同じシチュエーションじゃん! だが、さっきと違うところがあった……
「小豆……先輩? 何故……俺の夢に小豆先輩が……。小豆先輩の事なんて、忘れていたのに夢に出てくるなんて」
俺の体の上に居たのは、小豆先輩だった。だが、顔はかは変わってないが髪の毛の色や、目の色が変わっていた。髪の毛は白色で……目の色は赤色だ。だが、声や顔立ちは絶対に小豆先輩だ。
「愛地君、ここは夢じゃないよ。 証拠にほら」
そう言うと女は、俺の腰に手を回しこちょこちょをしてきた。
「ははははっ! やめてくれ! こちょこちょをするな! 俺はこちょこちょは弱いんだよぉぉ!」
「ほらね、愛地君。ここは夢じゃないでしょ?」
「分かったから! こちょこちょをするのはやめてくれぇぇぇ!」
小豆先輩はゆっくりと手を離し、手の感触を名残惜しそうにしていた。
「こちょこちょって意外と楽しいんだね? 私いままでやった事無かったから」
俺はこの状況を理解するのに時間はかからなかった。
「はぁ……はぁ……そうかここは夢じゃないのか……。えっ!? じゃ小豆先輩も、転生した系?」
「そうなるね。私も神様のお陰で、転生出来たんだよ。まぁ、その話は後でいいから今は、楓さんが待っている、一本杉に行こうか」
「えっ? 何で楓が待ってる場所知ってるんですか!?あの時、あの場所に居たのは、俺と、楓と、フードの女じゃないですか!」
「あれ? あの時、声質がバレないように声を変えて喋ってたけど、 愛地君なら。分かってくれると思っていたけど……私が、フードの女だよ?」
「本当ですか、全然気づきませんでしたよ」
「そうなのかい? 私は気づいて欲しかったな」
寂しそうに言う小豆先輩。
「それじゃあ、楓の所に行きますか」
俺は無理矢理話題を変えた。
「そうだね。もう待ち合わせ時刻10分ぐらい過ぎてるもんね。でも、愛地君が遅いから迎えに来たのに、愛地君が寝てたからびっくりしちゃったよ」
「一本杉の場所を、探していたんですけど分からなかったんですよね」
本当は一本杉の場所は知っていた。だけど、本当は楓にどんな顔で会えばいいか分からなかった。
「まぁしょうがないよ。 じゃ、行こうか」
だが、寝落ちしたお陰で服装はそのままだし、良かったな。
「あっ! 危ない危ない! ミケランを忘れるところだった。ミケラン……お前ずっと寝てたのか……流石にあんなに、俺が大きい声出してたのに寝てたのかよ……クソっ! 可愛いんだよ!」
そう言うとミケランが、起きて俺の方を向いてきた。
「ウ〜〜ン」
ミケランが、顔を下に向けて謝ってきた……。
「だからお前、可愛すぎるんだよ!」
そう言い俺は、ミケランを鞄に入れた。
「可愛いね、ミケランって言うのかい?」
「可愛いですよね!! 昼の時に、魔物群れを殺った所に居たんで迷子かなと、飼い主を探しているんですよ」
「でも、その犬って……」
「どうしたんですか?」
「いやなんでもないよ」
最後の小豆先輩の言葉が気になりながら俺達は宿屋を後にした。
人物紹介
名前:渡辺愛地
Lv︰2
年齢:17歳
種族:ハイ・ヒューマン
ステータス
体力:50
力:50
魔力:50
俊敏:50
器用:50
耐久:50
知力:700
運:-9999
スキル
『超幸運』『説得』
加護
力の加護 魔法の加護 超越の加護 職業の加護 ハゲの加護
装備
新人セット:転生した時に、装備していたもの。剣、防具、全てがLv50まで不自由無く使える物。
腕輪:チャラ神から情で貰ったもの。装備すると力が、転生した世界の一般男性の、力のステイタスが得られる。
好きな物
家族 ミケラン りんご
嫌いな物
露出が多い人(家族、楓、は例外)
ポーション
どうもお久しぶりです、犬三郎で〜す。
ストーリー進んだよね!? 全然進んでないとか言うなよ!
まぁ、ミケランが凄い可愛い6話でしたね〜。さぁ次の第7話は、愛地が可哀想な回です。あれ?毎回可哀想じゃん……。
モモさん出してあげたかったby犬三郎