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魔王の条件(1)

 今、食堂は重苦しい空気に包まれている。


 その理由はやはりヘルガーさんがとんでも無いことを言い出したからだ。


 僕とマリンティアさんが結婚? ただ、僕は2人を見返すためにここに来たのに、魔王やら結婚やらとどんどん話が大きくなっていく……


「なんで私が、この人と結婚しなくちゃいけないのよ! まだ会って1日も経っていないのに!」


 それはそうだ。前の僕とユフィーみたいに、どちらも知っていたり、家同士の付き合いなどがあったりすれば、そういう結婚などという話もあるかもしれないが、僕とマリンティアさんは全くの赤の他人だ。会ったこともなければ、話したのもさっきが初めて。


「じゃあ、誰か良い相手が居るのか? 居るんだったら今俺の前に連れて来い」


 そう言うとヘルガーさんはマリンティアさんに威圧を放つ。なんでこんなとこで放つんだよ……しかも少しずつ慣れてきている自分が嫌だ……


「うっ! それはその、居ないけど……それでも、全く知らない相手とは嫌よ!」


「そうです、ヘルガー様! マリンティア嬢をそこの見ず知らずの男を相手にするなどあってはいけないことです!」


 すると今まで席に座っていた男の人が急に立ち上がり反論し始めた。


「いったいこの男は誰ですか!? 昨日も私たちの面会も拒否されたのにこいつだけには会っていました! そうして1月振りにお会いする事ができたと思えば、知らない男と、マリンティア嬢の結婚の話など、ヘルガー様はふざけておるのですか!」


 そう怒っている男にヘルガーさんは


「娘の結婚に俺がふざけて言っているとお前はそう言いたいんだな、グレイ。それ以前にお前に発言を許可したか? ここに入れた時に言ったはずだ。ワンディールとローナ以外は黙っていろ、と」


「それは仰いましたが……しかし、この国の未来がかかっていることです! この男がこの国を継げば必ず国は滅びます! お考え直しください! ヘルガー様!」


 いや〜国を思う忠臣。ヘルガーさんは良い部下を持っているな〜まあ、理由が本当に国のためなのか、それともマリンティアさんが欲しいだけなのかは僕にはわからないけど。


「くどいぞ! 黙っていろ!」


 そう言われるともう黙るしか無い。ちょっ! 物凄く睨んでくる。目線だけで人が殺せるんじゃ無いかというぐらい睨んでくる。


「エル。マリアには自己紹介はしたのか?」


「えーと、たしか名前だけだったよね? マリンティアさん」


「そういえばそうね。名前しか聞いていなかったわ」


「えらい余所余所しいな。なあ、ワンディール?」


「ここで俺に振るのかよ……まあ、ウブな感じがあって良いんじゃ無いか。これから仲良くなっていけば」


「な! ワンさんまでそんな事を。どうしてそんなに彼と私を引っ付けたがるのよ!?」


 それは確かに思う。ヘルガーさんとワンディールさんですら僕は出会ってまだ1日と経っていないのに。やっぱり勇者の子孫だからか?


「まあ、理由は色々とあるがそのうちの1つが魔王に至る素質を少しだけ持っていることだな。ほんの少しだけだが。お前が言ったんだぞ? 私は魔王ぐらいの人じゃ無いと結婚しないって。そう言い続けてもう、80年。男も未体験のまま萎れさせてしまう前に俺が選んでやったんだ。喜ぶべきだろ?」


「大きなお世話よ! 自分の相手くらい自分で探すわ! そんな事よりなんでこの人を引っ付けたがるのかよ! それとなんで魔王の話が出てくるのよ?」


「それはこいつが魔王を目指すからだ。その理由も教えてやれ」


 いや、まだ魔王になると決めた訳では無いし。しかも今ここで話すの? 物凄く恥ずかしいんだけど。しかもヘルガーさんと、ローナさんは既に笑う準備をしている。逆にワンディールさんは溜息をついている。昨日から思っていたが、ローナさんが腹黒い。それに比べてワンディールさんは優しいな。厳つい見た目とは裏腹に、僕のことを心配してくれる。とても良い人だ!


 そんなことを考えながらも仕方が無いので、マリンティアさんに説明した。


 すると思っていた通りヘルガーさんとローナさんは大爆笑。ワンディールさんはやはり溜息。さっきのグレイとかいう人とかは僕を蔑んだ目で見てくる。そしてマリンティアさんは


「そ、そう。そんな事が、あったのね、ププ」


 必死に笑うのを堪えていた。最後の方は漏れていたけど。ヘルガーさんの血を見た気がする。


「はあ、笑った笑った! それでこいつはその2人を見返すために魔王を目指すことになったんだ」


「いや、ヘルガーさん。まだ魔王になると決めた訳じゃあ」


「じゃあ何か方法を思いついたのか?」


「うっ! そ、それはまだですけど」


「まあ、取り敢えず今から魔王になるための方法を話すからグレイたちは出て行け。今日呼んだのもこいつを紹介するためだけだったしな」


「なっ!」


 グレイたちは驚いて立ち上がった。


「ヘルガー様! それはあんまりではございませんか! 私たちですら知らない魔王になる方法をその人族の小僧に教えるなど!」


 この人最初に比べて少しずつ化けの皮が剥がれてるような気がするけど大丈夫かな。


「俺の機嫌が良いうちに出ていけよ、お前ら」


 ヘルガーさんの威圧を込みの言葉にグレイたちは渋々立ち上がった。そしてすれ違いざまに


「許さんからな! 貴様!」


 僕だけに聞こえるにそう言ってきた。器用だね。


「さあ、邪魔者も居なくなったし。本題に入ろうか」


 そう言ってヘルガーさんは話し始めた。

続きそうだったので分けます!

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