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句朗はすぐに入の部屋を訪ねた。ヘビから、新しい知らせが入ったのだ。
彼の仲間が、古井を助けるために、名法師の屋敷に侵入したらしい。ヘビという人物とその協力者について、何の情報もないが、並外れた行動力の持ち主のようだ。ヘビが言うには、侵入した仲間との連絡が途絶えているそうで、句朗と入はすぐに準備を始めた。
知らない誰かのために危ない目に遭うつもりはないが、じっとしてはいられない。様子だけでも見に行くことにした。
「ハルバに相談してみようか」
前の時みたいに、彼が内側から鍵を開けてくれれば、侵入もたやすくなるだろう。入は渋ったが、結局その方がいいと判断した。
「木偶」
句朗が木偶を呼ぶと、木偶はすぐにふわりと浮かび上がり、句朗の頬に触れた。木偶の中の浮文紙を取り出し、ハルバへ協力をお願いする文章を書く。
ヘビのことは伏せ、もう一度調べたいことがあると伝えた。紙を戻すと、木偶は再び目の前に飛んできて、カタカタと身体を震わせた。
「返事が来たのかも」
入が言う。
木偶の中身を確認すると、今度はヘビから連絡が来ていた。
『こちらの仲間は、前にあなた方が教えてくれた、地下にある黒い扉の奥へ侵入を試みたはずです。解呪の用意はしていたため、術がかけなおされていないのであれば、鍵が開いているかと思います。こちらの仲間も、その扉の先で捕まっている可能性があります』
「ハルバからも返事が来た」
入がその隣に紙を並べる。ハルバは、快く了承してくれた。時間と集合場所を決め、今日の夜、侵入することが決まった。
本題とは別で、ハルバからの浮文紙に書いてあった相談ごとが気になった。
『今日の昼、ヨア様が急に変になった。いつもの怖い顔じゃなくて、何かを心配するような顔で、俺に『夕食の後のお茶を飲むな』と言ったんだ。ヨア様ときちんと目と目が合ったのは、初めてかもしれない。それから、また急に、普段のヨア様に戻ったんだ。どういう意味か分からないけど、もし夕飯の後にお茶を勧められたら、飲まないことにする』




