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45話 魔王と幸福の街3

「この街全体に精神魔法がかかっている?


しかし、リリスとベルは何も起きていないように見えるが⋯」


「うーん、忘れたこと自体を忘れちゃうなら、どうしようもないけど⋯。ただ私の場合は、そもそも一番大事な思い出はナラクでベルを引き取るときに質に入れちゃったからね」


リリスがニカッと笑う。


「ベル、そもそも思い出、ない。。。さんだいめ、拾われてから、じんせい、始まった」


アークはそもそもリリスが思い出を質に入れたという初見の情報に戸惑いつつも、状態が見えてくる。


「ヴァルガスと私だけが狙われたわけでも、2人だけが対象外だったわけでもない。


となると⋯」


アークは空に向かって魔法解析を行う。


ーーー魔法検出『防御魔法︰入口隠匿』


ーーー魔法検出『防御魔法︰入口隠匿』


ーーー魔法検出『防御魔法︰入口隠匿』


「ちっ、気付いてはいたが、何重に張っているんだ!!」


それを数回繰り返して。


ーーー魔法検出『精神魔法︰忘却』


ーーー魔法検出『概念魔法︰郷愁』


「大規模かつ複雑、街全体を包む防御魔法に紛れ込ませるとは、相当に性格の悪いやつがものだな。」


解析の結果、この村を覆っているのは、高度な精神干渉魔法と判明した。辛い記憶を消去し「時を止める魔法」。


ここは、何もかも忘れて、郷愁に浸りながら今日という一日を永遠に繰り返す場所なのだ。


「醜悪よ。わざと魔法にかかってるなら現実からの逃避だし、知らずにかけられているなら、呪いにしても、たちが悪すぎるわ。」


リリスが顔をしかめる。


そんなとき、宿に借りている厨房から、軽快な包丁の音が響いていた。

 アークたちが降りていくと、そこには鼻歌交じりに野菜を刻むヴァルガスの姿があった。


「ようゾルターク!


遅いお目覚めだな。ほら、味見してくれ。今日のスープは傑作だぞ」


ヴァルガスがアークの背中をバシバシと叩く。その屈託のない笑顔は、アークが一度も見たことのない、若々しいものだった。


「……ヴァルガス?」


「なんだよ改まって。


……ああ、緊張してんのか? もうすぐだったか、レイアのこと。」


アークとリリスは顔を見合わせた。


「リリス。……どうやら父上と混同しているようだが、話は一旦合わせよう。


解析を続けているが、高度な精神魔法だけに無理やり解除はしたくはない。どんな影響があるか分からない。」



「りょ、了解。……でも、なんか調子狂うわね」


食卓には、豪華な料理が並べられた。


「へへっ、こいつを食って気合を出せば、レイアもイチコロさ。プロポーズは成功間違いなしだ」


ヴァルガスは嬉しそうに語る。


「それで⋯だ。


ゾルターク、俺は⋯騎士を辞めたい。」


「えっ」「何?」



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