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第一章 桜木の日常(桜木編)

・文章は稚拙かもしれないのでその点はご了承ください!

・辛口な意見もどしどしくださって結構です!

・とりあえず4、5章くらいまでは読んでくださったら嬉しいですo(^▽^)o

2033年。

時間は夜10時。周りは真っ暗だ。


桜木は隣にいる友紀を見た。いつも元気な彼女でも緊張しているのがわかる。


「いくわよ。」


このミッションが上手くいけば、あいつの計画を阻止する為の大きな一歩となる。


友紀の合図で俺達2人は動きだす。


B地区に俺達は潜入した。人はいない。周りは高いビルばかりなのに全く人がいない光景が妙に不気味だった。


友紀が行先を透視する。本当に便利な能力だ。


そのことを友紀に伝えると、


「あなたほどではないわ。」


と返された。

まあ、確かにそうかもしれない。


「一応誰もいないわ・・・多分・・・」


「そうか、じゃあ先に進むか。」


俺が先に進もうとしたところで、


「まって!!」


友紀が叫んだ。俺も動きを止める。行く先に視線を俺は置いた。


「よく気がついたな。」


少し遠くに男が立っていた。

髪は黒。身長は170ってところだろうか。表情はとても真面目そうとでもいえばいいのだろうか。


あまり戦闘経験のない桜木でも分かった。こいつは今までの奴とはレベルが違う・・・。


しかしそんなことは今は関係ない。


「そこはどいてもらう。」


「ほう・・・やってみるがいい。」


「気を付けなさい、桜木!!彼はBリーダーよ!!」


「なに!?」


刹那。後ろに殺気を感じた。


「くっ!!」


俺はしゃがんだ。俺の上空を奴のナイフが切り裂く。


すかさず友紀が銃を奴に撃つ。


しかし・・・


もうそこには奴はいない。


何時の間にかに奴は俺達から10メーター程離れた場所にいた。


「ほう・・・少しはやるな。じゃあ次はどうかな。」


奴が俺の目の前から消えた。


「なんなんだよこいつ!!」


「多分テレポーターよ!」


「テレポーター?!」


「そう!!空間を自在に移動する能力だと考えればいいわ!!」


「なんだよそれ・・・!!」


俺は横目で友紀の状況をチェックする。銃を構えているが彼女もかなりとまどっているのがわかる。


俺も急いで右手に銃を、左手にナイフを構える。


「どこだ!?」


「ここだ。」


上から声が聞こえた。

友紀がまた一足早く銃を上に撃つ。

しかしその銃弾は奴を捉えることはない。

そこに既に奴はいない。


くそっ、俺さっきから何も役に立ってないぜ・・・!!


