第20話 ~話せないのが苦しい~
ハルとの戦闘から2日が経った今日。何故か魔王様に呼ばれ魔王室に来ている。
魔王室とは、魔王様が執務をする場所だ。部屋は本当に社長が居るところみたいな感じだ。魔王様は椅子に座っており、隣に結がいる。俺はその対面にある椅子に座っている。面接みたいな状況だな。
だが、俺はてっきり魔王室なんていうから、大きい装飾れた場所の奥に大きい椅子があってそこに座っているという感じだと思っていた。
「渡辺愛地君には蟻班に入ってもらうよ」
「蟻班? それはなんなんだ?」
魔王様から突然言われた言葉。班と言ってるからにはグループ的なものだろう。
「じゃあ、結、説明しくれ」
結は頷いた後に喋る。
「分かりました、魔王様」
「貴方にも分かるように説明しますけど、魔王軍には外交チーム、潜入チーム、攻撃チーム、防衛チームがあるのは知っていますね?」
「ああ、それは知っている」
「それなら話が早いですね。蟻班は潜入チームの1つの班。重要な場所に潜入してそこにワープゲートを設置し攻め入る準備をする役目と、相手の重要物や、ポーションなどの物を調達する役目です」
「確かに公共の場所に潜るには人間の俺は最適か……それと、班って事はまだ他にも人がいるのか?」
「その通りです。蟻班ではハラ、ヤマ、ミケランジェロ、メラ、ラメ、サラン、そして、私がいます」
ハラは泥人間だが、地面の中を自由に移動出来るという利点をもっている。そして他の人物は人間に近い見た目をもっている。
結なんて人間だしな。だが、サランという人物は誰だ? そんな人は俺の知る限りではいない。
「サランっていう人物っていうのは誰なんだ?」
「そうでしたね。まだ、貴方はサランの名前も知りませんでしたね。サランは魔王軍幹部で、魔王軍幹部内の序列1位、魔王軍全ての序列では4位の化け物です」
「幹部なのに序列4位なのか? だったらもっと昇進してもいいんじゃないか?」
その俺の質問には魔王様が答える。
「それが、サランは曲者でね。私の言う事も聞かないし、山奥で魔物と1ヶ月休まず戦ったり、それで魔王城に帰ってきたと思ったら任務をこなしてくれるし、任務が終わったら半年も寝るしでよく分からないけど、実力は相当のものだよ。僕と戦っても5分ぐらいは持ち堪えるぐらいの強さだね」
「それを聞くとサランが弱いと思っちゃうんだけど」
魔王の言ってることは謙遜でもないだろう。序列4位の奴を5分で殺せるって……やはりこの世界のラスボスは強いな。
それを殺させようとした、チャラ神マジで鬼。
「今の話を聞いて分かったが、わざわざ魔王室に俺を呼んでこれだけを知らせるってことはないよな……?」
魔王様が笑いながら喋った。
「よく分かったね、君のちゃんとした初任務だ」
確かに俺の初任務はダイン前線で何かしらの事をを成し遂げるってやつだったからな、今からやる事が本当の初仕事とか言っても過言ではないだろう。
「それで任務の内容は?」
「マカル帝国へ行って、冒険者になって名声を上げてくれ」
「名声を上げるか……なんでだ?」
「名声を上げて、城に入れるようになったら君のファイアをいっぱい撃って城を壊す。だけど、ファイアを撃ったのを君だと分かんないようにする。簡単な任務だろ?」
「簡単な任務って……激ムズじゃないか?」
「君ならやってのけるだろう。あと、ミケランジェロもちゃんと連れいてくように。それと……絶対にリトルだということはバレないように」
何故俺がリトルに就いてるとバレてはいけないかというと、この世界にはリトルに就いてる人は3人しかいない。この人数は勇者の数と一緒だ。その1人でしかも、王都では俺の顔はバレていて、しかも、魔王軍幹部と知れ渡っているだろう。
たが、まだ帝国には俺の事は知れ渡ってはいないと俺は聞いている。たが、俺の顔が出回るのは時間の問題だ。その間に名声を上げないといけない。
まぁ、顔認識をまどわすフードを被れば大丈夫なんだが、それを取れという輩が出たらもう俺の任務は失敗。幹部として恥をかき、何の成果もあげられない最悪の結末になる。
「任務の内容は分かりましたが、いつ魔王城を出ればいいんだ?」
「3日以内ならいつでもいい、十分に準備をして、何かあったら魔王城に帰ってくればいい」
