表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Have a good kiss

作者: 鈴鈴木戸井田


ぼくの唇には、傷がある。

下唇の右端に。


とても小さな傷なので、よく見ないと、そこにあるかどうか、わからないほどだ。


確かにそこには小さな傷がある。


時々疼く。


高校二年生の時、先輩がつけてくれた傷だ。


その人は、一つ上の先輩女子。


その先輩女子が卒業する時

『後輩君、君に呪いをかけてあげる』

先輩はぼくの目を覗き込んで、意味ありげに笑った。


『君があることをするとね』


と言って、先輩女子はぼくの唇に顔を寄せ軽くキスをしてくれた。


『痛!』


ぼくは、小さく声をあげた。


先輩女子がぼくの下唇の右の端を噛んだからだ。


一筋の血が流れた。


先輩女子はそれを舐めとると


『それはね、いつか、もしかして、後輩君に大切な人が出来て、その人とキスをかわす時、もれなく、あたしのことを思い出してしまう呪いよ』


先輩女子は卒業した。


その呪をぼくは、確認していない。

それ以来、ぼくはキスをしてはいないから。


時たまその傷が疼く。


そのたび、先輩女子のことを思い出す。


いまだに、ぼくはわからない。


この傷は

呪いなのだろうが

それとも

祝なのだろうか。


Have a good kiss


あなたは素敵なキスをかわしていますか?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