「気を抜かないで!」


おう、と返事するついでに横にいる友紀を見た。


すると・・・


友紀の後ろに奴が立っていた。友紀はまだ気がついていない。


「後ろだ友紀いいいいいいい!!」


「遅い。」


「うをおおおおおおおおおおお」


俺は・・・友紀を突き飛ばした。


代わりに俺が・・・


ナイフで刺された。


痛い・・・・。痛すぎる・・・。


「桜木!!」


友紀め・・・うるさいな・・・


「大丈夫だ友紀。」


俺は笑いながら、


「俺の能力を分かってるだろ?」


俺はその力をつかった・・・・。




「気を抜かないで!」


友紀の声が響く。


俺はすぐに行動を起こした。

まず友紀の後ろにいる奴に向かってすぐさま拳銃を発砲した。


奴が少し驚いた顔をする。


「俺の場所を察知したか・・・?」


奴は少しまた俺と距離をとった。


俺は言ってやった。


「俺にそんなことはできねえよ。」


長い戦いになりそうだ。




~~~~~~~~~~~~~~~


桜木周は飛び起きた。スマホのアラームがひっきりなしに鳴っている。



「ったく・・・。うるさいなあ・・・。」


俺はこの音が嫌いだ。何か急かされているような、怪物に追いかけられているような、そんな忙しい音に聞こえるからだ。


黒い髪を掻きむしりながらすぐさま時間を確認する。8時半か・・・今ならまだ間に合う・・・・。


日にちは・・・2013年5月3日。


今からすぐ着替えて歯を磨いて・・・うーんぎりぎりかな。


そろそろあの講義の出席状況やばいんだよな。


桜木は朝食を食べない。桜木は大学2年生の夏から大学周辺で一人暮らしをしているが、その頃から朝食は取らない癖がついていた。


悪い癖だと思いつつも、どうしても治すことができない。実家に住んでいたときは母さんが毎日朝食を作ってくれてたっけ。


急いで床に散らばっている適当な服を選んで羽織っていく。桜木はファッションとかにはとことん無頓着だ。


「今日も全身真っ黒になってしまったな。オタクっぽい格好ってやっぱり思われてるのかな」


そんな一人言をつぶやきつつ急いで歯を磨く。オタクっぽいというと本当はオタクではないような言い方だが、桜木は根っこからのオタクだ。


昨晩も深夜アニメを午前2時まで見ていた。そのあとその最新話のネットでの評判を見てそのあとゲームをして・・・という具合である。


桜木はそんな生活を一人暮らしをはじめてからずっと続けている。極めて不健康な生活であることはわかっているが、桜木は決して後悔していない。とてもこの生活に満足していた。最近はほとんど昼夜逆転しており、大学の講義は殆ど寝て過ごしている。


家のドアを開ける。外の景色を見て桜木は一気に気が沈んだ。


雨が降っている。


「マジかよくそっ」


桜木はキャンパスまで自転車で通っている。晴れているときは自転車で10分くらいの距離である。だけど雨の場合は話が別だ。傘を片手に持ちながら自転車をこがなければならない。そうするとどうしても15分位はかかってしまうのだった。


桜木は腕時計を見た。昔中学生の時に父さんに買ってもらたのを今でもずっと使っている。


そういえば最近父さんとあまり話してないっけ。


「8時38分か・・・」


間に合わないのは確実だ。しょうがない、あの糞教授が出席とるのが遅いっていうパターンに賭けるか。


家に鍵をかけ、自転車の鍵穴に鍵を差込んで解除をする。


この自転車は半年前まで前輪後輪どちらもパンクしていた。はじめは前輪だけパンクしていたのだが、それでもほっといて桜木は使用し続けた。そうしたら後輪もパンクした。それでも桜木はそのまま使用し続けた。両方パンクし続けたまま半年乗り続けたのだが、親にそれが見つかって、ついに交換をすることになった。


自転車の店に行ってパンクの状態を店員に見せた時の店員の表情は今でも忘れない。こんなにひどい状況は初めて見ました、みたいなことを言われたのは覚えている。


そう、桜木は極度のめんどくさがりだった。何をするにしてもいつも中途半端、途中で投げ捨てて諦めてしまう。何をするにしても逃げの姿勢。


こんな自分が俺はとても嫌いだった。そして桜木は将来に対する漠然とした不安もあった。


「将来働きたくねえ・・・」


これが桜木の口癖である。


片手に傘を持ちながら自転車をこぐ。このあたりは海の近くである。雨が降るとこの辺の風はとても強い。いままでこの風に傘を何本折られてきたことか。その度に近くの100円ショップでビニール傘を買い続けている。


海の近くということもあって、この辺りには漁港がいくつもある。魚を積んでいると思われるトラックをたまに見かけるが、この時間帯は少ない。でも魚っぽい生臭い臭いはずっとしている。引っ越してきた当初は慣れたかったが、今は特に何も気にならなくなっていた。桜木の住んでいるところはそういう場所だった。


それにしても雨が強いな。足のあたりがもうびしょびしょである。


