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6

「テメェら、人の店の前で……って、ああ…マイン、お前か…。」


マインはマリアに襲われていた。


「ご無沙汰…というほどではありませんか、ドンキさん、こんにちは。」


「おう。」


ドンキに案内され、店の中に入るマインたち。すると、マリアは店内を見渡し、なんとも言い辛そうに口を開く。


「ご主人様…この店は…。」


マリアのその言葉になんとなく言いたいことを覚ったマインは笑って誤魔化した。


「えっ…えっと……まあ…あはは…。」


マインがそんな態度を取っていると、一度奥に戻ったドンキが戻ってきて、投げやりに口を開いた。


「ど〜せ、俺に武器を作る才能はねぇよ。」


ドンキの言葉にマリアはあっ…ヤバっ…というふうに表情を変えていた。


しかし、ドンキのその言葉には続きがある。


「でもな…鍛冶師としちゃ終わってる俺にも一応そこら辺の才能ってやつがあるみたいなんだわ。」


ドンキは布をそっとテーブルに置く。


それをドワーフの粗さからは想像もできないほど丁寧に開いていき…。


「こ、これは…。」


その中からは一振りの剣が現れた。


現れたそれをどうぞとばかりに置いたドンキ。


それにマインは微笑んでおり…。


マリアは恐る恐るといった様子で、その輝かしいそれを手に取る。


「……素晴らしい。ミスリルソードか…。」


マリアの口から思わずそんな言葉が出る。


「まさかいけ好かないエルフからそんな言葉が聴けるとはな。」


「いや、良いものは良いだろう。それに今の私は種族の差別などしない。本当に凄いぞ、ドンキ殿。」




「…やめろよ、照れるじゃねぇか。」




「しかし…このミスリルソードと店にある武器の差…これは一体なんなのだ?」




「ドンキは腕の良い研ぎ師なんです。」


「なるほど…そういうことか…。」


そう、このミスリルソードはマインが提供したもの。正確には、元パーティーメンバーである人物たちのサブ武器になる可能性があった(過去形)ものである。サブやサブになる予定のものはマジックバッグを持つマインが預かっており、サブはともかくその他のものはマインの好きにしていいと言われていた。


ちなみに現在、返す機会がなかったので、彼らのサブ武器は全てマインが持っており…と、それは今関係のないことか…。


とにかく、あのパーティーで剣を使うのは、2人なのだが、その2人ともが剣で相手の攻撃を受け止めることもあるからか、その剣身の細さを嫌がり、忘れ去られ死蔵されていたのである。


マリアはエルフということもあり、かなり身軽なため、回避型の戦術をするのではと思い、彼女と知り合ってから、マインに所有権があるこれをドンキに預けていたのだ。


「このミスリルソードはマインの持ち物だ。…どうだ?俺にがっかりしたか?」


「いや、そんなことはない。ドンキ殿の腕あってこそだ。」


「…やめろよ、照れるじゃねぇか。」


我慢しきれなくなり、とうとうポリポリと頬を掻くドンキ。それに対し、マインはマリアにドンキはもっと凄い人なんですと口を開き、褒め殺そうとする。


「それにドンキにはもう一つ素晴らしい才能があるんですよ。それは…。」


…そう続けようとすると、店構えからして、店に入る時には絶対にしないであろう丁寧なノック音が聴こえ、ドンキの「はいよ〜。」という声に反応して、ドアが開いた。


「ドンキ様〜、頼んでいた壺はできていらっしゃいますか〜?」


こびこび。



そして、その頃、マインの元仲間の一人の武器が悲鳴を上げた。


ピシリッ!


剣身にヒビが入ったのである。


「っ!?や、ヤバい…よ、予備の武器は…って、マインに預けたままじゃねぇかっ!!」


…まあ、何日も森で戦い続ければ、こういうこともある。


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