表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/49

11、次のオーダー

工場地帯を抜け出し、ようやく自動車に戻り着いたころには、すでに朝日が昇り始めていた。二人とも疲労の色を隠せないものの、無事に切り抜けた安堵感が漂っている。


「腹減った……」とラファが呟き、近くに見つけたカフェに立ち寄ることにした。


カフェのカウンターで

「サンドイッチ二つと飲み物をテイクアウトで。」ラファが手早く注文を済ませる。


注文を受け取ると、二人は車に戻り、それぞれ飲み物を手にした。

ラファがカフェラテ、シオンがホットミルク。


助手席でホットミルクを少しずつ飲むシオンを見て、ラファは心の中で小さく笑った。

(やっぱり身長が低いから? ホットミルクって……子供か。)


だが口には出さず、サンドイッチの包装を剥がしてかじりつく。シオンも同じように朝食を取るが、その目はどこか遠くを見つめていた。


「この街で最低限の物資を揃える必要がある。」食べ終えたシオンが真剣な顔で言う。


ラファは飲みかけのカフェラテを持ちながら問いかける。

「最低限って、何を揃えるの?」


シオンは指を折りながら、次の計画を淡々と話し始めた。

「まず、護身用の武器になりそうなもの。君も私も、あいつのような奴がまた来たら無防備ではまずい。」


「それは分かるけど……」ラファが少し不安げに口を挟む。


「次に、1週間分の食料。いつまた街を出ることになるか分からないし、途中で手に入らない可能性もある。」


「なるほどね。」ラファが納得したように頷く。


「最後に、この車に代わる乗り物だ。」


「車を捨てるの?」ラファは驚いた表情を浮かべる。


シオンは慎重な口調で続けた。

「チェイサーが追いついてきたのは、この車に発信機が付いていたからだ。もう安全ではない。それに、この車では目立ちすぎる。もっと目立たない移動手段を手に入れたい。」


ラファは少し考え込んだ。

「そうね……でも、この街で全部手に入るかな?」


シオンは一瞬目を閉じ、疲れた様子で額を押さえた。

「手に入れなきゃならない。時間がないんだ。」


その言葉にラファは口を閉ざし、真剣な表情でシオンを見た。やるしかない――そんな覚悟が、二人の間に静かに流れた。


朝の光が車内を照らす中、二人は次の行動に向けて準備を始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