キャンパスまでの道には信号が多い。俺はそれをほとんど無視した。今も言ったとおり、車はあまり通っていない。警察に見つかったヤダな、と思いつつも桜木はいつもこの信号を無視していた。


桜木はできるだけ人通りが少ない道を選んで通学している。なぜか。友達知り合いと途中で会うのが嫌だったからだ。あんまり人と話すということが桜木は好きではなかった。コミュニケーション障害であったり、病気であったり、対人恐怖症であったり、とかそういうわけではない・・・と思う。むしろみんなの前でおどけてみせたりするくらいだ。友達も知り合いも人並み程度にはいると思っている。でも人と話す時に俺はいつも彼らと心の壁を感じている。一歩引いたところで自分を見つめえいる。一人でいたい、と思っている。重度の中二病か何かなのだろうか。それともみんなも表面上は楽しそうにしてるだけで実は俺と一緒なのであろうか。このことをいつも考えるとき、俺はネットの掲示板などを見て自分を慰める。ネット上には俺みたいな奴がたくさんいる。


「これじゃネット中毒者だな・・・我ながら気持ち悪い」


先程も述べたが、こんな桜木であっても知り合いとはよく喋るほうだった。外面だけは無意識のうちに取り繕おうとしてしまうのである。おちゃらけた自分を出すこともあるし、悩んでいる自分を出すこともある。


そんな桜木だったがどうしても苦手なものがあった。外面を取り繕ってもどうしても苦手なもの。それが「女の子」だ。女の子とはどうしても簡単に話すことができない。


たまに女の子に話しかけられたりしてもそうしても会話がカタコトになってしまう。逆に俺から女の子に話しかけたことなんて一度もない。


いくら他人とあまり関わりたくない俺だって異性に興味が全くないわけじゃないのだ。オナニーだってする。俺だって女の子と話したいのだ。女の子で話せる相手なんて妹くらいだ。


大学の部内の女グループの間で俺にホモ疑惑がかかっていることを知ったときはさすがに焦った。


「はあ・・・どうしてこうなっちまったんだろうな・・・」


大学が見えてきた。小さい大学だ。桜木の通う大学は一応国立大学である。それも医学部。桜木は親の方針で小さな頃から勉学を鍛えられてきた。小さな頃はそれに応えようと必死になって勉強をした。しかし年齢が上がるにつれてあまり熱心に勉強はしなくなっていった。それでも一応大学受験だけは頑張ってみようと思った。高校3年生のときは一生懸命勉強した。今考えるとあの時の自分はかなり頑張っていた。なにか自分をかえられるのかもしれない・・・そんな風に考えていた。結果として合格もできたし親孝行も出来たのかもしれない。でも現実は違った。


親も最初は喜んでくるた。俺も素直に嬉しかった。でも親がだんだん文句を言い始めた。「なんか医学部に受かったからって調子に乗ってない?」「少しは親孝行したらどう?」「親に頼りすぎじゃない?」


俺は親が嫌いになった。


昔からあいつらはそうだ。子供は自分のいいなりになると思っている。


大学に入って俺と親の会話は極端に減っていった。今は実家に帰っても最低限の会話しかしない。今は妹の大学受験でめっぽう忙しいらしく、俺にもあまり干渉してこなくなった。嬉しい限りである。


教室に入ると教授がちょうど出席をとり始めたところだった。俺はいつもの定位置に座る。


「相川!」


教授が出席をとる。


「はい!」


「石川!」


「は~い」


「今井!」


「はい」


俺の大学の授業の席は自由席だ。ただ何回か授業を受けているうちに自由席といいながら席はなんだかんだで固定してきている。殆どは仲のいい者同士で座っている。


俺の隣の席には相川がもう来ていた。相川は俺が大学に入って一番最初に知り合った奴だ。最近髪を茶髪に染めて、何かと調子がいい。彼女も最近できたらしくてその自慢ばっかしてくる。最近はIT機器にご執心らしく、それ関係の話しかしてこない。全体的な雰囲気でいえばドラえもんのスネ夫みたいな感じである。


相川はこちらを見ると、


「ねえねえ!iPadminiでるらしいぞ!」


と小さな声で、それども授業中にしては元気な声で言ってきた。


朝の第一声がそれかよ・・・と思いつつも、俺も適当に返す。


「らしいな。でも一応様子見するわ」


「なんで?前から7インチタブレット欲しいって言ってたじゃん」


「高いんだよなあ。貧乏学生には辛いんだよ。スペック妥協して低価格のものを買うのもありな気がしてきた」


「まあ、そんなものかねえ」


「お前みたいなボンボンと一緒にするな」


教授の出席が俺に回ってくる。


「櫻井!」


「はい」


突然であるが出席確認をしている時に俺はいつも自分が不甲斐なくなる。なぜか。それは俺がまだクラス全員の名前を覚えていないということを痛感するからだ。


もちろん2年もたっているのだから大体は覚えてきた。でもまだ覚えてない奴がいるのは流石にまずいのではないかと最近思ってきた、


