穴馬になっちゃいな
・・・・馬?
・・・なにが?
みんな、てんがなにを言ってるのか理解できない様子
でもかまわずてんは続ける
「競馬の競走馬のことだけどねっ」
・・・競馬? 馬?
ここは高校、教室、そこでいきなり競馬の話? みんな理解できなくて当たり前
しかしかまわずてんは続ける
「競走馬が生まれた時はみんな期待するのよ、どんな馬になるのかって、すごい馬に育ててやろうとか
この馬ででっかいレース勝ってやるぞー、とか」
「・・・・・・・・」みんなただ黙って聞いていた
「そんでレースで勝ったりするとまたみんな期待する、そして次のレースもまた次のレースも勝ったりする
とますます期待する、この馬すごーいってG1レース勝てる器だとかいって」
「・・・・・」
「でも・・・いつか・・・負けるときが来る、そうするとみんな・・期待しなくなる、あぁこの馬も
ここまでかって、・・・それで、みんな、次に生まれる馬に期待する・・・」
「・・・・・」
ひかるは思った
・・・たしかに、なにか言ってくれて助かったけど・・・なにが言いたい、てん!これじゃあ余計に
暗くなっただけじゃん・・・
しかしここでてんのしゃべるトーンが急に明るくなり続けた
「でもね、でもね、でもねっ、こーんな期待されなくなった馬がある日、本気出しちゃって、でっかい
レース勝っちゃうことがあるのよねぇ、これがいわゆる穴馬ってやつ、大穴開けるってやつ、だから・・」
「・・・・」
「だーかーらっ、・・・みかさんも・・穴馬なっちゃいなよ!」
・・・はっ? 何? どういうこと? とみんなが思っている時
あっ! ひかるが気づいた
「そうか!そうよ!それ、おもしろいかも!・・・みか!」
みかがきょとんとした顔でひかるを見る
「みか!今度のテストでさぁ、すっごく勉強してすっごくいい点とればいいのよ!でさぁ、お母さんを
見返してやれば!」
みんなも口々に言った
「それ、いいな!」「おもしろいかも」「反応、楽しみっ」
「がんばろうよ、みか、わたしも応援する!穴馬、なっちゃいなよ!」
暗く沈んでいたみかの目が輝きを取り戻した




