第10話 〜ザイザルぅぅぅ〜
それにしても、何故契約は絶対なのか……。確かに契約は、大事なものだけど破っても別に殺されもしないし……。
「なぁ、なんとでも言っていいが契約は何故絶対なんだ?」
「ふっふっふっ! 聞くと思ってましたよ!
この馬鹿野郎! 契約を破ったら、死ぬんですよ! だから私は契約書にサインをした事に、後悔してるんです! あの、カエデ様だって絶対に知っているはずですよ!?」
あの楓様って、絶対に馬鹿にしてるよな?
ザイザルも、やっちゃったって顔してるもん。流石の楓も、怒るでしょ……?
「そうだよ愛地! この私だって知ってるんだからねー。
いつもは愛地に教えられる側だけど、私が教える側になってもいいんだよ?」
「うん……知ってた……。楓……お前が教える側になる事はないと思うぞ……」
俺の言葉に意味が分からないと、首を傾げてる。絶対に教えられることは無いな……。
「まぁ、ザイザル君は放置して。もう1人の協力者がダイン前線にいると思うから、ダイン前線に行かないと何も進まないよ」
「もう1人の協力者? てか、俺達犯罪集団なんだから、街とか自由に歩けないじゃん……」
「愛地さんの言うとおりです。私と、愛地さんも指名手配されるのは時間の問題です。食料や、武器などがないと魔王討伐なんて絶対に不可能です」
「それは私の権力で、どうにでもなるぅ!」
俺の膝の上から子供の声がした。その子供はいつの間にか、俺の膝の上に乗っており。楓、桃さん、ザイザルが驚いた顔をしている。その子供の容姿は髪の毛が緑色、俺からは顔が見えないが絶対に可愛い子供なのが分かる。
俺が1番最初に思った事は、言葉の語尾に小さい文字をいれるあたり……かわいい。
「幸先生驚かせないでください。
皆が驚いてますよ」
あー幸先生か! 何かあの偉そうな感じの言い方、どこかで聞いたことあるような感じがしたんだよ。
「じゃねぇよ! えっ!? 何で幸先生がここにいるのぉぉ!?」
「まぁ落ち着け、渡辺!」
「幸先生なの? でも、顔が違うよ?」
「そうです! そうです! 幸先生は、最もぼいんぼいんじゃないですか!?」
ぼいんぼいんって……まぁ、ぼいんぼいんか。
「いや〜話の展開が読めないんですけど?
このかわい子ちゃんは誰ですか?」
ザイザルが不思議そうに聞いてきた。
ザイザルよ……これが本物幸先生なら、殺されるぞ?
「かわい子ちゃん? まぁ、確かに表現はあっているけどぉ、私への敬意が足ないなぁ!よって、火炙りの刑だぁー!」
幸先生だと思われる子供が指をパチンと鳴らした。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
指を鳴らした瞬間、ザイザルが燃え上がった。
「ザイザルぅぅぅぅ!」
俺はザイザルの元に駆け寄ろうとしたが、幸先生だと思われる……いいや、幸先生が俺の膝の上にいるため駆け寄れなかった。まぁ、ザイザルの事だ、大丈夫だろう。
「今の行動で幸先生だってのは分かったな」
「そうですね……」
「やっぱり幸先生は、子供姿でも、性格は変わらないだねー!」
「皆、もう分かったと思うけど、もう1人の協力者、蓮川幸先生だよ」
幸先生が仲間とか、お先真っ暗じゃん……。
幸先生も転生してきたのだろう。
凄いな同じ学校の、人が全員転生するなんて……。そもそも、何で幸先生は幼女姿なんだ?
「それは私が、精霊だからだぁ!」
「心の声を読んできた!?」
どこかの神と一緒の事するじゃんと思いつつ、考えてみると、この状況なら質問したい事はだいたい幸先生なら分かると思った。
「あの〜、誰も私の事心配してくれないんですか?」
服が焦げたザイザルがよたよたに起き上がりながら喋った。
「うるさい!」
幸先生がまた、ザイザルを燃やした。
「2回目ぇぇぇぇぇぇ!?」
「ザイザルぅぅぅぅ!!」
ザイザルの言葉に幸先生は、イラッとしたのだろう。また、指を鳴らし火炙りにされた。
ザイザル……お前のキャラはこれで定着したな。
「話を戻すけどぉー、私は精霊だから幼女姿なのだぁー! でも、元の姿にも戻れるぞぉ!…… こういうふうにな」
また、幸先生は指を鳴らした。そうしたら元の、黒髪の幸先生に戻っけど! 俺の膝の上に爆乳クラスの姉ちゃんがいるけど!
皆、褒める前にザイザルを心配しよ?