「分かりました。じゃあ、今から行ってきます」
「やる気十分だね。じゃあ、期待しているよ」
「了解しました!」
「ふぅ~やっと森を抜けたがどう見てもあれが帝国だよな
魔王室を出て、約3時間後。俺は人型のミケランと共に帝国付近魔物がいっぱいいる森ににワープした。
森を抜けた瞬間目にについたのは大きな花だった。
帝国の事は本でどんなふうか予想していたが、それを上回る物だった。
今、俺の目の前に広がるのは一面の花畑。そして、帝国の城壁は薔薇の茎のようなトゲトゲしい緑の壁。
そして、その緑の高い城壁からでも分かる程の大きさの薔薇。その薔薇帝国の中央に咲いておりそれが帝国の城だ。
「やっぱり圧巻されるニャねぇ~」
「そうだな。あれやべぇな」
あまりにも規格外すぎで笑ってしまっている自分がいる。たが、王都も王都で凄い所に建っている。王都は水山の水口を土で埋めその上に立っている。
水山からは水が永遠に流れており、その水の勢いは水に触れただけで腕が裂けるほどだ。
そして、王都に行くにはダイン前線を超えるしかない。何故ならダイン前線から王都とに繋がる、溝を通らないといけないからだ。
そこの溝以外の場所は勢いがやばい水が流れている。ダイン前線を超えなければ王都には侵入不可だと思っていたが、それをザイザルが覆した。人間で魔王軍側、それを生かし王都にワープゲートを設置し歴史に刻まれるような大事件を起こした。
「マスター、遠くから城を見るより近くで見た方がいいニャ。早く検問を通るニャ」
「それより、ミケランは帝国に入れるのか? 魔獣なんだから、入れないだろ?」
「それは、私が魔獣の姿になってマスターが魔獣使いと言い張れば通れるニャ。そして、検問を通って私が人型になれば自由に動けるニャ」
「そうか、魔獣使いでも俺が魔王軍側だとは思われないよな」
この世界では魔王軍は絶対的な悪だ。2代目魔王は人間との共存を選ぼうとしたが、国王との会合で殺されてしまったと本に書いてあった。
悪い人間でも魔王軍に関わる奴は絶対にいない。
「なぁ、それよりあそこの馬車盗賊に襲われてね?」
俺達の所から約、1キロ離れている帝国へ繋がる道に居た馬車が盗賊に襲われていた。
こんなに見渡しがいい場所で馬車を襲うなんて馬鹿なのか? 直ぐに国兵が助けに行く……わけがない。俺が馬鹿だった。この広い所を国兵が全て守る事が出来るはずがない。馬車を助けに行こうとしても、勝手に国兵が持ち場を離れることは出来ない。それは、盗賊達も分かって襲っているのだろう。
そして、帝国が直ぐそこに見える状況だったら馬車に乗っている人は油断する。
完璧な作戦か……。
「本当ニャね~、マスター助けるニャ?」
「魔王軍が人を助けるっていうのもどうかと思うが困って人を出来るだけ助けるのが俺の流儀だしな。まぁ、盗賊ぐらい倒せるだろ、ミケランもいるし」
「そうニャね。じゃあ、マスター捕まっててニャ」
ミケランはおもむろに俺をお姫様抱っこした。
そして、ミケランが忠告した直後、ミケランはもの凄い速さで馬車へ向かった。
でも、この状況ってお姫様抱っこだよな? 普通は男がやるんだが、あそこまでの距離を早く移動するには俺のステータスじゃ、時間がかかる。
このお姫様抱っこは必要な事なのだ。必要な事なんだけど……男としてものすごい恥ずかしいんだよな。
そんな事を考えているともう、馬車の近くに来た。
「へいへいへい! 金目の物を置いてけよ!」
ミケランがスピードを落としながら静かに盗賊達の後ろに着いた。俺はミケランからのお姫様抱っこから抜け出し地面に立った。
盗賊達の人数は20人ぐらいか。全員のLvの平均は250Lvぐらいだろうな。相手の力量とかは感でわかるようになった。
たが、この感は信じていいものではない。感は感だからな。
しかし、この盗賊達、冒険者だったら第4級冒険者か、そして、1人だけ強い奴がいるな。あいつは350Lvぐらいだろう、まぁ盗賊達のボスだろうな。
因みに俺のLvは100だ。リトルの特徴としてLvが100以上、上がらないのだ。魔王軍幹部との戦闘を繰り返してたからリトルじゃなかったら今頃500Lvぐらいはいってた筈なのに……リトルめ恨むぞ!
