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第17話 ~俺はお前を許さねぇ!!~

「何を馬鹿なこと言ってんだよ? ザイザルが俺をこんな状態にした犯人だって? それ以前にザイザルは死んでるはず……いやあいつの事だから絶対に生きているだろうけど……そんな冗談笑えねぇぞ?」


俺が半笑いで言うと、チャラ神は真剣な顔を崩さず喋った。


「本当だよ。ザイザル君は君を陥れた犯人だ」


「じゃあ、ザイザルが犯人ならその証拠を見せてくれよ!?」


声を荒らげて言う俺。


「分かったよ。じゃあ、過去にあったことを体験してみようか」


チャラ神が手をパンパンと叩いた瞬間、部屋の景色が変わった。

周りは平地、何かに抉られたよになっている地面。そして、抉られている中心にいる2人の人影。1人は泥、もう1人は俺。そして、その人物達が立っている地面は泥の……いや泥沼だ。ここは王都、しかも俺とハラが戦っている最中だ。

俺はその真上、それから見下ろしている。


「愛地君、立った方がいいよ」


チャラ神は椅子から立ち上がった。チャラ神は普通に空中に立っていた。そして、俺に手を伸ばした。俺はその手を掴まり、俺は立った。空中に立っている! と最初は高揚感に胸を踊らせていたが、よくよく考えると俺は最近、空から落ちることばっかりあったので、それを思い出したら、その高揚感は消えてしまった。

そんな中チャラ神が口を開けた。


「もうそろそろ、愛地君がやられちゃうところだね。その後を見ればザイザル君が悪者だって事が分かるよ」


まだ、ザイザルがオレを陥れた犯人だと半信半疑だ。しかし、何故チャラ神は俺にはそれを教えようとしているんだ? チャラ神の優しさなのか……?


「あー、やられちゃったね。愛地君は弱いな~」


「いやいや結構奮闘した方だと思うよ!? ……多分」


「後半にいくにつれて、自信が無くなっていく喋り方、僕好きだから、今度からもやってね」


チャラ神がふふふっと笑いながら言った。


「いやいやいや! ネタとして扱わないで!? でも嬉しいからいいけど!?」


さっきの喋りかたが好きならこれも好きだと思い、オーバーリアクションで言ってみたがどうだ?


「ほら、そんなのはどうでもいいからあれを見ないと分からないよ? 僕は先に近づいているからね」


……反応してくれなくてちょっぴり悲しい。

俺はそんな気持ちになりながら、チャラ神の言った言葉に戸惑った。チャラ神はもう地上に移動しているが、どうやればここから動けるのか? 俺は走ってみったが、ただ空中で走っただけだった。上昇下降(じょうしょうかこう)(ぐも)みたいに念じれば動くのではないかと思い、念じてみると普通に動いた。

俺は倒れている俺の横にいるチャラ神の元に行った。


「おいチャラ神、動きかたぐらい教えていけ……よ……?」


チャラ神の元に来る途中では気が付かなかったが、チャラ神の横にいる俺が目に入った途端、俺は思わず口を押さえてしまった。俺はペチャンコになっており、見るも無惨な姿だ。俺は拷問じ、体を潰されていたが、その姿を見たことはない。そのグロい姿に俺は吐き気を抑えられなかった。


「これは完璧に死んでいるね。じゃあ、何で君はここに居るんだろうね?」


確かに、俺は死んだはずなのに俺はここにいる。何で俺は生き返ったんだ?


「アイチ様!? アイチ様!!」


俺が状況に戸惑っている中、俺の背後から声が聞こえた。ザイザルの声だ。ザイザルは俺が潰されているところまで走ってきて、しゃがみ俺を見下ろした。

腹に大きく空いた傷はもう治っていた。


「アイチ様大丈夫ですか!? どうしてですか!? 契約内容と違うじゃないですか!?」


契約内容? ザイザルはハラと契約をしていたのか?