「たが、私はこの姿が嫌いでな。胸が重すぎるから不便なのだ。……だからぁ、小さくなれる精霊を選んだ訳だぁ!」
また、指を鳴らすと元幸先生に戻った。
「重……すぎる? 」
モモさんがむっちゃ羨ましそうに見てる。
でも、モモさんは胸が小さい事でその可愛さが生きてるから、その胸の大きさが素晴らしいよ? 後、桃さんもザイザルの事心配しよ!?
「忘れていたがぁ、渡辺重くないかぁ?」
幼女姿に戻った、幸先生がこっちをむいて話してきた。うん! 顔を見たら思ってた通り凄い可愛いな!?
ロリコンなら絶対に誘拐する程の可愛さだ!
でも、この幼女を誘拐なんてしたら一瞬で締められるだろうな。
「あ、全然重くないですよ? 逆に軽すぎてびっくりです」
「そ、そうか……」
幼女なんだから当たり前じゃん! そんなに、顔を赤らめないで! 逆にこっちが恥ずかしよ!
「皆、落ち着いたから話を戻すけど、幸先生は、この国の魔法騎士長なんだ。だから、幸先生に頼めば私達は普通に街を歩けるよ」
「え!? 魔法騎士長!? あの、突如と現れた幼女が昔の魔法騎士長を倒し、魔法騎士長になった人ですか!?」
え、何それ……幸先生ならやりかねないけど! 誰も魔法騎士長を倒して、自分が魔法騎士長になろうなんて考えねぇよ……。
「あー! あれって幸先生だったんだー! 魔王軍もザワついてたよ!」
「誰か! 私の心配をしてもいいんじゃないですか!? ねぇ! ねぇ!?」
いつの間にか起き上がっていたザイザル。そんな事言ったらまた幸先生に……
「だから、うるさい!」
また、指を鳴らすと空からザイザルに雷が降ってきた。
「ママぁぁぁぁぁぁぉぁ!」
「ザイザルぅぅぅぅ!」
ザイザルって本当に本当に不憫だ。
「まぁ、そういう事だぁ!私も魔王討伐したいしなぁ!」
「そういう事で皆いいかな? しかも皆ほとんど知り合いだし、冒険もしやすいしからね」
「1つ質問いいですか? 幸先生、魔法騎士長なんですよね? 王都を防衛しなくて、勝手に魔王討伐しに行っていいんですか?」
桃さんが、手を挙げて質問をした。
「それは問題ない! 私は魔王討伐班の最高責任者だからなぁー」
何で! 誰もザイザルの心配しねぇんだよ……! いや、よく見てみると、倒れているザイザルの傍にミケランがいた……。ミケランは、ザイザルに顔を擦りつけている。
ミケラン……お前って奴は……、おかしいな、 ちょっと目から汗が……。
「愛地〜。何で泣いてるの? 何か嫌な事でもあった?」
「どうしたんですか!? 愛地さん!?」
「本当だね。 何か悲しい事でもあったのかな?」
「どうしたんだぁ渡辺! 先生がよしよししてあげるぞぉ?」
俺の心配はいいんだ!? ザイザルと俺の、扱いの温度差が半端ねぇな!
1回、1回でもいいからザイザルを心配しよ!?
「ごめん……あいつの事を考えると涙しかでねぇから」
その後、幸先生がしょうがなくザイザルに回復魔法で回復し、ダイン前線に行く理由を話してくれた。
「渡辺は知らんようだから説明するがぁ、ダイン前線は王都に毎日の様に魔物が攻めてきてるぅ。だから、そこでお前達は、魔物を倒しLvアップしてもらう!」
「それは分かりました。でも、ここからどうダイン前線に移動するんですか?
幸先生は、多分テレポートを使用したと思いますが、この人数をいっきにテレポートをするのは不可能なのでは?」
確かにテレポートって、高等魔法ぽいよな……知らないけど。
「栗林、お前は魔法騎士長を甘く見てるぞぉ? そんなの、簡単に出来るぞぉ! ……こんなふうにな」
幸先生が指を鳴らした瞬間、景色が一瞬にして変わった。草原地帯から、オシャレな一室へ移動していた。
部屋の天井には、シャンデリアがあり、その真ん中に机と椅子があるそしてその両方に、本棚がびっしり置かれており、机の後には窓がある。
しかし、聞く限りテレポートは凄い魔法なのは分かったけど、こうも簡単に出来るものなのか?
「ほえ〜凄いですね。私でもテレポートは2人が限界なのに、全員を詠唱なしでテレポートを使うとは……、凄い魔力量ですね」
「当然だぁ! 魔法騎士長はこんぐらい出来ないと、なれないからなぁ!」
「それで、幸先生。ここはどこなんですか?」
皆の疑問を小豆先輩が、質問してくれた。
「ここは、私の部屋だぁー! 後、今日はもう遅いから、お前達は寝ろぉー!