そんな、弱い俺が『制御』を解放しないでこの人数と戦うと死んでしまう。
ダイン前線の時は冒険者が弱かったからいいものを、今の相手は強いからな、ここはミケランに任せるか。
「さぁ~て、ミケランやっておしまい!」
「分かりましたニャ、マスター!」
「うん? 俺達の後ろから声が? 誰だテメェら!?」
俺達の声に気づいた盗賊達。
「通りすがりの冒険者ニャ!」
ミケランは爪を伸ばし、次々にその伸びた爪で盗賊達を倒していった。まぁ、力量の差は歴然だからな。ミケランのLvは643だ。魔王軍幹部のLvは俺以外、全員Lv600以上だからな。俺が幹部の中で1番低い。
だが、この世界のLvはLv500から上がりにくくなってしまう。Lv500からは経験値の取得が2分の1になってしまう。600からは3分の1、700は5分の1だ。
「なんだ、こいつ! 強すぎるだろ! ちきしょう! 化け物かよ!」
声を発したものから次々にやられていく。まぁ、気絶にしているから大丈夫だと思うんだけど……腕があらぬ方向に曲がったりしてるけど死んでないよな?
「クソう! そこのヒョロっちい奴だけでも殺してやる!」
そんな事を考えていると盗賊達のボスが突っ込んできた。
俺のステータスは力と運と知力以外、5歳児の子供一緒だ。
チャラ神がくれた、このブレスレットのように力を上昇してくれるアイテムを装備すればいいがそんなのは貴重すぎで魔王様が俺にはくれないのが現実だ。
俺に向かってきている盗賊達のボスを倒すには俺のステータスじゃ、無理だ。まぁ、俺はずるいから勝てるんだがな。
「うぉぉぉぉぉぉぉ、喰らえ、俺の全力投球!」
俺はビー玉を盗賊達のボスに投げた。
「魔芸者魔法『ジャック・オ・ランタン』!」
そのビー玉はビー玉と同じ大きさのジャック・オ・ランタンになった。
「そんな、石ころ当たっても……グァァァァァァ! 右肩がぁぁぁぁ!」
多分、肩が外れたのだろう。まぁ外れるのは当たり前だ、ジャック・オ・ランタンはその見た目に反してその重さは500kgだ。
魔法をかけた、ジャック・オ・ランタンの重さは何倍にもなる。もう、ジャック・オ・ランタンは俺の必殺技にぐらいなっている。
たが、ジャック・オ・ランタンで気絶しなかったのは予想外だ。
また、ジャック・オ・ランタンを投げても斬られるだけだし……。
「クソ! 肩が外れたぐらい関係ねぇ! 力魔法『筋力増加』力魔法『脚力増加』!」
ボスの腕は膨張し、太い腕になり、それと、同時に脚も太くなった。力魔法なんて珍しい魔法を使えるのに、なんで悪の道に進んだんだ! 悪の道に進まなきゃ俺は絶対絶命にならなかったのに!
力魔法を使われたら俺逃げられないし、魔法を使う前に俺死ぬし無理だろ!? ミケランは他の者達を相手していて手が離せないし
……『制御』を解放するしかないのか!?
「力魔法か、その膨張した腕の中はどうなっているのかい?」
俺の絶体絶命の中、突如、俺の目の前に出てきた彼女。その声は……とてもとても懐かしい声。
「なんだお前! 次いでにお前ら諸共死ねぇぇぇぇぇぇ!」
ボスは地面を蹴り、その女性の元へと駆けた。蹴った地面は抉られ、そのスピードは目に見えないほどの速さ。
俺では絶対に受けきれない攻撃、避けきれない攻撃。
「そんな攻撃、腕を避けて急所に攻撃すればいい単調な攻撃だね」
彼女は剣の横切りを避け、お腹にパンチをした。そのパンチの衝撃でボスは空高く飛び、ドスッ! という音をたて地面に倒れた。
盗賊達のボスを倒した、彼女。彼女は後ろにいる俺の方を向き喋った。
「君ぐらいの腕前なら倒せたと思うけど、余計な世話だったかな?」
「いえ、助かりました」
ああ、昔は話すのが当たり前だったのに、自然に話せないのがこんなにも辛いものなのか? いや、まだ、この人があの人だと決まったわけではない。もしかしたら、違うかもしれない。お願いだ違ってくれ。
「アズキ様~、大丈夫ですか!?」
そのとき、馬車の中から下りてこっちに走ってきた彼。
なんでこんなに短期間に大切な人達と会うのだろう? いや、違うこの人達は俺の知っている人じゃない。あの人が小豆様と言っていてもこの人が自分の事を小豆と言わない限り、俺は信じない。
「大丈夫だよザイザル君。それより、あの獣人族の彼女は強いね。私と同等、ぐらいかな?」
今丁度、戦い終わったミケランに対してミケランの力量がどれくらいか分かったのだろう。それと同等と感じるのは事実だろう、彼女は強い。
「マスター、大丈夫か……ニャ?」
ミケランこっちを向き、走ってきたとき、目についた彼女達。それに驚きを隠せないのだろう。たが、ミケランそれは小豆先輩達じゃないかもしれない。そう信じるんだ。
「あ、自己紹介がまだでしたね。私はエラスラン王国、魔王軍討伐部隊魔族討伐班のザイザル・マーフォンです」
「同じく、魔王軍討伐部隊魔族討伐班、アズキ・ナギサです」
知っている、知っている! こんなに大切な人達を間違えるはずがないだろう!
