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魔法と剣のダリア球  作者: 澪
第一章 ダリア球で生きて行く為の礎
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第九話 監視カメラ

 学院長から手紙を受け取る。

〚急な話で悪いが明日はどうだろうか? 教員も二十人参加可能〛

 手紙を持ってオーウェンの部屋の前に行き、ノックする。扉が開くと室内に差し込む光が重厚感溢れる家具と、オーウェンの聡明さとが相まってとても落ち着きます。天蓋ベッドを覆うレース・ベッドカバー・枕カバー・カーテンは、爽やかな白と変わらない薄いグレーで統一している。

(素敵だわー、あっ、いけない。ふぅ)


「クリスタルどうしたの?」

「お兄様、明日、時間ありますか?」

「大丈夫だよ!」

「学院長から〚明日監視カメラの設置はどうか?〛と、手紙が来ました」

 手紙を差し出す。オーウェンは手紙を読み終え、

「良いよ。クリスタルの頼みなら」

「ありがとう! 明日はよろしくお願いいたします」


 オーウェンの部屋を出て自分の部屋に戻った。

(お兄様のお部屋も素敵! 家具は色違いかな? 私はダリアの刺繍だったけどさすが嫡男! 大公の紋章かぁ、嫡男は大変だな。 はぁー、ほうじ茶飲みたい!…………やってみるか!)


創造魔法!『ほうじ茶』コンミニの冷たいほうじ茶が出てきた。

「ウヲ――ォ―!」ヤバイ大公令嬢らしからぬ声が出た。(反省、反省)

 早速飲んでみる。

「あぁー、おいしいー」

(よーし! お兄様にも)

創造魔法! 『ほうじ茶』


「お兄様!! お兄様!!」

「どうした!? クリスタル」

「これ飲んでください! 冷たくておいしいですよ!」

 オーウェンは見たことのない不思議な文字が書かれているものを見て不安そうにクリスタルを見るが、クリスタルの素直な目を見て決心した。


「蓋があかないよ」

「こうやって回すのです。はい! 飲んでみて!」

 一口飲むと、オーウェンは、驚いた顔をしたと思ったら、また飲みはじめた。クリスタルも一緒に飲む。

「美味しいよ! 冷たくて気持ちいいね! 口の中がさっぱりするよ!」

「そうでしょう――! そうでしょう――! 美味しいね!」

 オーウェンの部屋でほうじ茶の話から日本国の話になり、政治・治安維持・経済・産業の話で盛り上がった。日本でどのように過ごしたのかあまり覚えていなかったが、ダリア球で生きて行く為にコールマン領を発展させ安全に住める領地を目指していることを話した。

「それで、商会とクリスタル城か」

「領民にも住みやすい街創りをしていきたいと思います。私で良ければ領民のために家を創ります」

「そうだな。領民あっての大公と心に留めておこう」

「はい、お兄様」




 翌日クリスタルとオーウェンは、学院長室にいる。

 学院長に挨拶、

「ごきげんよう学院長、監視カメラの設置許可ありがとうございます」

「お世話になります学院長」

「先日は訓練場の建て直しありがとうございます」

「いえいえ、早く気付いてよかったですね」

 オーウェンと学院長はクリスタルに気づかれないよう話を合わせている。まさかクリスタルの魔法威力がすごすぎて訓練場を建て直したと知られないよう必死だ。


「クリスタル監視カメラの話に戻そうか」

「あっ、はい、監視カメラの設置許可ありがとうございます。早速設置作業始めますか?」

「陛下から直々ですからもちろん始めます。元サウル伯爵の話は陛下から聞きました。何もなければいいのですが…学生たちは世間知らず、利用されていてもわからないでしょう」

 オーウェンは、

「学生たちに異様に近づく者や、学生たちの表情や言動をしっかり見たいものです。そして、先生方や学院で働いている者や学生たち、特に殿下たちをお守りしなければなりません」

 学院長はさっきまでの表情と変わり真剣な面もちで、

「そうですね! では、早速カメラを取り付けましょう!」


 私たちはあらゆる場所にカメラを設置した。オーウェンは学院長に視線を向け、

「これで一安心ですね。後は護衛ですけど………殿下たちは護衛がついているから安心ですが、皆さんに護衛をつけるとなると大袈裟になりすぎます。監視カメラは映像に収めますが、秘密裏に進めている為抑止力になりません。人気のない所に騎士を派遣してもらいましょうか?」

 学院長が「陛下に話してみます」


 クリスタルが、

「学院長一部屋お借りできますか?」

「王族室がありますからお使いください」

「副学院長少し休憩したら、教職員の方々に最後の点検お願いして下さい。僕たちも最後の点検に行きます。では副学院長よろしくお願いします。……点検が終わったら王族室で休ませてもらおう」

 オーウェンは耳元で、

「ほうじ茶飲みたい!」と、笑った。


 オーウェンに点検をしながら、学院を案内してもらっていますが、ここがどこなのかさっぱりわかりません。

 今日は人手があってよかった。広過ぎる学院を全て把握するには一か月かかるのではないだろうか? 