明日はこのの施設を、案内するぅー!
部屋までの案内は、お前に任せるぞぉーメルリン!」
メルリンっていうの誰だ? この部屋には俺達しかいないが……。
「はい! 分かりました! 直ちに案内させて頂きます!」
俺達の目の前に突如と現れたのは、幸先生だった……。いや、幸先生ではないのは分かっている。
たが、その容姿は幸先生そのものだった。
髪は緑色で、目も緑色。いや、目の色はちょっと違う。こいつの目の色はエメラルドのようにキラキラしていた。しかも声と、体型からして男だろう。
だが、こいつの目はの色は他人を引きつけるような色だった。
そして、俺は息を大きく吸った。何故ならば……
「うん! もうこの展開にも慣れたな!?
もうツッコまないから! 俺だけだよね?
こいつが突然現れて驚いたの!? 皆んな全然驚いてないから分かるけど、俺だけ気付いてなかったパターンって知ってるから!」
「いや、アイチ様それはツッコんでますよ……」
ザイザルの的確のツッコミに満足していると、メルリンとやらが、俺を睨んできた。
「お前うるさいぞ? 魔法騎士長様の前で、そんなに騒ぐとは……死刑か? 死刑だな?」
物凄い殺気だ。一般人の俺でも分かるほどの殺気だ。その殺気に皆がメルリンに構え、俺は足がガタガタで、立っているのがやっとだった。
「メルリン落ち着けぇ……、お前を倒そうとしてる奴は私達の大将だぁ。お前に勝てるはずはないぞぉ?」
メルリンが幸先生に、注意された途端、殺気は嘘のように無くなった。当の本人は全く悪気は無いのだろう、謝りもしないでケロッとしている。
しかも、幸先生が言った言葉に驚きをかくせない。俺が大将?
俺の立ち位置ってそんな感じになってんの? 俺この中で1番弱いよ? 今だって足ガクガクだったし、今もガクガクだし。
しかも、俺のステータスって5歳児のステータスと一緒だよ?
「はっ! 申しわけありません! まさか魔法騎士長様が認めてる方だとは思いもよらずに、申しわけありませんでした!」
メルリンが、幸先生の目の前に移動し膝を着いて頭を下げている。
メルリンは幸先生に謝っているのであって、
俺には謝っていない。
「それより! この美しい御三方は誰ですか?
失礼ながら、薔薇の花束をお送りします」
メルリンが着ていたタキシードの、服の中から薔薇の花束を出した。いやいやいや、薔薇の花束が治まるスペース無いからね!?
しかも何で薔薇の花束なんてあるの?
「赤い薔薇だー! こんなに薔薇がいっぱいあるの初めて見たー!」
楓は薔薇の花束に喜んではいるが、桃さん、小豆先輩は、反応に困っている。
それはそうだろう。あれだけの殺気を放っておいて、薔薇の花束を渡されてもどう反応すればいいか、分からないだろう。
「メルリンやめろぉー。こいつらが困っているだろぉ〜。そんな事をする前に、こいつらを部屋に案内してくれぇー。
渡辺の顔を見れば分かるが、疲れきってるからぁ寝させてやれぇー!」
やっぱり、分かるか。俺の体力はとうに限界を超えている。今の殺気のせいで、俺は歩く事すらままならないだろう。
いや、立っている事すら限界だ。
「はい! 分かりました! 魔法騎士長様。ほら、着いてこいお前ら。あ、お前らっていうのは、この男達の事なのでお嬢様方の事ではないですよ」
ツッコミたいけど、そんな体力もうねぇよ。
しかも、もう俺歩けないんですけど……。
そんな中、ザイザルの腕の中にいたミケランが、俺の肩にジャンプしてきた。
いや、ミケランダメだって! そん事したら俺は倒れる……。
あれ? 不思議と体に力が湧いてきた。
まさか! と思い俺の肩に乗っているミケランを見てみると……。
「ワン!」
お前……俺と結婚しよ?
「何をしているお前! 早く行くぞ!」
「ああ、悪い」
そうして俺たちは部屋から出た。
「ふー、平常心を維持するのも大変だな」
幸はまた指を鳴ら大きい幸に戻った。
そして、椅子に座った。そして自分の後ろにある、窓をに体を向けて星空を見ながら口を開いた。
「しかも、明日だな。勇者達が来るのは……。魔王軍幹部がここに居ると知れたら、あいつはどうするんだろうな……。ふふふっ、やはり渡辺が居ると面白い」
いや〜メルリンを入れる予定なんて無かったのに! メルリンなんて作る予定無かったのに!
はい……メルリンは大事な人キャラです。
設定考えます。
by考える犬三郎