「契約内容は守ったぞ? 被害は最小限に抑える。そういう契約内容だ」


「そうだが! クソッ! もうダメだ死んでいる。こんなにグチャグチャじゃあ蘇生魔法をかけても生き返えせない! 私の魔法でもこんな状態じゃ……何も……出来ない……!」


ザイザルは声を荒らげている。だが、この状況を見ている限りザイザルは俺を陥れた犯人ではなさそうだ。それを思い安心した。

だが、俺はここからどうやって生き返ったんだ?


「魔王軍の力ならそいつは生き返るぞ?」


「本当ですか!? ……対価はなんですか?」


顔をパッと上げてハラを見た後、ザイザルの眼差しは変わり殺意に充ちた目になった。


「そうだな~。その兄ちゃんは魔王軍として今後働いてもらって、兄ちゃんに関しての記憶を塗り替える、もちろんお前もだ。記憶を変える事に関してはお前なら出来るだろ?」


「魔王軍として働く!? アイチ様がですか!? しかも記憶を変える!? 対価がデカすぎる!」


「じゃあ、そいつは死んでもらうだけだ。しかも、殺したのは実質お前のせいだ。それだけは言うぜ?」


弱い俺でも分かる。ザイザルのその気迫に。

その気迫からは強い憎しみが伝わる。


「くっ! 分かりました。記憶はどの様に変えれば良いですか?」


「そうだな~、まずこの兄ちゃんの親しい人物達に兄ちゃんを憎い、殺したい存在にしろ。勿論お前もだ。それをやらない限り俺は兄ちゃんを蘇生しない」


ザイザルは地面に強く拳を殴りつけた。


「嫌です。そんな事したらカエデ様達の会わせる顔がありません。ですが、アイチ様を見殺しにしたとバレたらカエデ様達は私を憎むでしょう、そして悲しむでしょう。その方がもっと嫌です……!」


自分が今からやる事に悔やんでいる。だが、それでもやるしかないと思っているんだろうなザイザルは……。


「アイチ様すいません、本当にすいません……!」


泣きながら言うザイザル。それを見て胸が痛くなった。胸が心臓が強く鼓動を打つ。

俺の心は憎しみに溢れている。


「ほら、この紙に血印を押してくれ」


また、契約書だ。俺は最近1番嫌いになった物だ。

ザイザルは自分の爪で親指の腹を切り、紙に血印を押した。ハラは親指をそのまま紙に付けた。


「これで簡易契約は完成だ。その死体は貰っていくぞ?」


「待ってください。最後にお別れだけさせてください」


「死体にお別れなんて律儀だな。まぁ、好きにしろ」


笑いながら言うハラ。


「アイチ様。声は聞こえないでしょうが、私のせいでこのような結果になってしまって、申し訳ありません。ですが、私はこの2日間、本当に……本当に……本当に楽しかったです。アイチ様と今度会う時は敵同士ですが、アイチ様なら私達の呪縛を解放させてくれると思っています。身勝手ながら後は任せました」


