ランチ討論会
午前中の授業が終わってお昼休み
みんなが昼ごはんを食べようとした時、ひかるが教壇に立ち叫んだ
「お食事中のとこすみませーん、立ってる人は席についてくださぁーい、あ!そこ
教室から出ないでね、もう、出られないよー」
「おいおい、なんかは始まんのかぁ?」
みんながざわめく
「はい!これからランチ討論会を始めまぁーす」
「聞いてねぇぞ」
「またサプライズかよ」
「はい!サプライズでぇーす、あ!ごはんは食べながらでいいよー」
・しょうがねえなぁ、という感じでみんなひかるに従う、このへんがひかるのカリスマ性というか人徳
というか、憎めない所
「それではみんなそろってところで、討論のお題は・・・親!、両親についてでぇーす」
うつむいて座っていたみかの背中が少し反応した
「それでは最初は、どんなむちゃぶりにも必ず答える早乙女くんから行きまーす」
「え、・・・なんでおれ?」
ぼさぼさの頭の男子が言った
「いいじゃん、いいじゃん、どんなむちゃぶりにも答えられる早乙女くんでしょう?・・・ね、早乙女くん
の両親ってどんな人?」
「両親?・・・あぁ、・・かあちゃんはバカ。このあいだなんかさあ、家の庭を犬みたいにくんくんにおい
かぎながら歩いてやんの、なにしてんだ?って聞いたら、くさい!なんかすっぱいにおいがする、なんか
くさってるっていうもんだから、庭でてみたらよう、おまえこれ、庭にあるキンモクセイのにおいじゃんか
よう!って」
・・・ハハハ・・・・
微妙にうけた笑いが教室にただよう
これを受けてひかるが言った
「う~ん、最初のつかみにすればとてもいい話ね、やっぱ最高!早乙女くん・・・ナイス。ほかに
親のことでいいたい人、いるかな?」
「うちの親、ケチだからキライ」
ヤンキーっぽい女の子がけだるそうに言った
「どういうところが?」
「だって、携帯、買ってくれないし・・」
「その手に持ってるのは携帯じゃないかな?」
「もう一台ほしいの、ほら・・・タッチパネルのやつ」
「タッチ?・・・ああ、スマホのことね!」
「そう、それぇ」
「う~ん、でも、スマホのことタッチパネルって言ってるようじゃ買わない方がいいかな、使いこなせない
と思うよ。ほか、ないかな?」
そのあともいろいろなエピソードが続いた
「おれのうち、母親いねぇけど、おやじが母親化してきてよう・・」
「なんだそれ?」
などわりと盛り上がった
ひかるがてんに話をふった
「的場さんとこはどんなご両親?」
てんがさらっと言った
「あ、うち、両親、いないですぅ」
「え!」とひかるがまずいことを聞いたなと思ったら
「でも、おじいちゃん、います、医者みたいなことやってるんですぅ」
・・医者みたいなことってなんだ?・・でもこの話は置いとこう、長くなりそうだし・・そろそろ核心に
話をもっていかないと・・・
そしてひかるが言った
「三枝さん、三枝さんのお母さんはどんな人?」