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第2話 守護団長

・・・・俺は玉座の間にて固まっていた

目の前には、超絶な美形の俺の部下であるシュヴァルツ・・


「陛下・・本当に大丈夫なのですか?」


固まっている俺を見て

心底不安そうに見つめてくる

俺は、内心かなりのパニックに陥りながらも

どうにか頷くことができた

・・・・しかし


「陛下・・やはり顔色があまり優れません

 少々自室で休まれた方が良いのではないでしょうか?」


俺の事を気遣って言ってくれる

シュヴァルツの言葉に俺もパニックで

可笑しな事を言ってしまわない内に

一先ず、頭の中を整理して落ち着こうと

同意の言葉をかけようとした

・・・・・だが


『・・大丈夫だ・・・・必要ない・・・』


・・・・・・・・あれぇ?

・・・・なんで俺、必要ないなんて言ってんの!?

すごい必要だよ!今、自室に逃げるのは最も重要だよ!


先ほどよりも更に内心パニックに陥り冷や汗を掻きながらも

此方を何故か驚きの目で見つめてくるシュヴァルツを見て

アレだけ偉そうに拒否したのに此処でまた必要とか

口が裂けても言えない!


口を閉ざして固まった俺を見て

シュヴァルツは如何したらいいか分からない

そういった感じの表情で此方を伺ってくる


・・・・・まずい

一先ず何か話さなければ・・


あまりの沈黙からの気まずさと

理解出来ないキャラが話すという

現象によりパニックになっていた俺は


『・・・く、国の今の現状報告が聞きたい』


・・・普段ゲームで文字で伝える筈の

キャラクターに対して言う台詞を言ってしまった


「了解しました陛下、直ちに守護団の

 団長達を集めますゆえ暫しお待ち下さい」


シュヴァルツは何故か目を潤ませながら

恍惚とした笑みで玉座の間から去ってゆく・・・

・・・・・・えっ?俺何かした?


俺は、彼が玉座の間から去るまで

無表情を貫き通していたが

内心では、うろたえていた


(えっ?不味くない?俺なんで現状報告が聞きたいなんて

 言っちゃったの?そんな事したら団長たちが

 集まるに決まってるだろ!?

 どうしよう?俺どうしたらいいんだろ?)


何故俺がこんなにもうろたえているかと言えば

普段、ゲームにて俺が行っている現状報告とは

この国の守り攻めの要となる

全部で7つある守護団と呼ばれるモノの

団長を全員集め、国の様子を報告して貰うのである

・・・最も今までは団長達はただ居るだけで

俺は自分の手元に現れる“報告書”を読んでいただけなので

本当は団長達は集めなくても良いのだが

そこは王様気分を味わいたくて何となくしていた事なのだが

今はそれが裏目に出ていた。


俺は、どうしようかと内心焦りながらも

一先ず今まで通り王らしく構えていたほうが良いかと

思い直し少し焦っていた表情を引き締めた。

そして広い玉座の間の奥のほうに位置する

扉からいつ団長達が来てもいいように

心の準備をしながら扉を見つめた





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【SIDE:シュヴァルツ】


重たい扉が音を立てて閉まる

その瞬間、私は情けない事ながら

膝から崩れ落ちてしまった・・・


「・・・・話しかけて下さった・・・」


・・・あの寡黙(かもく)

静寂を心から愛するあの美しい陛下が

この私の事を見てくださりそして

今までは文字で交わされていた用件を

自らの口で話しかけて下さった・・・・


「・・・始めてだ・・・」


何だろうか?この至福とも感じられる感情は・・

暫し、胸に広がる感情に震えていた私だったが


「・・・っ!こんな所で立ち止まっている場合ではない!

 早く、奴らを集めねば陛下を待たせてしまう!!」


初めて陛下が自らこの私に命じられた用件なのだ!

一時も早く、陛下の下へ奴らを集めねば

陛下に失望されてしまうかもしれない・・・


私は“失望される”そんな恐怖に襲われ

すぐに連絡用の魔法を展開する


〔第一守護団 団長のシュヴァルツだ

 陛下は現状報告をお聞きしたいとおっしゃられている。

 直ちに全守護団の団長は守護の間へ集合せよ!大至急にだっ!〕


守護団の団長達へ用件を伝えると

薄紫の魔法の光が消え連絡魔法は掻き消える


私は、連絡を終え一息吐くものの

内心は、苛立ちで溢れかえっていた


(速く集まらないか!陛下が待っておられるのだぞ!)


