平穏、そして崩壊
世の中とは不思議なものだ。少し前にFBが出てきてからというもの、交通網は全て機能している。
FBは特定の行動パターンがあるようでFBが出てきたときに被害は受けたものの現在に至るまで出現はしていない。研究所の調べによると巣を作っているらしい。
そんなようなことを思いながら幼馴染みの彩音と吐き気がするような満員電車に詰め込まれ学校に向かう。
いや、向かっていたと言う方が正しいか。
平穏が崩れるのはいつも突然、という常識は現実でもあるらしい。電車が傾いたーーー訳ではなく吹き飛ばされたのだ。
「っ……!!」
あちこちから悲鳴があがる、のは当然だろう。
と、同時にけたたましい警報がなる。FBの出現警報だ。
「仕方ねぇ……出撃るぞ」
「平穏を崩される感覚はいつになっても慣れないと思うわ……」
「ごたごた言ってないでさっさと行くぞ」
「はーい」
すぐさま腕を硬化させドアをぶち破る。飛び出ると全長5,6mはあるであろう蜘蛛に近いような形の異形がいた。
「さっさと……潰れろっ!!」
腕をハンマー型に変形させ頭を殴る。声とも音とも取れるものが『それ』から発せられる。
『それ』はびくともしないどころか足で軽く俺のことをなぎ払う。
「うぉ……っ!」
飛ばされるがすぐに俺は背中の羽で体制を立て直す。
「援護したげるよっと」
彩音の背中にガトリングが現れる。薙ぎ払うように足を撃つ。
「助かるよ……っと!」
体制が崩れたところを見逃さないほどバカじゃない。腕を大剣に変え真っ二つにするように叩きつける。『それ』は声(と呼べるかは分からないが)を荒らげながら虚しく体液を飛ばし散らし霧散した。
「ったく……やめてくれよ……」
変形を元に戻しながらうなだれる。
それほど被害を出さず倒せたのは素直に喜んでいいだろう。
「お疲れさんっ」
後ろから頭をぽんと叩かれる。
「うるせえな、おめえは援護だけだろ」
「私の援護がなかったら倒せてなかったでしょー?」
「そうだな。よしよし、頑張った頑張った」
「子供扱いしないで!」
平穏はこれから先、崩壊にかわるだろう。横倒しになった電車を横目に時計をふと見ると8時半を回っていた。
「8時半か……」
「今日って確か……」
「朝会じゃねえか!」
「朝会じゃない!」
普通ならこれは危機なんだろうが俺らにしてみればかわいいほうだった。なるべく遅れないよう全速力で並んで走る。コアを使えばいいのだろうが戦闘外の使用は禁止されていた。今日ばかりはこの規則を恨んだ。
「ついてねえよおおおお!」
街に叫び声が響く。
午前8時37分。朝会まであと3分だった。
はい。作者の月闇です。
ここから始まるということでこんなかんじの内容だと把握していただければと思います。
彩音と柊哉が出てきましたね。
この2人は幼馴染みということで絡みが多くなると思います。
読んでいれば分かる通り前衛柊哉、後衛が彩音といかにもという感じでございます。
まだまだ至らない点もあるかと思いますが精進していけたらと!
ではでは次回をお楽しみに!