「もう少しで魔法騎士長達が来そうだから、

お別れはそれぐらいにしてくれ。お前ともこれでお別れだ。お前は解放された……か、分からないが、これで俺達とはもう関わらいだろう。じゃあ、またな」


ハラはそう言い俺に向かって泥の腕を伸ばし、手を広げ俺を包み込んだ。

そして、手は元の形に戻り俺の死体はハラによって取り込まれた。そして、ザイザルに手を振り地面に消えていった。


「これで終わりだよ。ほらね、ザイザル君が犯人でしょ?」


景色は消え、元の部屋に戻った。チャラ神は近くに出た椅子に座った。

俺はチャラ神に向かって静かに喋る。


「いつ、元の世界に戻してくれんだ?」


「いつもみたいに、あそこのドアに入れば戻れるよ」


チャラ神の喋った瞬間に出たドア。俺はドアに向かって歩いた。


「僕に感謝の言葉も言わずに行っちゃうのかい?」


「ありがとな。俺はもう行くよ」


俺はドアを開き、ドアに入った。


「いや~あんなに憎しみと殺意に満ちた心の声は久々に聞いたな~」


神は腕を上にあげ体を伸ばした。


「だけど、これで計画の第1段階はクリアだ。僕の想像以上の成長だね~、果実が実るのは早そうだ。でも、その前に果実がダメになったら許さないよ? 愛地君」



薄暗い部屋、ここは……元の世界に戻ってきたのか。そうだった契約書を押す前か……俺は躊躇なく契約書に血印を押した。


「これで契約成立だね! これでやっと解放されるね?」


俺を縛っていた見えない力に解放された。俺は拷問から解放された喜びなどない。

俺は無言でドアの方に歩いた。


「んん?? どうしたのアイチ君?」


さっきまでとは口調が変わったヤマ。だが、俺の耳にはそんな声は聞こえない。

ドアの前に立ったらドアは開いた。ドアを出た先は牢獄だった。光源が見えないが、俺がいた部屋と同じく薄暗く、長い道の左右には牢屋がいっぱいあった。


「ちょっと待ってよアイチ君、急にどうしたの?」


そして、今までの皆の言葉を聞きいてきた俺はスキルの解除方法が分かってきた。


「ユニークスキル『制御』解除」


体にチカラが溢れた。王都の時のように。


「ええ!? スキル制御魔法がかけられた指輪を溢れ出る力で壊した!?」


力が溢れた途端ここは怪物しかいない事が分かった。この建物から強い魔力がガンガン感じられる。その中から、王都で覚えたあいつの魔力を探知した。

そいつは俺の真上にいる。

俺は真上に向かって腕を伸ばしこう言った……


「ファイア」


炎が頭上の石を壊す。そして俺はジャンプした。


「ちょちょちょちょ!? 何やってるの!?」


ヤマの声が一瞬で遠くなりそして、俺の目にハラが映った。


「何だ何だ!? 兄ちゃんどうした?」


俺は魔法で砕けた岩を足場を土台にしてハラに向かって飛び、ハラに向かってパンチをした。


「うわっ!? 久々の再開なのにこんなあいさつないだろ!?」


俺のパンチはハラに受け止められてしまっ た。俺は受け止められた拳を力ずくで離し後ろにジャンプし、ハラの目の前に立った。


「どうしてだ!? どうして、ザイザルにあんな契約書を書かせた!?」


「おいおい、何の事だよ? 俺はそんな事知らねぇぞ?」


俺はその返答に対し、俺は怒った。


「ファイア! ファイア! ファイア!」


鳴り響く轟音。周りの壁や物を全て巻き込んだ。直撃したはずの炎。だが、ハラは生きている。


「分かった分かった! どうやって知ったか分からんが何であの契約書を書かせったって、そりゃ魔王軍の利益になるからに決まっているだろ?」


「魔王軍利益の為に! ザイザルをあんなに苦しめたのか!? 意味が分からねぇよ!」


「まぁまぁ、そんなに熱くなるなよ? あんたが魔法を撃つたび、全部の責任は俺が背負うんだわ。だからもう魔法は撃つな?」


また俺は怒りが増した。俺は魔法を撃つ度に感覚を掴んできた。魔法の威力を上げられる、そう感じる。俺は両腕を伸ばし魔法放った。


「ファイアァァァァァ!」


さっきとは比べ物にならない程の威力。これで少しはハラにダメージを与えられたか?


「分かったもうやめろ! 説明するから! 本当に止めてくれ!」


ダメだ。ダメージは与えられない。そんな中、俺の周りから声が聞こえてきた。


「「お兄さん頑張れ~ハラに一泡吹かせちゃえ~」」


メラとラメの声が聞こえ周りを見てみると。

いつの間にか俺達のそばに人……いや怪物達がいっぱいいた。


「そうだ、アイチとやら。そいつの鼻をへし折ってやれ!」


下半身はが馬みたいなもので、上半身が人の形をした大男。


「ハラが勝つに俺は魔力瓶を賭ける!」


「俺はあのアイチとやらが勝つに人間の足を賭ける!」


そんな会話がそこらでいっぱい溢れている。


「こんなに人が集まってきたが、俺は戦う気はねぇよ。兄ちゃん勘弁してくれ」


怪物がいっぱいいるとか関係ない! 俺はハラに1発でもパンチを喰らわせる!