例えばさっき呼ばれていた「今井」。俺は彼がどんな奴なのか全く知らない。多分向こうも俺のことは全く知らないだろう。


「今井のほうじっと見てどうしたんだ?やっぱりお前ホモなのか?」


相川が言う。


「ちげーわ。今井って話したことないからどういう奴なのかなあって思ってさ」


「今井なあ・・・」相川が難しい顔をして言う。


「今井は俺もよくわからんなあ。でもすんごいイケメンだよなあ。白髪だしいつもすかしてる感じがなんとも言えないよな。女子にもすんごい人気があるらしいぜ。まあ、でも俺も今井が他の人と話してるところはあまりないかな。なんか不思議ちゃんって感じ。」


「へえ~」俺は適当に相槌を打つ。


一通り出席確認が終わり授業が始まると、俺はポケットからスマホを取り出し授業を聞かずにネット掲示板をチェックした。我ながらゴミみたいな人間である。


えーと、とりあえずアニメ板とVIPはチェックしてっと・・・・お、あのゲーム新作出るんだ。


授業中はいつもこうだ。ネットサーフィンかゲーム。こんなんじゃダメだって思いつつも授業を聞く気にはならない。何回か授業をちゃんと聞こうとしてみたことはある。でも無理だった。集中力が続かない。でもテストはギリギリではあるが毎回合格している。まあ、試験前に少しは勉強はしてるのでそこらへんは大丈夫だ。さすがの俺も留年はしたくない。医学部というのは結構厳しく、留年も割と平気でさせてくる大学が多い。俺たち3年のクラスにも上から落ちてきた生徒がちらほらいる。


「そういえばさ」


相川が小さな声で言う。


「お前の妹受験は大丈夫そうなの?」


「春奈のことか?うーん・・・あの感じじゃやばそうだなありゃ」


「そうなの?まあ、お前の妹前からアホだってお前言ってたもんな。でもお前の妹可愛いから普通に羨ましいわ。俺の妹なんて腐女子だぜ」


「うわ・・・マジかよ・・・」


俺には高3になる妹がいる。名前は春奈だ。桜木春奈。今も言ったとおり春菜はとても頭が悪い。この間こっそり成績表を覗かせてもらったが総合偏差値はなんと30代だった。っていうかこんな偏差値存在したのかよ・・・。顔は相川の言うとおり確かに可愛い。成績はよかった俺と比べると全てが真逆の存在だ。ほんとに兄妹なのだろうか。


春菜は俺と違って親とは比較的仲が良い。この間は春奈と母親の2人でプリクラを撮りに行ったとか言ったたっけ。


「そういえばさ、桜木って妹相手に会話したりはするの?」


「・・・・うるせえするわ」


「マジか。お前って女の子相手には全く会話無理なんだと思ってた。」


「まあ、流石に妹相手だったらいけるなあ」


相川は俺が女の子を苦手なことをしる数少ない知り合いだった。まあ、多分周りも薄々気がついているのだろうが・・・


「ふーんじゃあ今度俺の妹紹介しようか?」


「遠慮しときます」


相川はニヤニヤしている。


「ところで聞いたことあるか桜木」


相川が笑いを止め小さな声でいう。授業中なのにうるさい奴だ。全然ゲームが進まないじゃないか。


「何をだ」


「タイムマシンの大まかな理論がわかりそうだとかなんとかっていう話をネットで見たぜ。本当かどうかは知らないけどな」


「ああ・・・。そのことなあ。割と話題になってるし知ってる人も多いんじゃないか?」


「っていうことは知ってるんだな。あくまでも大まかな理論だから実用化できるかどうかも怪しいらしいな。」


「まあ、そりゃあそうだろうなあ。タイムマシンが実現したらそりゃあ大騒ぎだ。」


相川が言っているのは3日前あたりからネット上で話題になっていることだ。どうやら日本の一学生がタイムマシンの理論を考えたとかなんとか。理論にまだまだ課題はあるもののタイムマシン実現にむけて大きな一歩を踏み出したらしい。


テレビでも昨日あたりからニュースになり始めている。でもその報道内容はタイムマシン実現云々よりも、まだ若い大学生がここまでできたということを大きく報道しているような気がする。その大学生、名前は吉田誠、はテレビにでてインタビューに答えていた。第一印象はイケメン好青年って感じだ。顔は整っていて髪は黒。質問者の質問にとても丁寧に対応していた。


俺はその報道を見ながら「世の中にはこういう天才もいるんだなあ」と思った。でも俺はああいう人になりたいとは思わなかった。もっと楽に生きたい。もっと静かに生きたい。


「桜木、お前タイムマシンがあったら何したい?」


「そうだな」


俺は考える。


「まあ過去の俺に宝くじの当選番号を教えるくらいかな」


俺は苦笑いしながらそう言ってみせた。


昼になった。相川と食堂に飯を食いに行く。


「でもよ、もしタイムマシンなんてできちまったら色々めんどくさいことにならないのかな?」


相川はよっぽどタイムマシンのことが気になっているようだ。


「めんどくさいことってなんだ?」


「いや、例えばさ『過去に戻って自分の母親を殺すことはできるのか』みたいなことをよくSF小説とかで聞いたりするだろ?」


確かによくある議題だ。


