第12話 〜何だろうこの気持ち〜
はぁ……はぁ……。俺は知っている俺の後ろに恐ろしい奴がいると。
だから、俺は走る俺はあれを目指して!
だが、俺は気づいてしまったここの基地は広すぎて何処にあれがあるか分からない。
人に聞けば一瞬で見つかるだろう……たがこんなに必死になってあれを探している事がバレたら恥ずかしい。
だから、聞けない自分がいた。だが奴は、もう俺の背後に迫ってきている。
聞かなければ死ぬ! そんな時……一筋の光が見えた……それは本物エデン俺にはそう見えた。俺はその中に入り、個室に入ろうとした瞬間絶望した……誰かがエデンに入っている事に。隣のエデンも、その隣のエデンも!
俺が絶望したその時……もう1つの解答を見つけた。隣の部屋のエデンに入ればいいんだと。
確かに! もう1つのエデンに入っている事がバレたら、俺はこの先、女の人にゴミを見ている様な目で見られる事を。
だが! 俺はもう1つのエデンに入る事を決めた。人が居ないことを祈りもう1つのエデンに入った。
運良く誰もそこには居なく。俺は、急いでエデンに入った。そこで、あれを済ませ。拭こうと思った瞬間……
「えっ? 嘘だろ?」
絶望。エデンには誰も居なく、運が良かったと思った矢先紙が無かった……。
そう、そこはエデンではなく地獄だった。
たが、このトイレには個室が3個ある。早く空いている個室に移動すべきだ。
そう決めた時隣の個室から小声が聞こえた。
「何て事だ……紙が無いんなんて……僕がここに居たら色々とやばくないか……?」
同士がいた。隣個室に小さいが確実に男が声がした。エデンに入って人が居ないと思っていたが、居たのか。居たのが男でよかった。
だが、ここは声を掛けてみるべきなのか、声を掛けまいか……。
そう悩んでいると、隣の個室から声を掛けられた。
「あの〜、私の隣に居る人も紙が無い感じですか?」
話しかけられた事よりも、俺が紙が無いことを何故知っている事に驚いた。
まさか……さっきの俺の小声を聞いていた?
聞いた上で自分も紙が無いと言い出し、同じ状況だと知らすことで、話しやすくしたというのか!?
だが、それと同時に違う個室に行くということは出来なくなった。何故ならば、勝手にもう1つの空いている個室に入れば反感を買う事になる。今は何故か人の通りが少ない。そう、空いている個室に移動するには今が1番良いタイミングなのだ。
待てよ? 奴は俺が誰も居ない個室にに行く選択を阻止したんではないか?
しかし、俺の声が聞かれた以上返事をしなのは不自然だろう。俺は返答をする事に決めた。
「そうですね。私も紙がない感じです……俺達がここに居ることは誰にも言わないようにしますか……」
「そうですね……ここに居ることが知れたらやばいですからね……」
「見た感じ貴方の隣が空いていたので、そこに紙がある事を祈って私がそこに移動しますか?」
俺は確信した。彼はは良い奴だと。彼が空いている個室に行くというのは下半身全裸で行くという事。
それがどれ程、勇気ある行動なのか。
だが、今は何故か誰もここにくる気配がない。だから、今行くのが1番良いタイミングなのだ。しかし、隣の個室に紙があるといく確証は無い。いや、無い可能性の方が高い。
何故ならば俺達が入っている個室には、予備の紙が無いからだ。多分ここの紙の補充は、何故か分からいがされていないのだろう。
だが、今俺達は隣に紙がある事を思うことしか希望を見い出せない。
そう、彼は隣に紙が無い可能性が分かりつつ善意で俺が行くと言っているのだろう。そのため断れにくい状況が今出来ている。
だが、もし紙があった場合もうこんなに人が来ない時間は無いかもしれない。そうなれば、俺は移動できずここにずっといることになってしまう。
どうすれば! どうすれば! いいんだ……!
そんな時もう1人……エデン……いいや素直に言をう。女子トイレに駆け込んできた人がいた。
俺と彼は、息を殺した。
「ふぅ〜〜〜〜えっ?」
この声は! ザイザル!? しかも、今のえっ?は、紙が無い事を意味する。
「お前の所も紙が無いのか」
「その声は、愛……」
「名前は言うな! ここに居る俺等は名前も知らない性別もわからない、ただ紙が無い……同士だ!」
ザイザル……いいや、残念野郎と言おう。
「そうですね。僕達はここを出たら何も無かったことにしよう」
「分かりました。ここは、協力し合いましょう」
ザイザルも状況を察したのだろう。だが、状況は更に悪くなった。
ここから、抜け出すための方法はあるのか?
