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第3話 異変【SIDE:シュヴァルツ】

シュヴァルツ達が王座の間についたところから

第1話の部分に戻ります

【SIDE:シュヴァルツ】


・・・・・・・一体如何したらいいのだろうか・・

我々は重苦しい雰囲気を纏う陛下の前に整列し

跪きながら陛下のお言葉を待つ、しかし

幾ら待てど陛下からのお言葉は無い・・


このまま永遠に時が流れてゆく

そう錯覚されるかのような静寂が続いた

・・・・・だが、ふと陛下の纏う気配が揺れる

一体如何したのだろうか?と不思議に感じると同時に

私の横で跪いていたラグルスが珍しく取り乱した声を上げる


「っつ!?王っ!如何なされたのですかっ?」


私も私の周りにいた団長達も

ラグルスの声につられて顔を上げる・・・しかし

顔を上げた瞬間、私の中で衝撃が走った


・・・・陛下が涙を流しておられる・・・

こんな事今まで生きてきた中で一度とない出来事だった。

普段、私たちが見ている陛下は寡黙で冷静で

一度だって涙を見せた事など無かった。

・・・・その陛下が涙を流している・・

ソレは一体どれ程心を痛められての涙かは

この私には到底図る事など出来はしなかった


咄嗟に動く事が出来ず困惑する私と団長達を置いて

ラグルスが素早く陛下に近づきその傍に跪く


「リヴァン陛下、如何なされたのですか?

 一体何が、彼方のお心を苦しめているのでしょうか?