最も今、連絡を入れたばかりで

団長達が全力で向かっても数秒で

辿(たど)り付く事は出来ないと

頭の中では分かっていても気持ちでは納得は出来なかった


そして数分程、たっただろうか


「やっほ~ごめんネ!待ったかイ?」


純白の燕尾服に身を包みシルクハットを被った

金髪のふざけた感じの男がへらへら笑いながら

此方へと向かってくる


「遅いぞグウェラ」


純白の燕尾服の男・・グウェラは目を細めて笑う


「まァまァ、そう怒らないノ!

 ソレに僕ガ、一番みたい何だシw」


笑いながらクルクルと回るグウェラだったが

ふと笑う事を止める・・・・


「何だカ、陛下にしてハ

 突然の召集だよネェ~

 でもサ、今回の現状報告っテ

 サッキ周りの地形が全部変わっタ事に

 関係しているのかナァ~?」


無表情で言うグウェラに言いようもない

不気味さを感じるものの、その言葉には

聞き流せない言葉が含まれていた・・・


「・・・・グウェラ・・いま貴様何と言った?」


「ん?~だからネ、地形が変わってるんだョ

 今までハ、この国海の傍に在ったのニ

 何故か森の中ニ在るんだよォ」


可笑しいのォ~!と再び笑うグウェラだったが

その顔は少し引きつっていた・・・

笑うグウェラと黙るシュヴァルツだったが


「おい、二人とも如何したんだ?」


そんな言葉に二人は振り返ると

そこにはゾロゾロと団長達が集まっていた。

その中で茶髪の青年ラグルスが訝しげに此方を見ている


「ラグルス・・・お前は、国外の地形が

 変わった事に気付いていたか?」


そんな私の問いかけにラグルスは大きく目を開き首を振る

その後ろに居た他の守護者達も

知らなかったらしく驚いた顔をしている

そして詳しく聞きたいと私たちの方に問い詰めて来た


・・・・・・・・しかし


「おい、こんな所で俺達が言い合ってても

 国は動かなねぇんだよ!さっさと陛下のところへ行くぞ

 俺達を呼んだのも何か考えが在っての事なんだろ!

 さっさと行かねぇんなら俺一人で行くぞ!」


何とも乱暴な言い方をする

和服の男・・ライドが皆を睨みつけながら

部屋を出て行く・・・・・が


「ちょ!ちょっと待ってよ!

 ライド待って~」


そんな荒々しく部屋を出て行こうとする

ライドの腹に何かが飛びついた

そこにはヨレヨレの白衣を着て半泣きする

何とも頼りなさそうな白髪の少年

・・・・・・テトラがライドを止めている


「駄目だよ!皆で行かないと!

 陛下は団長皆を集めなさいって言ったんだから

 皆で行かないと陛下怒っちゃうよ!!」


袖の余った白衣でぽふぽふとライドを叩くテトラを

ライドは忌々しげに睨み付けていたが

チッ!と舌打ちしてテトラを引き剥し

そのままペイッと投げる


誰にも助けて貰えなかったテトラは

そのまま床に落ち・・べチンッ!と哀れな音を立てたが

ライドは一先ずテトラの意見を聞くことにしたらしく

部屋を出て行くことは止めたようだ


そして残りの団長も集まる


「じゃあ、守護団長全員が集まったみたいだし

 陛下の下へ行くとしようか」


ラグルスの言葉に全員頷き

私たちは玉座の間へと歩き出した。

守護団団長全員が王の間の前で止まる

王の間の前は先ほど私が入った時とは違い

何故か重く苦しい空気で満ち溢れていた


第一守護団団長である私は全員を代表して

扉を軽く叩いた・・・・・


「第一守護団 団長のシュヴァルツです!

 陛下のお言葉により各守護団団長を連れて参りました!」


中からの返事はない

しかし、返事がないのはいつもの事なため

私は重い扉を静かに開いた・・・・


そして音を立てぬよう静かに王の間を歩き始めた

しかし、私の後ろを歩く団長達が息を呑み

戸惑う気配が感じられる、それもそうだ

私たちの目の前に居る陛下からは固く

冷たい雰囲気が感じられた


こんな陛下は私も初めてで

どうしていいのか全く分からなかった

しかし我々にはどうしようもなかった

一体陛下が何を考えておられるのか

ソレは、我々には決して考えつかないのだから


守護団長たちの初登場です!

今回は5人しか出てきていませんが

のこり2人もそのうち出てきます

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