ネイル
流行
時代と共に流行は移り変わる
髪型や服装、音楽
「ほんとにすごいわ」
今年の流行りは「縄服」「片側ボブ」「味付きネイル」
流石に前の二つをやる勇気はなかったけれど
ちょうどばらつきが出てきた私の爪を
流行に乗せてみようと思った。
どういうわけか、近年はいわゆる「においフェチ」
の人口が増加していて
香水や ヘアオイルはもちろん
この「味付きネイル」がヒットしたらしい。
自分の好物の果物の香りやお菓子の香り
どこか誘われる懐かしさから気を奪われたり奪われなかったり
円満な夫婦やカップルは爪を舐めたりするらしい笑
そこまでは願わないが私にはどうしても落としたい男がいる。
彼についてあまり詳しくはないが、「食べること」が好きと言う情報を耳にした。
彼の好きなスイーツやお菓子を人伝に聞き周り
「バニラ」が好きと言うことがわかった私は
白ベースにソフトクリーム味のネイルをした。
「うん。香りもいい」
そのまま、彼をご飯に誘ってみた。
運良く都合が合い待ち合わせした場所へ
飲み物を頼み、ご飯が来るまでの間のこと
「そのネイルかわいいね」
よしきた、流行りには乗れないものの
自分が持ってるもの、髪型、美容、全てを
最大限まで引き出した今日
私の見据えたゴールまで一歩とは言わず、十歩ぐらい進めたのではないだろうか。
と、幸せそうにご飯を食べる彼をみながら私は考えた。
「ご馳走様でした」
自分の昔話や、今後のことなどたくさん話して
最後の帰り道
「よく食べるね、みててこっちが幸せになる」
「そうかな(笑)僕、この満腹感が好きでさ、でも、生憎鼻が少し悪くて、って言ってもご飯の味はわかるよ!?」
あまりの衝撃に私は激しく動揺して
「あ、そうなんだ、ちなみにどんな子がタイプなの?」
と唐突に聞いてしまった
「大きく見える部分で自分を出せる人かな〜、ご飯もそうだし、それこそ!縄服とか片側ボブみたいな(笑)
じゃあ、僕こっちだから ばいばい!」
呆気に取られた私は手を振りながら口をぱくぱくさせた。
全てが順調だと思い込んでいた私は
恥ずかしさと悔しから指を咥えていた
ほんのり香るバニラ 爪が甘かった
ほろ苦い