「うるさい……うるさい! お前はザイザルになんて事をしたんだよ! ザイザルのあの顔を見たらお前を! お前を!」


俺がハラにめいいっぱいのパンチを喰らわせようした瞬間……


「そこまでです。渡辺愛地さん。これ以上城を壊されると後後面倒くさいですし、魔王様がうるさいと言っております」


「誰だお前?その手を離せ! 俺はそいつを殴らないと気がすまねぇ!」


俺の目の前に人が現れた。怪物ではない人だ。黒い髪に眼鏡をかけた女だ。だが、人の見た目をしたやつは怖いやつしかいないと俺は思っている。メラとラメは優しいがヤマみたいな奴もいるから要注意だ。

しかし、俺の全力のパンチを受け止められてしまった。


「どこぞのヤンキーみたいな事を言いますね? それはそうとハラ、貴方には失望しましたよ。魔王軍幹部でありながら次期幹部にこんなに恨まれているなんて、渡辺愛地さんの指導係になるのですからちゃんとやってください」


「だってよ~兄ちゃんが話を聞かないからしょうがねぇじゃねぇかよ」


俺は俺をそっちのけで喋っている今こそチャンスだと思った。俺は片手をパーにし魔法を放とうとした。


「 ファイア!」


魔法を放ったつもりだが、いつもみたいに出るはずの魔法が出なかった。何故だ?


「貴方の魔法の威力は高いので、これ以上撃たないように貴方の相棒ミケランさんを呼びました」


ミケランだと? 何故今ミケランの名前が出てきたのだ?


「そういう事だニャ、マスター。マスターは頭に血が上ると面倒臭いからニャ~」


俺の背後から聞いたことがある声がした。この声は……!

背後の人物を見せるためか、目の前の女は俺の拳を離した。そして俺は後ろを向くとそこにはあの女の人がいた。トイレで会ったあの人、上昇下降雲があるところを教えてくれた人だ。


「……何でだ? 目から涙が……! 俺はお前を知ってるよ、ミケランだろ?」


俺は今強くなっているから分かる。あの女からはミケランの匂いがした。

それに気づいた瞬間、涙が出てきたのだ。今まで張りつめていた心の鎖が壊れた気がした、ミケランのこの匂いで皆のことを思い出し泣いてしまった。

俺が泣いていると、ミケランの周りから煙が出たとたんそこには俺の知っている、ミケラン……犬がいた。


「ワン!」


その声を聞いた瞬間また、涙が出てきた。さっきまでの怒りを忘れてしまった。それぐらいにミケランに会えた事が嬉しい。


「これが感動の再開ってやつか……くっ! 涙が止まらねぇ!」


「「お兄さん良かったね! こんなのみたら涙が……」」


「何て感動的な出会いなんだ……! 素晴らしい! 素晴らしい!」


周りにいた魔族達、全員が泣き出した。何なんだこいつら? 終いには拍手までしてきやがった。こいつらはほんとうは優しいのかと思ってしまうほどの賛辞の量だ。

しかも、よく見るといつの間にかいたヤマも泣いている。あの、心なんてないと思っていた奴がだ。

本当は話してみたらこいつらと仲良く出来るのではないか? ハラの話を聞いてみたらこの怒りは晴れるんじゃないか?そんな気がしてきた。


「……ッ!」


そんな事を思っていると体が限界を迎えた。制限時間3分がたったのだ。俺は地面に倒れ、薄れゆく意識の中、俺の拳を止めた女、そいつの顔が目に入った。あの顔を俺は知っている。憎しみの顔だ。俺はそれを確認したと同時に眠りについた。


どうも1週間以内に投稿するとほざいてた犬三郎で~す。本当にすいませんでした……。旅行がある事を忘れていました。そりゃ投稿できねぇよ! って話ですよね!? そうですよね!? まぁ、そんなことは置いといて次回の話は2週間以内に投稿しようと思います。

それと昔の話もちょくちょく直しておるので、また読み返しくれたら嬉しいです


by別小説で感想をもらって嬉しい犬三郎

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