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雨の中の出会い(エル視点)

 僕が魔国ベルヘイムに来て2年の月日が経とうとしていた。


 この2年間はとにかく修行の日々だった。まあ、僕がお願いしたから当たり前なんだけど。


 毎日色々な人に相手をしてもらい気絶しては回復され、気絶しては回復されと繰り返される日々。何回死んだかと思ったことか。


 ワンディールさんは笑顔で殴ってくるし、ヘルガーさんは普通に剣で刺してくるし。しかもそれで本気を出していないんだから。どうしたら追いつけるんだろうか?


 今住んでいるところは結局マリアさんの部屋に決定した。ローナさんが


「どうせ一緒に暮らすんだから部屋は変えなくていいわよね?」


 と言うのでそのままとなった。そこにミルさんも


「じゃあ、私も住む」


 と言い出すので結局3人で住んでいる。3人で急に住むことになった事を驚くべきか、それとも3人でも余裕がある部屋に驚くべきか。しかし問題が一つあって、それはベッドが一つしか無かったということだ。


 そのため僕は1人でソファで寝ようとするもミルさんが許してくれない。マリアさんとミルさんが言い合って、最終的にはミルさんが勝った。


 そのため今では3人でベッドで寝ている。言うまでもなく毎日寝不足だ。しかも朝起きて食堂へ行くと必ずと言って良いほどローナさんが


「昨晩はどうでしたか?」とか「マリア様とミルさんは気持ち良かったですか?」とか聞いてくる。


 はっきり言おう。僕は彼女たちにまだ手は出していない! ヘタレと思われるかもしれないが、まだ魔王玉も手に入れずに力も足りていないのに、欲望だけ満たすのはどうかと自分で勝手に思っているだけだ。それだけに毎晩つらい。だって2人とも下着みたいな寝巻きで寝るんだから! 毎日甘い匂いがして惑わされるが、日々我慢をしている。下手をすると修行より頑張っているかもしれない。


 あと、マリアさんの呼び方もこの2年で変わった。一緒に住み始めた頃はマリンティアさんと変わらず呼んでいたが、暮らしていくうちに


「もう、一緒に住み始めたりしているんだからマリアで良いわよ」


 と照れた顔をしてマリアさんの方から折れてくれた。理由はわからないが認められたみたいでうれしかった。あまりの嬉しさにマリアさん、マリアさんと意味もなく呼んでいたら


「マリア、マリア煩いわよ!」


 と殴られたのも今となっては良い思い出だ。そんなこんなで2年があっという間に経ってしまった。


 そして今は、ゼルテア帝国とグランディーク王国の国境付近にある山に来ている。


 何故そんなところにいるかというと、孤児や訳ありの人を探すためだ。これはベルヘイムの兵士が定期的にしている事で今日は僕が当番になる。


 この向こうはグランディーク王国か……


 僕が家を飛び出して2年か。ここまで来たら戻ろうとは思わないがそれでも両親の事や、アルにビルたちの事を考えることが時々ある。


 そしてあの2人のことも……


 集めた情報によると勇者マコトが率いる連合軍とザガンの魔王軍が、拮抗していて一進一退の攻防をしているらしい。


 これだけ聞けばマコトたちはすごい活躍をしていると思うが、実はザガンは参加をしていないらしい。


 理由は分からないが、ザガンが出てくればこの拮抗はすぐに崩れるだろう。なんていったてあのヘルガーさんと同じ魔王だ。魔王の力は計り知れないからね。


 そして、マコトとユフィーの婚約も発表された。その時に結婚するための条件も発表され、その条件は魔王ザガンを打ち取ることだ。そのためマコトも頑張っているらしい。


 そんなことを考えていると僕が薄く張り巡らせている影魔法に反応があった。


 人数は1人を10数人で追いかけまわしているってところか。


 僕は反応がした方に駆け出す。


 走って数分。集団を見つけた!


 転けたのか、地面に倒れこむ女の子。その女の子を囲む男たち。


 うん。助けるのは女の子だな。


 僕は影魔法を発動する。


「影の針(シャドウニードル)!」


 そして


「光の道(テレポーション)」


 僕は女の子の前に移動する。


「ダメじゃないですか。大の大人が寄ってたかって女の子を囲んでいるなんて」


 そう言うと目の前の男の人が


「お前、状況がわかっているのか?」


 そりゃあわかってないと出てこないでしょう。後ろの女の子も


「黒い男の人! 早く逃げてください!」


 と言うし。だから僕は


「まあ、任せといてよ」


 肩越しに笑ってみせる。


 そして男たちには


「さぁ、やろうか」

エルの視点で書いてみました。

明日から話を進めていきたいと思います!

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