表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーラーですが、追放されて一日と経たずに子供の頃イタズラでつけて取れなかった呪いの仮面が割れました  作者: 無味あり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/24

11

マインは昨日のミラの提案を受け、奴隷商を訪ねてみることにした。


奴隷商があるのは、昨日の飲み屋街のさらに先の大人の街、いわゆるこの街の花街にあたるところにあるらしい。


正直、花街はマインにとって馴染みあるところではない。精々アルトを何度か呼びに来たくらいのところ。


そんなマインからすれば、そこは物珍しく、自然と視線があちらこちらへと向く。


大きく派手な佇まいの店、今は人はいないが品定めするためにあるとオイクに聞いたことのある檻のようなところ、そして…。


「あら?」


「?」


カツカツカツ。


「どうかしたの僕?迷子?」


高そうな服を着た、綺麗な赤髮の背の高い女性がどこか優しげな笑みを浮かべ、マインにそう尋ねてきた。


どうやらマインがあまりにもキョロキョロとしているから、そう思われたらしい。


「えっと…迷子じゃないです。ちょっとお店を探していて。」


「あら、どんなお店かしら?今の時間帯だとほとんどのお店が閉まってるのだけど?」


「えっと…実は奴隷を買いに…。」


「ど、奴隷っ!?」


そうお姉さんは驚いた様子を見せると、次第に顔が赤みを帯びてくる。


マインは彼女の表情の変化に戸惑い、思わず尋ねた。


「な、なにか変でしょうか?」


マインのその様子はまったく邪気などないもの。


それが寧ろこのお姉さんには性癖ドストライクで…。


「そ、そんなこと…ハアハア…ないわ…。(こ、こんな…び、美少年のど、奴隷…ハアハア…。)」


…女性の本性が真理の扉の中から飛び出し始めていた。


しかし、そんなことにマインは気がついた様子もなく、急に呼吸を乱し始めた女性を気に掛ける。


「お姉さん大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫よ…ハアハア…。(だ、ダメな世の中ね…ハアハア…ま、まさか…こ、こんな美少年が当たり前のように…朝っぱらから、せ、()()()を見繕いに来るなんて…。)」


さらにひどくなっていく呼吸。このままでは過呼吸にでもなってしまうと思ったマインは本気で心配して、こんなことを提案した。


「こんなに汗もかいて…大変です。ちょっと肩失礼しますね、どこかで涼しいところで()()でもしましょう。」


「ご、()()()っ!?(ま、まさかの私をエッチな奴隷にっ!?イケナイ…じゃなかった!いけないわ、そんな…そんな…じゅるり…ハアハア…。)」


そんなやりとりを交わすマインとお姉さん。


お姉さんはもう半分理性を失った状態で、ちょっと休める場所として、自分の店に連れ込むことなんかをハアハアしながら、考えていた。


マインは実のところ、絶体絶命のピンチ。


すると、神が遣わしでもしたのか、偶々通りがかったお姉さんの知り合いが声を掛けてきた。


「アタナシア。あんたこんなところでハアハアして何してるの?」


「…あれ…メリッ…サ?」


メリッサの冷めた目に曝されたことで、お姉さんこと、アタナシアの目の中にあった情欲の色が消え始め…。


「こ、こほん。えっと…僕、こちら、私の知り合いのメリッサ。奴隷商をやっているの、だからこのお姉さんになんでも聞くといいわ。」


アタナシアはすっと姿勢良く立ち上がり、まるで何事もなかったようにそれじゃあとマインから離れていく。


「だ、大丈夫なんですか!!お姉さん!!」


「大丈夫大丈夫。私はアタナシア。普段、そこの【夜恋華】にいるから、それじゃあ。」


体調が良くなったのはよかったが、急に捲し立てるようにして言葉を吐き出し、逃げるようにして店に入っていくアタナシア。


そんな彼女マインは…


「えっと…はい。」


…と呆然と呟いた。


もう一人のメリッサなる女性は危なかったわねとマインの肩に手を置かれ、マインは小首を傾げ…。


「こっちよ。」


というメリッサの声に大人しくついて行く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