11、次のオーダー
工場地帯を抜け出し、ようやく自動車に戻り着いたころには、すでに朝日が昇り始めていた。二人とも疲労の色を隠せないものの、無事に切り抜けた安堵感が漂っている。
「腹減った……」とラファが呟き、近くに見つけたカフェに立ち寄ることにした。
カフェのカウンターで
「サンドイッチ二つと飲み物をテイクアウトで。」ラファが手早く注文を済ませる。
注文を受け取ると、二人は車に戻り、それぞれ飲み物を手にした。
ラファがカフェラテ、シオンがホットミルク。
助手席でホットミルクを少しずつ飲むシオンを見て、ラファは心の中で小さく笑った。
(やっぱり身長が低いから? ホットミルクって……子供か。)
だが口には出さず、サンドイッチの包装を剥がしてかじりつく。シオンも同じように朝食を取るが、その目はどこか遠くを見つめていた。
「この街で最低限の物資を揃える必要がある。」食べ終えたシオンが真剣な顔で言う。
ラファは飲みかけのカフェラテを持ちながら問いかける。
「最低限って、何を揃えるの?」
シオンは指を折りながら、次の計画を淡々と話し始めた。
「まず、護身用の武器になりそうなもの。君も私も、あいつのような奴がまた来たら無防備ではまずい。」
「それは分かるけど……」ラファが少し不安げに口を挟む。
「次に、1週間分の食料。いつまた街を出ることになるか分からないし、途中で手に入らない可能性もある。」
「なるほどね。」ラファが納得したように頷く。
「最後に、この車に代わる乗り物だ。」
「車を捨てるの?」ラファは驚いた表情を浮かべる。
シオンは慎重な口調で続けた。
「チェイサーが追いついてきたのは、この車に発信機が付いていたからだ。もう安全ではない。それに、この車では目立ちすぎる。もっと目立たない移動手段を手に入れたい。」
ラファは少し考え込んだ。
「そうね……でも、この街で全部手に入るかな?」
シオンは一瞬目を閉じ、疲れた様子で額を押さえた。
「手に入れなきゃならない。時間がないんだ。」
その言葉にラファは口を閉ざし、真剣な表情でシオンを見た。やるしかない――そんな覚悟が、二人の間に静かに流れた。
朝の光が車内を照らす中、二人は次の行動に向けて準備を始めるのだった。