紙が無い以上どうすれば、お尻が拭けるんだ?
そんな中トイレの外から人の気配がした。
何故か今の俺は人の気配を感じられる。これが、火事場の馬鹿力か……。
2人も気づいたんだろう。これ以上は話そうとしなかった。
「ねぇ〜聞いた? あの話し!」
足音からして、2人の女性が入ってきた。トイレに来て個室が満員なのに出ていかないという事は、化粧直しか、俺達が出るまで待つパターンか……後者なら最悪だが。
だが、化粧直しの方が確率が高いだろう。
普通なら満室だねー。と言うはずだがそれを言わないという事は、トイレ目当てでは無いという可能性の方が高い。
しかし、彼女たちが言うあの話っとは何だろうか? ここに居たら無条件で会話が聞こえてくるからな。
聞いてもいいだろう。
「あの話って……まさか!?」
「そう! そのまさか!」
「「骨付き肉の店名物、破壊のグリージュース!」」
「あははは! やっぱりね! じゃあ、店の前にグリージュース置いてあった?」
「あったあった。何も知らない人からしたら、普通に美味しそうなジュースだけど、飲んでみると便意が襲ってくるっていう、最悪の飲み物!」
あれかぁぁぁぁ!? あのおっちゃん何て物売ってるの!? 絶対にそんな事をしない、人だったよ!? 男の中の男って感じの人だったよ!? もう、驚きが止まらんわ!
「でね! 店の前に置いてあったグリージュースが2つもあったの! しかも、1つのジュースは空だったんだよ〜。普通は1口飲んでトイレ直行なのに、全部飲んだ人は初めてだよね?」
「ぉぉぉぉぉ〜!?」
そんな時隣の、残念野郎からか弱い声が聞こえた。……全部飲んだのお前かよ。
俺より運が悪いじゃないかと、思うようになってきた。
「うん? この個室からうめき声が聞こえなかった? 大丈夫かな?」
「だよね。私も聞こえた。あのー、大丈夫ですかー?」
その善意は残念野郎にとっては、最悪の言葉だよ!? どうする残念野郎。普通に返事をすれば、お前が男だとバレて刑務所送りだぞ!?
しかも、俺達はお前の事を助けられない。
下手に助けたら俺達が刑務所送りだ……。頑張ってくれ。
「あ、大丈夫です」
なん……だと!? 女の声だと……!?
どうなってんだ! 何故お姉さん系の声になってるんだ!?
魔法なのか? 魔法ってそんなに凄いのか!?
「大丈夫なら良かったです。それじゃ戻ろっか」
そう言い女の人達は去っていった。さっきの声の事を残念野郎に聞きたがったが、また足音が聞こえてきた。俺達はまた、息を殺した。
「アークさんは、どこに行ってしまったのででしょうか?」
「ホントじゃ。彼奴は何時も居なくなるからな」
そう言いながら女の人達が入ってきた。また、2人だろう。彼女達は、アークという人を探しているのだろう。
「アークの事だ。魔物が攻めてきたら、必然的に目立つから大丈夫じゃろ……ほら、言ってる側から来たぞ」
「ダイン前線にいる者達へ! 魔物が攻めてきた! 後、10分後にはこのダイン前線に来る! 敵のLvは約150〜250だ! 第4級冒険者以上の者達の推奨レベルだ!
第5級冒険者は、くれぐれも油断せず戦ってくれ! 今回も、魔法騎士長様が待機している! 非常事態が起きたら対処してくれるので安心してくれ!」
メルリンの声だ。もうそろそろ魔物が攻めてくるのか……。俺じゃ絶対に倒せないから、ここに居た方が良いのでは?
「アークさんも来そうなので。 私達も準備をして魔物が来るまで待ちましょうか」
「そうじゃな。早く行くとするかの〜」
2人はトイレを出ていった。 結局あの2人は何しにトイレに来たのだろうか?
「ッッッッーーーー!?」
吐き出したい気持ちになった。隣の個室にいる彼からとんでもない、圧が掛かってきた。
いや……これは気迫だ。彼から気迫が……駄目だ……気持ち悪い!
