連携、そして知能
「さ、始めますかね……」
さっそく戦場に立たされてる訳だが授業中に急遽連絡が入りこうなった。
ビルをあらかた破壊した巨人型1体とケルベロス型1体が居座っているとの情報が入った。バディ決めも含め俺、柊哉と鬼月大牙と出撃ることになった。
「で……鬼月、さん?」
「大牙でいい、気持ちわりィ」
「あー……じゃあ大牙。人の方からやるぞ」
「あいよっとォ!」
大牙は返事と同時に背中にジェットを生やし巨人の頭に向かっていく。足をハンマーに変え殴りかかる。(蹴るなのかも知れないが)
鈍い音がする。
大牙は頭を殴ったはずだ。
なのに。
巨人型は腕で防いでいた。
「何ッ……!?」
「知能がある……!?」
次の瞬間、巨人型は腕をはらい、大牙はビルに弾き飛ばされる。
「うおぉっ!?」
「くっ、間に合えっ……!」
いつもは背中を羽に変形させるが今回ばかりはジェットに変えスピードを出し大牙に向かい、間一髪で肩に抱き抱える。
「おう、助かった……」
「無茶すんじゃねえぞ。恐らく正面から叩いても防がれる。それほど知能は無いはずだ。防ぐ手段を断つ」
「分かった。まずは動けなくすんだな」
「そういうことだ。行くぞ」
2人とも背中に羽を生やし巨人の周りを旋回する。俺は腕に大剣を生やし、大牙は左足にノコギリのようなものを生成する。
スピードを上げ下降する。巨人の足の膝を回るようにして大剣で切り離す。
やはり知能はそれほど発達していないらしい。体制を崩した。
そこを狙い、大牙は巨人の肩から腕を切り落とす。巨人のくぐもった悲鳴が聞こえるがお構い無しだ。反対も綺麗に切り落とす。
「よし!今だ!叩け!」
「オラァッ!」
大牙は足をハンマー状に戻し巨人の頭に思い切り叩きつける。
ゴチャッと顔にハンマー蹴りが入った。それだけではなく一気に振り抜く。
巨人の頭はそれに耐えられず吹っ飛んだ。
「っしゃあ!」
「よし、まずは1体片付けたな。」
残りは退屈そうに寝ているケルベロスを倒すのみだった。
大牙は口を開く
「あいつは楽そうだな。さっさと叩くか!」
「まて大牙!あいつも危険そうだ。律儀に待ってくれてるが、それはつまり体力が残っているということ。足、切るぞ。」
「また足かよぉ?」
「動けなくしたらめいっぱい頭叩けるだろ」
「まぁ、それもそうだなぁ。じゃ、またやるか!」
大牙は今度は足をローラーに変え道路を縫うように走る。
俺はいつものように背中の羽でケルベロスの背後に回り込む。
「しゃっ!」
大牙はローラーで走り回りながら背中から鎌を生やし今日に前足二つを刈り取る。
「ふっ!」
俺はというといつものように羽で飛びながら腕を大剣に変え、後ろ足を2つなぎ払う。
足が取れたケルベロスは当たり前だが動けない。
「こうなったら言わずもがなだろう?」
「こうするしかねえよなぁ?」
戦ってすぐだと言うのにもう意思疎通している大牙と俺、柊哉。自分でもびっくりする。
ケルベロスは空想上の生き物で頭が3つある。俺は腕を、大牙は足をハンマーに変え両側から叩くという魂胆だ。
「行くぞ!」
「おう!」
「「せーのっ!」」
ドゴンッ!!
胴体と頭だけのケルベロスは両側から頭を潰され声もなく倒れ、霧散する。
「っしゃ!」
「何とか倒せたな。」
軽い会話を交わし、帰投の準備をする。
巨人型の防御が気になった。知能があるんだろうか。基地に帰ったら報告しよう。
ふと周りを見ると瓦礫が山積みになっていた。今回は撤去作業を手伝わないといけないかもしれない。
「派手にやらかしちまったな……」
帰る気まんまんの大牙を横目にうなだれる。
「おい、大牙。撤去作業、やるぞ」
「え、帰れねぇの!?」
「ああ」
「嘘だろぉ!?」
悲痛な叫びが街に響く。夕飯までに帰れるだろうか。
今回は柊哉と大牙の話でした。
1回の戦闘だけで意思疎通出来るようになる2人はどんなメンタルしてるんでしょうね……
次回は休憩回です。
ではではまた次回!