過去の自分の母親を殺してしまえば未来の自分は存在することはできない。


「問題ないんじゃないか?」俺は言う。


「なんでだよ」


「簡単な話だよ。親を殺すことなんかできないからだ。」


「そりゃなんで」


「俺だって難しいことは分からないけどさ」 


俺はドヤ顔しながら続ける。


「未来の俺は存在してるんだぜ?っていうことは過去の母親を殺すことはできないっていうのは確定してるんだ。たとえばお前が過去の自分の親をナイフで殺そうとする。でもその時母親の部屋につく前に転んで怪我をするのかもしれない。あるいは母親は実は部屋にいないのかもしれない。あるいは殺そうとする瞬間にタイムマシンが壊れて強制的に未来に戻されてしますのかもしれない。いずれにせよお前は母親殺害に絶対に失敗するんだ。」


「なるほどねえ・・・。っていうか俺の母親を殺すのはやめてくれ。」


相川が笑いながら言う。


「悪い悪い」俺も笑いながら返す。


「でも俺の言ってることってそんなに間違ってるか?結構的を射てると思うんだけどなあ」


「確定した未来を変えることはできないかあ。まあ確かに一理あるかもな。」


午後の授業中も俺はタイムマシンのことをずっと考えていた。珍しくゲームはしなかった。


タイムマシンで自由に過去と行き来することのできる世界。もしそんな世界があったら俺は何をするのだろう。過去に干渉すれば俺みたいなダメ人間でも少しは変わることができるのだろうか。人と関わりたくない自分を少しは変えることはできるのだろうか。もしかして女の子と会話するのが苦手な俺も変えることができるのだろうか。もしかして親との関係も・・・・。


くそっ考えてて虚しくなってきたぞ・・・。


俺はいつの間にかに眠りについていた。




目が覚めると4限が終わっていた。


「お前寝すぎだろ」相川が言う。


「まあな。オタクは深夜からが本番だからな」


「なんだそりゃ」


「色々あるんだよ」


俺は急いで体育館に向かう。言うのが遅れたが俺はこの大学のバドミントン部に所属している。部といってもとってもほぼサークルののりだ。たまーに試合があるけど勝敗は誰も気にしていない。俺はそんな軽いノリのこの部活が好きだった。でも俺は最近この部活に来るのが億劫になってきていた。人間関係がだるい・・・。決して先輩後輩が悪い人なわけではない。むしろいい人達ばかりだ。でもやっぱりみんなでわいわいするのは俺の性分にあわんなって感じだ。


体育館に入ると美紀が駆け寄ってきた。俺は途端に挙動不審になる。美紀は同学年の2年生だ。


「桜木君春合宿は出席する?まだ出席届けでてないけど」


「う、うーんどうしようかな。とりあえず明日までにメールをするよ」


自分でも顔が引きつっていつのがわかる。


「わかった~。じゃあ明日までにメールお願いねえ。っていうかさあ」


美紀がニヤニヤしながら続ける。


「桜木なにそんなにおびえてるの~?」


「おっ桜木また女の子に言い寄られてるのか?モテる男はつらいねえ」


部長の葛城さんまでよってきた。葛城さんはこのバドミントン部の男子キャプテンで不真面目な俺に対してもいつも良くしてもらっている。ついでにバドミントン部は男子女子合同だ。


「勘弁してくださいよ・・・部長までからかわないでください・・・」


「だって葛城さん。桜木の奴、絶対に私と目もあわせてくれないんですよお。ひどいと思いません?」


「そうだなあ・・・桜木は相変わらずだなあ・・・」


美紀は元の場所へと戻っていく。


俺は胸をなでおろした。どっと汗が流れているのがわかる。


やっぱり女の子は苦手だ。何を考えているのかがさっぱりわからない。内心どんなことを考えているのだろうか。俺のことをやっぱり馬鹿にしていたりするんだろうか・・・。


はあ・・・女の子と普通に話せるようになりたい・・・。


部長が練習開始の合図をだす。


「えーと、今日は新入部員が一人いまーす!」


急にざわつく。バドミントン部はもともと人数がとても多い。うちの大学の中でも2番目に人数が多い部活だ。全部で60人くらいいる。


ついでにうちの大学の部活は少し特別で、部活にはそれぞれ全学部用、医学部用の二つが設けられている。医学部の生徒の殆ど全員が医学部用の部活にはいる。もちろん全学部用の部活にはいることもできる。医学部以外の生徒は全学部用の部活にしか入ることができない。これは医学部が別キャンパスにあることによる。


医学部生が全学部用の部活に入ることのメリットとしては、全学部用の部活のほうがレベルが高い、ということだ。バドミントン部も例外ではないが、医学部用の部活はレベルが低い部活が多い。これは医学部は勉強が大変なことによる。


「おっマジか」「え?誰々?」「この時期にか?」


「前にでてきてくれ~!」


白髪の好青年が部長の横にすっとでてきた。

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