 点検も終わり王族室でほうじ茶を飲んでいると、副学院長が入ってきた。

「やはり、三時間はかかりましたね。副学院長他に必要なことはありますか?」

「点検した限り問題ないと思います」

「そうですか? 使用してみて改善が必要なら言ってください。副学院長今日はお疲れ様でした」

「いえ、オーウェン様、私どもは大丈夫です。学生の為ですから…こちらこそありがとうございます」


 副学院長にクリスタルは優しく微笑んだ。

 副学院長は礼をして王族室から出て行った。


「お兄様明日は騎士試験ですね。お兄様のお気に入りはいましたか?」

「アラバスター学院からも沢山応募があったよ」

「お兄様の側近として働く覚悟はありそうですか?」

「全学年から応募はあったが、流石に父上も〖五年生になったら応募してください〗と、送り返していたよ」

「今年の五年生は受けに来ると思うよ。一月にロイヤル騎士団・第一近衛騎士団・第二近衛騎士団の応募があるけど、まずは兵士として採用されそこから騎士を目指すことになる。今回第二大公騎士団をつくる為の試験だから、最初から騎士になれる可能性が高い。歩兵や弓兵は現地採用するようだからこの試験に受かりたい者は沢山いると思う」

「そうですか。それにしてもロイヤル騎士団・第一近衛騎士団・第二近衛騎士団から応募があるとは思いませんでした。応募した者は大丈夫でしょうか? 元通り働けるのでしょうか?」

「何かしらの懲戒か小言はあるだろうね」

「小言で済めばいいですね」

「そうだな」

「それで、お気に入りの騎士・魔法騎士・魔法剣騎士はいましたか?」

「三名ほどいたかな。その者たちはロイヤル騎士団・第一近衛騎士団・第二近衛騎士団でもやっていける才能があると思っている。どうして大公騎士団に入ろうと思ったのか聞いてみたい」

「そのように才能がある者が面接にきていたのですか? どの方でしょう?」

「まだ、選考戦をしていないから解りづらいと思う。訓練をしているところを見ただけだが、剣技が戦い慣れているように見えた」

「ダンジョンで訓練されたのでしょうか?」

「いや、人間相手の剣技だと思う。師匠に訓練されたか、傭兵のような仕事をしていたように見えた」

「傭兵? 今時、傭兵の仕事はあるのでしょうか?」

「魔物以外に傭兵を使うとなると汚れ仕事をしていた事になる」

「大丈夫ですか? ミスティーナ国に潜入とかですか?」

「潜入ならロイヤル騎士団・第一近衛騎士団・第二近衛騎士団だろ? だからわからないんだ」

「それで、「大公騎士団に入ろうと思ったのか聞いてみたい」ですね」

「そうなんだ。父上と話してみるよ」

「お兄様、鑑定をしましょうか?」

「そうだな? 父上と相談しよう」

「クリスタル疲れてないかい?」

「大丈夫です! はしたないですけどお腹は減りました。(ケンタッチー食べたい!)」

「そうか。監視カメラの設置も終わり、確認作業も終わったことを報告に行きますか?」

「あの、……お兄様、学院長や副学院長、教職員の方にも紋章に監視カメラ取り付けましょうか?」

「どうだろう? どの道、真実を知った時、学生たちは嫌悪感を持つだろう。でも、教師に監視カメラを使われたのとクリスチャン殿下とカールトン殿下と言うと少しは納得してくれるのではないか? ……気持ちの問題だろうけど…暫く様子を見てからでもいいんじゃないか?」

「そうですね。私たちの付けている監視カメラとクリスチャン殿下とカールトン殿下の監視カメラでどこまで有効に使えるか試してからでもいいですね」

「そういうことだな」


「あの、お兄様、どこに魔法科の教室があるのかわかりませんでした」

「広いだろう。おいおい教えて行くよ。入学式に案内するから」

 と、頭を優しくなでてもらった。

「学院長に報告して帰ろうか」

「はい、お兄様」




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