そんな中彼の個室から、何かが破れる音がした。
「 お先に失礼します」
服を破いたのだろうか? それで拭いて出ていってしまった。見捨てられた! という気持ちより、助かったという気持ちの方がデカかった。
何故ならば、彼にあのままここに居られたら、俺はあの気迫でどうにかなっていただろう。
人間があんなにも恐ろしいと思ったのは初めてだ。今も恐ろしくて汗が止まらない。
「殺気というより、憎しみって感じでしたね。後、内緒ですけどチョット漏らしてしまいました……。トイレだから良いんですけど」
クスッと笑ってしまった。残念野郎のお陰で、気が楽になった。
「それより、彼がやったように私も服を破ってトイレを出て、トイレットペーパーをもってきますね」
そう言うと服を破いた音がした。多分、マントを着ているからマントの端っこでも、破ったんだろう。
「では、すぐ戻ってきます」
「ああ。待ってるぞ」
残念野郎が出て行き5分位だろうか? それぐらいの時間が経った。そろそろ来る頃だろと思っていたそのとき、足音が遠くから聞こえてきた。
残念野郎が来た! と思ったが足音の数は1人の足音では無かった。
「何かこっちの方から愛地の匂いがするよー?」
「そうだね。愛地君の匂いがするね」
「本当ですね。愛地さんの匂いがします!」
何で匂いが分かるんだよぉぉぉぉ!?
声からして楓達だ……。最後に爆弾……いや、核爆弾クラスのヤツらが来た。
核爆発の処理なん出来るはずがない。
どうする、どうする!?
「でも変だねー。女子トイレから匂いがするよー?」
「クンクン。本当だね。女子トイレから間違いなく愛地君の匂いがするね」
「でも、何で女子トイレに居るんでしょうかね?」
やばいやばい。見つかったら変態だって罵られる……。残念野郎様はやくきてくれぇぇ!
「あれ? 匂いのする方向が変わった?あっちの方からするよ? この女子トイレより強い愛地の匂いがするー」
「本当だね。匂いが強くなった方向に行こうか」
「そうですね。行きましょうか」
いや、ホラー映画かよ! これ、ホラ映画の展開だよ! っていうか何で俺の匂いが違う方から、するんだよ! 怖いよ! それより、残念野郎はいつ来るんだよ!
「はぁ〜。マスターは何処に行ったニャ……? マスターを探してたら掃除の叔母ちゃんにトイレットペーパーを、ここに持って行けと言われたしニャ。最悪ニャ〜」
そう言いながら女の人がトイレに入って来た。語尾にニャが付いているという事は、猫耳族なのか? 猫耳族はこの世界でまだ会ったこと無かったな。
それより、トイレットペーパーを持って来てくれたのか。助かった。
「まず、ここに置いくニャ」
そう言いながら、彼女は隣の個室にトイレットペーパーを置いた。次は俺の番だが、俺が個室に入っているからトイレットペーパーを置くのは無視するだろう。そして、彼女が出ていったら隣の個室に移動するとしようか。
「で、次はここニャって……ニャニャ?」
俺と彼女が見つめあってる。彼女は、胸は小豆先輩と楓の中間あたりだろう。そして、髪の毛灰色で、耳は真っ白で尻尾は黒かった。
素直な感想を言うとすごい可愛い。
たが、この状況はまずい。まさか鍵を壊してでも扉を開けるとは……予想出来るはず無いだろ……。
そんな中彼女が口を開けた。
「申し訳ないニャ。あ、これトイレットペーパーニャ。で、次はこっちニャ」
そう言いながら彼女は、次の個室にもトイレットペーパーを置いて出ていってしまった。
そして、俺はお尻を拭きトイレから出た。
トイレから出ると、彼女は何処にも居なかった。
俺は食堂に戻るため、来た道を歩いているとメルリン会った。また、メルリンの胸にはミケランがいた。
「おい! お前! また、ミケランを置いて何処に行っていた!? 私の忠告無視するとはいい度胸じゃないか……ぶち殺すぞ?」
「申し訳ないな。ちょっと大変な事が起きてな……」
「お前……どうした? そんな顔して、何かあったのか?」
俺はどんな顔をしているのだろうか? あんなにも心配、焦り、恐怖を感じたトイレで結果的に女の人に見つかりちょっと驚いただけで、すぐに出ていってしまった女の人。
そのせいで俺の感情はよく分からないものになっている。
「まぁ、そんな事よりもう魔物が攻めてきていて皆討伐を始めているぞ。お前も早く来い」
「それより、いつまでミケランを抱っこしてるんだ?」
「う、うるさい! こいつが離れないだけだ!」
顔を赤らめるメルリン。やはり、お前もミケランの魅力には叶わないか。そう言をうとしたけど、言ったら殺されるので言わないようにした。
やべぇー何も書くことがない!
とりあえず読んでくれた人に感謝しかないありがとうございます!
by本気で書くことが無かった犬三郎