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昨日、目障りだったやつを追い出した。


薄気味悪い仮面をつけた幼馴染。


仮面のせいで、特に女にモテたり、他のパーティーメンバーと付き合ったりという心配がなかったから側に置いていたが、もうその必要もない。


最上級のヒーラーである聖女が合流するという知らせが届いたのだ。


合流先は王都。これからは王都が活動拠点となることだろう。


この知らせを聞いた時、アルトは事前準備をしていてよかったと思った。


偶々ハーレムパーティーを組もうとして、優秀だと気が付かず、仲間を追い出し、大失敗した先輩を見ていたアルトはずっと前から…パーティーを組んで少しのあたりから、こんなこともあろうかとマインの実力を測っていたのだ。


そして、出た結論はやはり優秀の一言。


ヒーラーとしての能力は冒険者内でも随一、さらには武闘家としての格闘技術も備えており、おそらくアルトの勇者パーティーで一番の実力者であるのは間違いない。


それなのになぜ?


そう人は言うかもしれないが、武闘家としての能力はメイリンにもあり、彼女の才能はやはり素晴らしいものであ?。そして、聖女。噂を聞く限り、彼女のヒーラーとしての能力がマインに劣るとは思えなかった。


つまりマインの一人二役というのは魅力的だが、それは()()()()で補えてしまうのだ。


これならば、夢のハーレムパーティーにしても問題ないことだろう。


王都で追い出すことも考えたが、それはあまりにも外聞が悪い。


幸いにも王都までの道のりは険しくもなんともない。


ヒーラーはヒールを使える、アルトに惚れている受付嬢のタバサでもいれば十分に事足りるだろう。


これでマインなんてやつがいなくても問題はない。完璧だ。


そう勇者アルトが馬車の中でほくそ笑んでいると、不意に馬車が止まった。


「なにかあったのか?」


アルトがそう口にすると、御者をしているイセリアの横に座っていたメイリンの大声が聞こえてくる。


「敵はオーク。数は2体。」


なんだ…オークか…。


アルトはミリアンたちと外に出ると、前衛2後衛3の陣形を作り、相対する。


Cランクのオークは確かに耐久力もあり、厄介な相手だ。中堅冒険者でも簡単には倒せまい。


しかし、アルトたちはAランクパーティー。


こんなやつは油断さえしなければ問題にならない。


でもまあ、普段受付嬢のタバサはこんなことには慣れていないため、顔を青くしていたので元気づけてやると、安心したような様子を見せたので、リーダーらしく指示をしようと思う。


まずはイセリアとメイリンが壁となり、ヘイトを集め…。


「いくぞ、メイリン。」


「オッケー、さっさとヤるよ!!こんなザコ、このメイリン様の相手になんかならないんだから!」


アルトがそう指示を出そうとすると、2人はそれを聞くまでもなく飛び出して行った。


…流石に手慣れている。


「ブモォォォーーーッ!!」


オークの力強い剣をイセリアは難なく受け止め、押し返し、一撃。


「フンッ!」


「ブモォッ!?」


それによって、深くはないが傷が刻まれる。このようにイセリアは繰り返しており、その戦いは安心して見ていられた。


そして、その隣のメイリンはというと…。


「へへ〜ん!当たらないよ〜っだ!!ザコザコジャ〜ッコ!!」


オークの振り下ろしを避けては、何発も拳を打ち込み…と、見事なヒットアンドアウェイでオークをスピードで翻弄していた。


やはりマインなどいなくても問題などない。アルトは慎重にも、今、それを確信していると、アルトがそんなことをしている間も詠唱をしていたらしいミリアンの視線が咎めるようなものであったことに気がつき…。


「…悪い、急ぐ。雷よ…それは力の象徴にして…。」と詠唱を始め、程なくして…。


「【フレイムピラー】」


「【サンダーボルト】」


火の柱に天からの雷。ミリアンとアルトの魔術が組み上がり、その一撃でオークはおしまい。


その決着はあまりにも呆気ないもの。


イセリアやメイリンに掠りかけたのは、驚いたが、それは誤差の範囲内。なにも気にすることはあるまい。


すると、パチパチというタバサの拍手。


凄いですねと褒められたのに気を良くしたアルトは、疲れただろうと少し早いが休憩を取ることにした。


丁度2体ものオークの丸焼きができたことだし。まあ、素材は売れないけど仕方がないな。


アルトとしては、このパーティーでの初陣はなんとも満足のいく結果となった。


「「……。」」


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