 このラグルスにお教え願えませんか?」


普段よりも甘い声でリヴァン陛下に語りかけるラグルス

正直に言えば少々ラグルスが羨ましい

あの場所・・今、陛下のお傍に居る者が

私であったならソレはどんなに幸福な事か・・

私の周りの団長達も同じ気持ちなのか

恨みと妬みを含んだ淀んだ嫉妬がラグルスに向かう

ラグルスも気付いている筈なのだが

嫉妬の全てを無視している。


するとラグルスに問いかけられた陛下が

首を横に静かに振る・・そんな拒絶の行動に

ラグルスは見た事もないような悲しげな表情で

元居た場所に整列し直した。


陛下は涙を流した後

まるで虚空をみるような目で

私たちを見つめた後その口を静かに開いた


『現状報告をせよ』


一瞬、私たちは陛下が何を言っているのか分からなかった

それもその筈で今までは現状報告を纏めた

書類を陛下に差し出していただけで

自らの言葉で現状を報告した事など

一度も無いのだから・・・


他の団長も陛下のお言葉を聞いたことに対して

驚きと感動を持って固まってしまっていた。


『どうした?』


何時までたっても報告をしようとしない

私たちに向かって痺れを切らしたように陛下が尋ねてくる

陛下の纏う気配はとても冷たく固い・・

これでは不味い・・・私がそう思い動こうとする前に

視界の端で一人の団長が動いた・・


純白の燕尾服にシルクハットを被る

金髪の男・・・グウェラである

ニコニコ・・・いや、ニヤニヤが正しいだろう

そんな笑みを顔一杯で表現するグウェラは

大袈裟(おおげさ)すぎるお辞儀をして陛下を見上げた


「報告が遅れテ申し訳在りまセン陛下

 デハ早速、国の現状報告をさせて頂きたいト思いマス」


ニヤリと笑いながら陛下を見るグウェラ

陛下は真紅の瞳でグウェラを見つめた後

小さく頷いて続きを促した。


「デハ、報告をさせて頂きマス。

 先ほど突然ですガ、海の傍に位置していタはずノ

 我がセルドリア王国ですが、全く前兆ナシニ

 国の周りが全て森へト変化しておりマス

 民達は突然ノ事に混乱しておりまスガ

 私の第4守護団の者達ニ対応させてオリ

 暴動などは起こってハおりません。」


突然の出来事を冷静に対処するグウェラの報告を聞いた陛下は

眉一つ動かさず俯き何かを考え込んでいるようだった。

しかし本当に陛下は強いお方だ、我々が内心で

焦りと不安を隠しきれて居ないというのに

陛下はこの理解できない現状と

冷静に向き合っておられる

そしてふと顔をあげる、その顔は

相変わらずの無表情であるが、どこか悲しそうだ


『グウェラ・・・国の外に出ていた

 狩りをしている民はどうなっている?』


「国外へと出ている民は

 城壁の傍で倒れていたため

 保護しました。全員の生存が確認されています」


『では、国の外の湖や川の傍で

 生活していた奴らは無事か?』


「はい、国内の様々な場所で

 倒れていましたが守護団が保護しております」


『・・・そうか・・無事か・・』


すると陛下は何処か安心したように

珍しく表情を柔らかくしたように見えた。


・・・・やはり陛下は素晴らしい・・

突然の前代未聞の出来事にも関わらず

取り乱さず落ち着きを持ち

この国の民達の事を考えて下さっている・・


私たちがそう陛下に対して感動していると

突然、陛下が玉座から立ち上がった


そして整列する7人を見渡すと

その真紅の目を細めた


『守護団団長全員に命じる

 今、この国は不可解な出来事に巻き込まれている

 そして、民はこの状況に混乱し苦しんでいる

 このような現状を見逃してはならない

 直ちにこの混乱を収めるために

 各守護団が全力を尽くせ』


陛下の言葉には短いながら気持ちが篭っていた

“この国を守りたい”そう切実な気持ちが

気付くと私の手は震えていた

他の団長達も陛下のお気持ちが伝わるのか

周りから息を呑む声が伝わってくる

我々は陛下の期待に添えるように声を上げた


「「「はっ!リヴァン陛下の仰せのままに!!」」」


そんな私たちの声に

陛下は無表情で頷いた




・・・・・・・・・・・・・・・・

現状報告後

考え事があると自室に戻った陛下

私たちは守護団団長が会議を行う

会議室にてコレからについて話し合いを行っていた


「やはリ、陛下は素晴らシイ!

 この国の事ヲ、誰よりも何よリモ

 考エテ下さってイル」


「そうだよね!僕ってば今日の陛下の

 お言葉には感動しちゃったよ~」


「あぁ?陛下が素晴らしい事なんて

 当たり前じゃねーか、何今更そんな事

 言ってやがるんだ?お前ら」



・・いや、コレはこれからについての話し合いなのか?

如何考えていてもリヴァン陛下の素晴らしさを語る話し合いでしかない

そんな私の考えも知らず、目の前の3人組

グウェラ・ライド・テトラは先ほどの陛下の

素晴らしさについて語り合っている


陛下が素晴らしいのは分かりきった事だが

今、大切なのは国のこれからについて話す事なのだ


「おい貴様ら陛下の事も大切だが

 今は、陛下の為にもこの国の混乱を

 治める事が大切ではないのか?」


「まァまァ、そう言ってモ

 既に国の外に居タ民の食料モ

 第6守護団が城に備蓄していたのヲ

 陛下の指示で無料配布していルシ

 治安モ第7守護団が見回ってイルから

 実際、私たち第1・第3・第4・第5守護団ハ

 することがナイんだよね」


「ん?そういやラグルスの野郎は何処行ったんだ?」


「ん~さぁ?僕も知らないよ」


・・・・なんだろうか

この国の一大事だというのに

コイツ等・・自由すぎる


「全く貴様らはもっと緊張感という「悪い 少し 退く」・・ん?」


声が聞こえ後ろを振り返るとそこには

陛下と間逆の白髪に青い瞳をした

背の高い灰色の軍服を着込んだ青年が

ぼけっとした表情で立っていた。


「あぁ?ケオルガがじゃねーか

 お前仕事如何したんだよ?」


「第6守護団ハ食料の配布といウ

 大事ナ仕事を陛下カラ頂いている筈ダガ?」


この青年ケオルガは第6守護団団長であり

今は、大切な仕事を陛下から頂いた筈なのだ

何故こんな所にいるのだろうか?

そんな疑問が出てくる・・・すると


「俺 陛下 呼ばれる 俺 名指し

 俺 嬉しい お前ら 羨ましい 俺」


普段は眠そうな顔でフラフラしている

ケオルガの顔が満面の笑みへと変わり

嬉々として此方に言ってくる


つまり訳すると

「俺は陛下に呼ばれたんだよ

 しかも名指しでケオルガ来なさいって

 俺すごい嬉しいよ、お前ら羨ましいだろ」


・・・・・・なるほど・・つまりは

此処へ来たのも自慢の為か・・


   バキッ!


私の隣に居たライドが着物の横に

かけていた刀を抜刀してケオルガへと切りかかる

・・・・この時ばかりは私もケオルガ斬られてしまえと思った。


しかし、ケオルガはその場から飛び上がり

天井へとくっ付いてライドの攻撃を回避する

その後もライドの攻撃を交わすものの

天井に張り付き床を滑るように

移動する姿はまるでゴキ・・・G(女子が嫌いな生物)のようだ

ドン引きで二人の戦いを見ている私たちだが


ふとグウァラが言った


「ケオルガ・・早く陛下の所に行かなくていいのか?」


・・・その一言に我に返った

ケオルガが青ざめて全力で走り抜けていったのは

言うまでもなかった。





その内設定を出しますが

一旦簡単な設定


○第1守護団・・・団長〔シュヴァルツ〕

○第2守護団・・・団長〔ラグルス〕

○第3守護団・・・団長〔グウェラ〕

○第4守護団・・・団長〔ライド〕

○第5守護団・・・団長〔テトラ〕

○第6守護団・・・団長〔ケオルガ〕

○第7守護団・・・団長〔???〕

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