知っている! 知って嬉しいのになんでなんで、こんなにも苦しいんだよ!
駄目だ、自己紹介をしよう。落ち着いて落ち着いて。
「初めまして、アーチ・ワーナベルです。ただの弱小冒険者です。それでこの獣人族は……」
「初めましてニャ、ミーラン・ジェロニカです」
元々の名前をちょっと変えただけの簡単な名前だ。
たが、こんな簡単な名前でも効果はある。現に俺を恨んでるはずのザイザルや小豆先輩は気づいてない。
「アーチさんと、ミーランさんか。2人共、私達とあったことないかな? どうも、私の知っている人と似てる匂いだから」
俺達の匂いをクンクンと嗅ぐ小豆先輩。
顔認識と、声認識を惑わすローブを来ているから顔はまがバレてないが匂いも一応ミケランも変えてきたんだが……何故分かるの?
ここで気づかれたら任務が失敗に終わる。
ここは普通に会ってないと言うのが正解だ。
冷静に……冷静に答えろ。
「会ったなら、貴方の事は印象に残りそうですけど……残念ですが記憶にはないです。なぁ、ミーラン?」
「そうですニャ。私も知らないですニャ」
「そうかい、それじゃあ私の匂い違いかな?
首を傾げながらおかしいなと言う、小豆先輩。
「助けてくれたお礼に帝国まで少し距離があるけど、馬車に乗っていくかい?」
この誘いは裏がないのか、裏があるのか? それ以上にこれ以上話すのは危険だ。
ここは断るのが正解だろ。正解なんだ正解なのになんでこんなにも小豆先輩達と話したいんだよ。
「……馬車も窮屈になるだろうし、お断りしておきます」
「そんなことはないよ、ちょっと窮屈になるだろうけど人がいっぱいいる方が会話も弾むし、私達との関係を築けるのはとってもいい事だと思うんだけど、どうかな?」
ここまで言われたら逆に断る方が不自然に思える。冒険者としては今後、小豆先輩達と何かしらある時、この関係は役に立つ。冒険者としては嬉しい、誘いだ。
断ったら疑われるし、ここはアイコンタクトでミケランにどうかを聞いてみるか。
俺はミケランの方を向き目を見た。
ミケランの答えはイエスだ。
「分かりました。では、乗らせていただきます」
「それは、良かった。じゃあ、早速乗ろうか」
気絶している、盗賊達は帝国に着いたら国兵に頼んで回収されるのだろうな。
盗賊達も小豆先輩達を狙うの馬鹿だったな。
俺は小豆先輩達に、先導され馬車の入り口に着いた。そして、小豆先輩は馬車の入り口を開くと……
「アズキ、大丈夫だったか?」
その声の主はイケメンボイスで、その顔はイケメン。
「大丈夫だよ。このアーチさん達が殆ど倒してくれてね」
「それは、感謝せねばならんな。僕の名前はアーク、勇者をやっている者だ」
これは俺への拷問か? 俺の心を裂こうとしてるのか? バレたら死、だけど話したい。心へ直接ダメージを与える人がいっぱいだ。
どうも、むっちゃ久しぶりの投稿した犬三郎で~す。
小説家になろうで投稿し始めて今日で1年です。早いなの思う自分がいます。多くは語らないのが俺だまた、次回でお会いしましょう!
by 1年って早いなのと思う犬三郎




