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覚悟と共生

翌日からノエリアは塞ぎ込んでいた。

食欲もほとんど失せリムロスが下界で調達してくる食べ物を

口にしたりしなかったり

眠る時はリムロスに包み込まれていたが

無気力なのはリムロスから見れば明らかだった。

時々現れる無謀な冒険者はリムロスが全て相手にしていた。


逃れられない運命という物はある。

数か月の後リムロスは苦痛の選択でノエリアに非情な現実を

突きつけなければならなかった。


エンシェントドラゴンは食物連鎖のヒエラルキーの

最上位に位置する、ほぼ無敵の生物である。

従って子孫を残すのは一万年に一度程度

ヒエラルキーの低い生物は子孫を残すために

大量に出産する。

エンシェントドラゴンはその逆なのだ。

子孫を残す事はそんなに重要ではないのである。


そしてもう一つの性質がある。

体の若返り転生と呼ばれるもので

大体一万年に一度の頻度で自らを幼体に戻す

これを繰り返し永遠の命を手にしているのだ。

その時が、すぐそこに迫っていた……


『ノエリア少し聞いて下さい。』

真剣な面持ちでリムロスは語り掛けるが

ノエリアの気は塞ぎ込んだままである。


『あなたはこれから一人で生きて行かねばなりません……

私はこれからある儀式を行い弱くなります。

従って人の立ち入れない秘境に行かなければなりません。

あなたはそこでは生きて行けないでしょう。ですから……』

リムロスは言いかけると

ノエリアは驚愕の表情をして語気を強く言った

『リムロスも私を捨てるの?!!』

母の死別から立ち直っていない少女にとって

酷な話だ……


『嫌だ!!もう大事な人と別れるのは嫌だ!!』

母の顔が脳裏を横切り涙を浮かべ怒気を強める。


『……そうですか……あなたはわたしを護る覚悟がありますか?』

リムロスは静かに問いかけた。


『そうしたら、これからも一緒に居られるの?』

一筋の救いを感じ取ったノエリアは穏やかに言った。


『……はい。これは貴方が私を護れなければ私は死ぬことを意味します。

それでもあなたは私を護り共に生きることを望みますか?』

リムロスは覚悟の決まった穏やかで冷静に言葉を放つ。

エンシェントドラゴンの個の延命の提案としては愚の骨頂である


『頑張るよ!私!絶対何とかする!

離れたくないもんっ!!!』

先ほどまでのノエリアはそこにはいなかった。

確固たる決意を眼差しを湛え、答える。


『……分かりました。貴方と生死を共にしましょう。

それでは儀式を始めます。

数日かかりますので冒険者が来たら対処してください。

任せましたよノエリア。』


『我が肉体!幼体に戻りて更なる生を!』

そう言うとリムロスは光に包まれ体が縮小してゆく。

30cm近くにまでなると周囲に卵の殻を形成した。


ノエリアはその卵を温めるよう愛おしそうに抱きしめた。



数日後



卵の殻が割れ、中から出てきたのは虹色の鱗ではなく

アルビノの様な真っ白な幼ドラゴンであった。

これはエンシェントドラゴンの特性で

擬態とでもいうべきであろうか、冒険者に狙われにくくするためである

ホワイトドラゴンはペットとして浸透しているからだ。

リムロスは、まだ上手く立ち上がれず、すぐにその場にうずくまった。


『リムロス?』

ノエリアは尋ねた。


『……』

返答はない。幼体そのものなのだろう。

生まれたてと同じで何もできないのだ。

ノエリアは幼体のリムロスを包み込むよう寄り添った。


数日もすると会話ができるまでになった。

『リムロスご機嫌は如何?』

『まぁまぁでしょうか。守ってくれてありがとう。』

『何言ってるの!そんな仲じゃないでしょ。当たり前!』

ノエリアに笑顔が戻っていた。

それにリムロスは安心し、選択は間違っていなかった

そう思った。


『それでは持てるだけの財宝を持ってミルナの小屋に移動しましょう。』

リムロスが言うと一瞬ノエリアは躊躇したが頷いた。

何度か往復し随分少なくなっていた財宝を小屋に移動した。


『あれ?こんなに少なかった?』

ノエリアが言った。


『そこの戸棚を開けてみて。』


ノエリアは戸棚を開ける。

『わぁ!すごーい!』

戸棚には金貨が詰まっていた。


『私は貴方とミルナで生活できるよう

彼女に頼んで行商人と交渉してもらい

宝物を金貨に変えてもらっていたのです。』


『お母さん……』

少しノスタルジアに浸るが気持ちを切り替える。


『これだけあれば街での暮らしが出来ますね。

貴方には世間を学ぶ必要があります。

暫くはここで残りの財宝を行商人と交渉し金貨に変え

暫く暮らし他国の街へと移動しましょう。』


『うん!』

ノエリアからは元気な返事が返ってきた。


その様子を見たリムロスは安堵の表情を浮かべた。

二人の新しい生活がはじまる。

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